4~6月 津久井湖釣行

池島 竜一

SMITH STAFF

バス釣り業界人としては少々お恥ずかしい話だが、自分は釣り歴が長い割には足を運んだことのないメジャーレイクが幾つもある。元々はトーナメンターだったことも関係しているが、特定のフィールドに通い詰めるタイプの釣り人と言えるだろう。

自分自身が50代半ばという年齢になり体力的にもかなり衰えを感じる今日この頃、この先いつまでバス釣りが出来るのかという不安もある。体力的に動けるうちにまだ行ったことのないフィールドで釣りをしてみたいという思いを抱くようになった。その中の1つが津久井湖だった。 特に津久井湖は地元関係者が資源保護に力を入れている湖ということで以前から興味を持っていた。

そして2023年4月初旬、津久井湖初釣行はノーフィッシュという手荒い洗礼を浴びる結果となった。もう少し暖かくなったら再挑戦しようと思いつつも、再び足を運ぶのは1年後となった。


4月20日


津久井湖には数ヶ所の貸しボート店があるのだが、そのうちの1つにスミススタッフのMさんが頻繁に足を運んでいる。ボートは予約制ではなく先着順だそうで、平日ならばともかく週末にいきなり行って大丈夫なのかという不安があったが、Mさんに色々と段取りを細かく教えてもらい無事に乗船することが出来た。


水位は満水で岸沿いには冠水している樹木も多い。また前日は強風が吹き荒れたため水面に枯れ葉などが大量に浮いている状況だった。
津久井湖上流域は初という事もあり地形も全くわからない。まずは湖岸沿いの冠水植物やウッドチップカバーなどをパワーフィネスで探っていくもバイトはない。


午前中は魚が見えなかったが昼過ぎから徐々に視認できる魚が増えてきた。しかしその多くはペアリングやネスト絡みの魚だった。これらの魚には手を出さず水深3m程度をダウンショットで探ってみる。1尾掛けたがミスしてしまった。しかしその後は延々とノーバイトが続く。


時期尚早と思っていたため確信はなかった岩盤へのノーシンカーフォールを試す。ラインが横方向へ走っていくのを見ても思わず「嘘だろう?」と思ってしまった。シンクスパイダーでキャッチしたのは40cm。狙って獲ったとは言い難くマグレ要素が否定できないが、嬉しい初津久井湖バスとなった。

しかしその後は続かずこの日は1尾のみで終わる。やはり津久井湖は難易度が高いと思わざるを得ない結果となった。


5月3日


GW真っ只中の釣行。さすがにどこのフィールドもレンタルボートの予約は一杯になっていた。ならば先着順のボート屋さんに早目に行ってボートを確保するしかない、ということで再び津久井湖へやってきた。
前回(4/20)釣行時も満水だったのだが、この日はそれに輪を掛けた超満水状態。湖岸の木々まで冠水しているような状況だった。


岸際は冠水した木々にことごとく遮られていた。冠水した木々は一見するとカバー撃ちすれば良さそうにも見えるが、湖岸のほとんどが冠水樹木となっていては場所を絞り込むことも出来ず、また撃てる範囲の水深が深すぎる。
とはいえそれしか手がないのでテキサスリグやパワーフィネスを試みるもバイトが出るはずもなかった。


状況の変化に気付いたのは昼過ぎだった。それまで冠水した樹木に阻まれて見えなかったはずの岩盤や岸際が少しずつ見えてきたのだ。物凄い勢いで水位が下がってきている。夕方近くになるとオーバーハングの下にボートで入り込むことが出来るほどにまで水位が落ちた。半日の間でおおよそ1m程度下がったのではないだろうか。

こうなれば攻略の糸口も見えてくる。オーバーハング下にシンクスパイダーをスキッピングで撃ち込み、奥にある岩盤際までプレゼンテーションすることさえ出来れば充分にチャンスはあると思えたからだ。


結果、シンクスパイダーで3バイトを得ることが出来た。しかし、オーバーハングの中から寄せてくる間にも水面下にビッシリと樹木が沈んでおりファイト時の大きな障壁となった。結局は2本をミスしてしまい獲れず、38cm程のサイズを1尾手にしただけで終わった。
何とか魚を掛けられても獲れないのであればやらない方がいい、午後に減水したとはいえ、この超満水状態は自分には打つ手がないと痛感した。

それにしてもあまりにも大きい水位の増減差には驚いた。津久井湖はいつもこうなのかと思いきや、ボート店の方の話によると今年の春から電力発電会社が変わり、以後このようになってしまったとのことだった。


6月8日


改めて津久井湖に行きたかったわけではないのだが、プロトルアーのスイム映像を撮影する場所を検討するとある程度透明度の高いフィールドが望ましかった。
ようやく超満水状態から水位も落ちたという事である程度思い通りの攻略が出来るだろうと考えた。だからといって釣果が期待できるとは思っていない。そう簡単なフィールドでないことは充分承知している。

ルアーのテストと撮影を終えてからフリーの実釣を始めた。この日は水位もだいぶ落ちて岩盤や岸際が大きく露出している。ストレスなくルアーを撃ち込めるようになっていた。

岸際に見えバスの姿はなかったが、岩盤にシンクスパイダーを撃ち込んで行く。アフタースポーニングから回復した個体も多いはずで確信を持った攻めではあったのだがバイトを得られぬまま時間は9:30を周ってしまった。やはり津久井湖、一筋縄では通用しないのだろうと思った。


エリアを大きく変え、ワームもインセクト系からストレートタイプ(カットテール)に換えてみる。するとすぐに結果が出た。ノンキーパーサイズが2連続でヒットしてきたのだ。


岸際はノンキーパーが多いのかもしれないと思い、同エリアの水深2~3mに狙いを変える。1.5gシンカーのダウンショットを使用した。これが予想だにしなかった連発劇の幕開けとなった。


ノンキーパーも混ざりはしたが怒涛のバイトラッシュが始まった。水深2~3m付近のレンジを軽いシンカーのダウンショットでフワフワ誘うとすぐに抑え込まれるようなバイトが出る。魚が溜まっている場所では連発も数回あった。

キーとなった場所は水通しの良い位置にある岩盤もしくは岬状の場所。逆にワンドの奥などは良くなかった。良いエリアはピンスポットではなく、水通しの良い岩盤であればどこでも容易にバイトが得られる状態だった。 この日は出艇しているボートの数も多く既に何艇もの先行者が流した後ではあったが、全く関係ないレベルでひたすら釣れ続けた。

キャッチしたバスの総数は17尾。サイズは38cmまでだった。もういいだろうということでこの日は早上がりした。


この結果はそれまで自分が津久井湖に対して抱いていたイメージを完全に覆すこととなった。まさかこんなに釣れるとは全く予想していなかったのだ。
一昔前、津久井湖はデスレイクと称されていた。かつてはボウズが普通の超難関レイクだったのだ。それがここまで状況回復したというのは地元関係者の尽力に他ならない。感謝の気持ちを持って釣りに臨みたいと思った。

RodツアラーV-SPEC TVS-63L
ReelREVO MGXシータ 2500SH
LinePE0.6号+フロロリーダー5lb.
Lureシンクスパイダー2.2インチ(ノーシンカー)スーペリオLOフック#2
カットテール4インチ(ノーシンカー)ガード付マスバリ#5
RodツアラーV-SPEC TVS-61UL/ST
ReelREVO MGXシータ 2000SH
LineシンキングPE0.4号+フロロリーダー4lb.
LureAR-WカーリーAR-Wピンテール、レッグワーム(ダウンショット)スーペリオLOフック#6、タングステンシンカー1.5g