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形状記憶チタンアームスピナーベイト (その1)  (その3)



これまでのあらすじ

 ファインチタンワイヤーを採用するにあたり最も細い0.7mmモデルを第一候補としていたものの、快適な使い心地とは裏腹にいくつかの課題点が発覚。
 キャスト時の必要以上のしなりによる干渉と、フッキングパワーのロスという大きな課題点が浮上したのでした。



<ただいま開発中!形状記憶チタンアームスピナーベイト・その2>


● ベクトルバランスの追求、そして生まれたトライアングル

 フッキングパワーのロスという点については、スピナーベイト全体のバランスを見直すことから始めました。
 具体的には、ラインアイ、フックポイント、ヘッドの支点からなる3点のトライアングルバランスです。ここでなるべくパワーロスを引き起こさないためのベクトルバランスを徹底追求しました。

 そのこだわりは、見えないヘッド内部構造にも表れています。ヘッド内部のアーム〜フックの接合点までがストレート。これはいかにパワーロスを排除するかを考えた結果、必然的にこうなったものです。
 また、フックにはウィードマックスにも採用したショートシャンク・ワイドゲイプフックを使用。結果、フックポイントの位置をベストポジションに持ってくることに成功しました。



● ベストバランスのワイヤー径はどれだ?

 さて、スピナーベイトのバランスを見直した設計とした一方、アーム自体も再度見直すことにしました。
 0.8mm以上の線径のものも取り寄せてみたのです。
 が、やはり0.9mm以上のアームは私達が思い描いたコンセプトのものには合致せず、今回は却下。
 ここで白羽の矢が立てられたのが0.8mmの形状記憶チタンワイヤー。早速これでプロトモデルを試作し、テスト実施!!

様々な径のアーム

 おっ!これもなかなかイイ。しかも、曲がり過ぎないからキャスト時の干渉という問題はほぼ解消したように思えました。
 フッキングに関しても、前述のバランス改善と併せ、線径アップにより不要な曲がりが減少したこともあり、こちらもGOOD!
 もちろん、巻き心地の良さといった形状記憶チタンアームの良さはそのまま・・・というよりは採用を予定していたブレードにはこちらの方がマッチしているじゃあ〜りませんか!


● 形状記憶チタンを活かすためのブレード

 さて、ブレードですが、形状記憶チタンアームの良さを最大限に引き出すブレードの採用を、との考えがありました。
 前述した通り、形状記憶チタンアームのフレキシブルな特性は、ブレードの回転半径を大きくする特性があります。その結果、しっかりとした巻き心地が生まれるのです。
 ですから、ブレードにおいてもこの特性をしっかりと引き出せるものにしたい、と考えていたのです。つまりはズバリ、広角バイブレーションを生むためのウィローリーフブレードを採用する、ということです。
 そしてもう一つ、スモールシルエットだからといって必要以上に小型のブレードにしない点も重視しました。ブレードが小さけりゃ、その分巻き心地も、アピール力もなくなりますからね。

あくまでブレードサイズは落とさない。
3/8ozのリアブレードには#4を採用予定

 何点かブレードを試作し、フィールドテストを実施。思ったとおり、かなり回転角度がワイドで、巻き心地もしっかりとしたものが実現できました。
 ちなみに、広角バイブレーションを生み出すためには、ブレード幅をワイドに、そしてカップ(凹み)を浅くすることで実現できます(タイトにするには、この逆です)。ところがこうすると逆に、スローリトリーブでの限界性能が低かったり、回転の立ち上がりが悪かったりします。要は、回転レスポンスが悪化するのです。

 また今回のスピナーベイトの場合、スモールシルエットということもあってアッパーアームとロワーアームの間隔が狭く、スローリトリーブでブレードが倒れ気味になるや、フックと干渉してしまう場合があることがわかりました。
 まぁ、一般的な使用であれば何の問題もないレベルでしたが、スローリトリーブでの使いやすさを目指したからにはスローリトリーブでの限界性能が低いものでは納得できません(自分が)。
 ブレードをサイズダウンさせれば簡単に解決するけど、う〜む、どうしたものか・・・


 果たしてどうなる?!このままオジャンか?(またかよ〜)

 次号へ続く → (その3)へ


Ryuichi Ikejima





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