真冬のチニングは強風対策から数釣りへ

古谷 英一

鹿児島県在住。錦江湾を中心とした鹿児島県内のフィールドでショアからのソルトウォーターゲームを追求している

2024年も終盤になってくると、冬らしい気候になりましたね。私の住む鹿児島も、最高気温が10度に満たない日も増えました。
そうなると南国メバルの恋しい季節となるのですが・・・・。今シーズンのメバルは、予想以上の遅れが・・・・。いまだ満足のいく釣りには程遠い状況です。
という事で、身近なポイントで楽しめる釣りとなると。


冬になると、圧倒的に釣り人が減少するのが、チニングだと思います。私は、チニングにはオフシーズンはないと思っているのですが。涼しくなると、アングラーは極端に減りますね。
暖かい季節の釣りというのが、トップチヌの影響で強く印象付けられているのが原因かと思われます。
しかし、実際には冬から春に掛けてが、本チヌ(クロダイ)のベストシーズンなんです。
その理由が、春に産卵期を迎える本チヌは、その前に体力を蓄えるために、少しでも多くのエサを食べる様になります。産卵前の荒食いが始まるのが、寒くなる季節から極寒期で、ちょうど年明けから春に掛けてがそれにあたります。


寒い中のチニング、時にはトップでも出たりはしますが、やはりボトムの釣りがメインとなります。水温の低下で、チヌも上層への興味を失う事もありますが、低水温のシーズンはエサがボトムに集中する事が大きな理由です。
しかし、この低水温シーズンはベイトの存在も少なくなり、チヌも片寄った食生活をしているのも事実です。フィールドによって様々ですが、甲殻類のみを食っている場所もあれば、海藻ばかり食っている場所もあります。さらには、シラウオなどの小型ベイトを追い回す場所、大きめのイワシやキビナゴなどを追い回す場所など、夏の雑食性が強いコンディションから、偏食する個体が増えてくる季節にもなってきます。


そんな季節、様々な状況にオールマイティーに対応しやすいのが、フリーリグによるチニングです。ボトムをスローに誘う事も出来れば、ボトムを切った早い釣りも可能です。誘い重視から、リアクションの釣りまで幅広く対応可能と言えます。
ただし、風の強い日が多くなるのが唯一の欠点です。キャストしにくい、飛距離が出ないだけならまだいいのですが、風の抵抗でラインにテンションが掛かりすぎて、勝手に動き回ったり、バイトが取りにくくなったり、釣りが困難になる事が増えます。そのため、小型プラグはより釣りが組み立てにくくなります。
今回、そんな典型的な真冬の釣りに年末に当たりました。寒波の影響で、鹿児島でも最高気温10度、北西からの爆風(風速10m以上)で、河川内であるにも関わらず水面下含めて荒れまくった日に。
普通なら釣りには行かない人がほとんどの環境での釣り。

そんな真冬の気圧配置による、独特の荒れた天気。特に西側に面したフィールドでは、釣りにならない事が多々あります。
その環境下でもチヌを引き出す方法を、今回は少しご紹介していきます。
基本的なタックルは、普段のチニングタックルで十分です。ただし、メインのPEラインに関しては、細ければ細いほど風の抵抗が少なくなるので、有利になります。
私の場合は、ベイライナーAKBMのBL-C812MLとPEラインは0.6号の組み合わせです。オールシーズン、これで通しています。強風での感度を上げたいと思う時には、ディップに張りのあるファーストテーパー気味のロッドが有利です。
これに使用するワームは、コーヴァイチュー。フックもオフセットフックであるコーヴァイフックです。
あとはシンカーですが、夏場は7gを中心にセレクトしますが、風の強い冬場は10gか14gをチョイス。重さで飛距離やアキュラシーを確保すると共に、ボトムでの安定性とラインに受けるかぜによってワームが無駄に動き回らない様にします。
単に重いウエイトを使うのではなく、出来る限りロッドディップからワームまでが、強風の中でも直線になるようにします。


さらに、アプローチする方向なども風向きによって変える必要があります。基本的には風に向かって真っ直ぐキャストするか、背中から受けながらキャストが、最も釣りやすい状況を作り出せます。リトリーブ中のラインに受ける風の影響が最も少ないアプローチです。
ただし、その方向に対して、チヌが集まる、もしくは好む場所がいつもあるのか?と言われれば、ほぼほぼ無いと言えます。川を沿って吹く風が多く、立ち位置を確保する事が非常に困難だからです。
となると、出来る限り風向きに対して平行にキャストでき、流れに対してダウンクロス気味にアプローチするのが最も釣りやすい状況を作り出せます。
アップクロスだと、流れの早い河川だとバイトを極端に取りにくくなります。巻いて来る方向と流れる方向が一緒で、さらに風が流れと同一方向だとスローな釣りは全く出来ません。
程よくルアーに流れのテンションが掛かる角度を基準に考え、それに対して風が吹き上げて来るのか?吹き下ろして来るのか?で、アプローチしていく角度を調整していきます。


文章に書くと難しいですね。
実際にフィールドで、どの程度の風の影響を、どの方向に受けるのか?を考え、組み立てていく必要があります。
この辺りは経験が必要です。
とりあえず、無駄にキャストしていても、肝心なバイトを拾えないですし、何をやっているのかが解らなくなります。
それを防ぐためにも、流れと風を考えたアプローチが大切です。そして、そんな釣りを確実にサポートしてくれるのが、重めのシンカーという訳です。


それともう一つ。多くの場合、フリーリグではシンカーストッパーを使用して、シンカーの動きを抑制します。これはシンカーへのバイトを減らすなどの理由がありますが、私は無駄にストッパーでシンカーの動きを止める必要はないと感じています。
特に、冬場のボトムチニングでは、ちょっとした違和感で食い込みが悪くなったり、スローにナチュラルな動きが出せなくなったりします。特に私は違和感を出来る限り与えたくないので、シンカーストッパーを使用せず、さらにはソフトディップのロッドを併用しています。
これによって、チヌがコーヴァイチューを咥えている時間が大きく伸びます。「ガッ!ガッ!」と二度のバイトだったのが、「ゴッ!ゴッ!ゴッ!ゴッッッ!!」といった感じに。
クサフグやショウサイフグの居なくなった低水温の河川内では、よりスローな釣りが可能となるので、より深いバイトを得られやすいタックルセッティングも大切ですね。


こうした事に気を付けながら、強風が吹き荒れる中、ウェーディングします。風で河川内は波立ち、その波が風に舞い上げられて雨なのか?波なのか?わからない状況でした。
そんな中でも、バイトをしっかりと拾っていきやすいアプローチを心掛けると、素直に反応が出ます。
ただ、フッキングできたチヌは少ないですが、風がなければ余裕で二桁越え。風によるラインスラッグでフッキングが甘くてバレる魚が多すぎました。ここは反省ですね。
結果は6匹。干潮からの満ち込み3時間弱での釣果ですが、最悪の環境下としては良しとしておきたい結果です。

皆さんも、寒さに負ける事なく、これからののっこみシーズン、コーヴァイチューで大型本チヌ(クロダイ)を攻略してみて下さい。パターンにハマれば、爆釣も夢ではない季節として、オススメです。

RodベイライナーAKBM BL-C812ML
Reelベイトリール
LinePE0.6号
Leaderフロロカーボン12lb
Lureコーヴァイチュー、コーヴァイフック
Landing
Item
ラバーネット0712イージーフィッシュグリップピシーズ・フィッシングプライヤーFP651