吉川 康之

栃木県在住の平凡なサラリーマン

湖およびエリアでのトラウトフィッシングをこよなく愛する。



《 蝉ブラを求めて初夏の中禅寺湖へ 2020
2020年6月初旬 栃木県日光市 中禅寺湖 》



 今シーズン私が初めて中禅寺湖の蝉ブラを手にしたのは6月初旬のこと。今回はその時の模様を振り返ってみたいと思います。
ですがその前に、まずは今シーズン蝉活をスタートした5月末(前回の釣行)の状況について振り返ってみます。
向かった先は通称 山側と呼ばれる湖の南側の一帯で、背後の森が湖岸線ギリギリまで迫っている好ポイントが多いのが特徴です。


山側は初夏真っ盛り。春蝉の鳴き声が響きます

湖畔のヤマツツジ


 朝8時過ぎ、お目当てのポイントに向けて湖岸の遊歩道を静かに歩いていると、進行方向の先から突如ガボガボッ!!と激しく水の割れる音が聞こえてきました。
(おっ、何事だ!?)
と急ぎ駆け寄り、遊歩道から遠巻きにその個所を眺めていると、ほどなくして小魚たちがピチャピチャ!と水の中から勢いよく飛び出し、その直後に水面が大きく破裂しました!
間違いありません。相手はブラウントラウトです。彼は大胆にも上半身を岸へと乗り上げて、ガボガボガボッ!!!と小魚を水際へと追いやり激しく襲い掛かっていました。よく海外の映像などで見る、シャチがアシカを浜辺に追い込んで喰らいつくあの様子そのものです。襲われていた相手はワカサギで、今年はこれが湖岸線の至るところに大量に発生していました。
その後、ワカサギたちは水際ギリギリの位置を縦一列になって右往左往しており、また直ぐに襲い掛かってくるであろう捕食者に完全に怯え切った様子でした。
この状況、釣り人ならば誰もが待ち望む熱い瞬間だと言えますが、こと蝉の釣りを楽しみにやって来た今回の私にとっては、あまり歓迎できない厄介なものであると言わざるを得ませんした。というのも、このワカサギの捕食モードに入ってしまったブラウンたちというのは、こればかりに夢中になってしまい、その他の捕食対象(今回の場合はもちろん春蝉になります)にはすっかり感心が無くなり、蝉ルアーでこれを振り向かせるのはたいへん難しく、過去に何度も痛い目にあってきたからでした。
近年ではたしか2016年にも今回と同じようにワカサギが大量発生した年があり、蝉ルアーにブラウンを反応させるのにたいへん苦労したのをよく覚えています。
何年かに一度、こんな年がやって来ることは承知しており十分覚悟はしていたのですが、まさか今年がその年なのか?と急に不安が押し寄せて来ました。
ですが釣りは実際にやってみないと何が起こるか分からないもの。この私の不安が杞憂であることを願いながら、山側の奥の方までただひたすら探って行ったのですが、結局 ワカサギに夢中になったブラウンが私の操る蝉ルアーに振り向いてくれることは一度もありませんでした。


水際は至るところワカサギだらけ


2020年シーズンの蝉活初日は
山側ハイキングで終了しました


 そして明けて翌週、6月最初の週に私は再び蝉活をしにいろは坂を登りました。前回の釣行から一週間が経過しましたが、山側のあのワカサギの飽和状態が終息しているとはとても思えません。この日はこれを避ける意味で場所を大きく移動、湖の北側となる国道側に入ることにしました。湖の北側と南側、日照量からくる積算水温の違いなどからワカサギの接岸状況にもきっと違いが出るのではないだろうかと期待してやって来たのですが、此方もどこもかしこもワカサギだらけ。残念ながら国道側に於いても状況に大きな変化は見られませんでした。


国道側ではよく見かけるサルたちの朝の見回りに遭遇

対岸の山側から春蝉の大合唱が聞こえてきました


 ポイントに到着し、しばらく水際の様子を静かに眺めていると、やはり此方でも始まりました。水際から1メートルも離れていない位置でブラウンの黄色い魚体がガボガボガボッ!!!と景気よくワカサギを追い回しています。此方のブラウンも完全にワカサギモードに突入してしまっているようです。
(これはまいった!)
もうこうなってしまっては逃げる場所はありません、ただひたすらに探り続けるしかないと腹を決めました。もしかしたら魚嫌いの現代っ子なブラウンが居るかも知れません。急ぎタックルの準備に取り掛かりました。

 この日、最初に手にしたルアーは大美蝉(ダイビセン)! 昨年発売されたばかりのNEWアイテムで、従来品である美蝉(ビセン)をサイズアップ(長さで5mmアップ、重さで1.4gアップ)させたモデル。見た目のサイズ感はほぼそのままにウエイトをアップさせてやることで、飛距離を大幅に伸ばすことに成功しています。
昨シーズンはこの+5mmのサイズアップが魚の反応にどう影響するのかが心配で、その日最初の釣りから投入することには正直抵抗がありました。ですが昨シーズン使用してきた経験から、特に悪い影響は感じられなかったこと、飛距離のアドバンテージが想像以上に大きかったことなどを理由に、今年は何の躊躇いもなく初めから投入することにしました(当日はやや強めの向かい風となる状況が多かったこともあり、沖へのキャストが容易にきまる大美蝉が大変重宝しました)。

今春発売された大美蝉・シェル。
水面下にシェルプレートの輝きが届く
ように、サイド〜腹部にかけての
塗装があえて抑えられています


 この日は岸際で群れるワカサギに夢中になったブラウンを相手にしても仕方ないだろうとの考えから、ワカサギが群れている箇所の遥か向こう、ブレイクラインの先となる沖合(15〜20メートル程)を集中的に探ることにしました。その辺りを泳いでいるような個体ならば、もしかするとワカサギをあまり意識していないものも少しは居るのではないか?という単純な発想からです。

 そしてランガンしながら探り続けること4時間以上。半日釣行の終了間際となるお昼過ぎになってようやく大美蝉がボコッ!と大きな音を立てて水中に飲み込まれました。
取り込むまでにおそらく5分近くは費やしたのではないかと思われる強烈なやり取りの末にあがってきた魚は、狙いのブラウントラウトでした(60cm)。後頭部がこんもりと隆起したもの凄い体高、全ての鰭が大きくそして整っていて、さらにお腹回りははちきれんばかりに凄いことになっています。
きっとワカサギを飽食してのあの凄いファイトとこのプロポーション、まさにワカサギ様様と喜び、感謝しなければならないのでしょうが、蝉への反応のことを考えると、やはりあまり多すぎるのは困りもの。とても複雑な心境で迎えた2020年シーズン中禅寺湖での蝉初めでした。


大美蝉に出た雄のブラウントラウト(60cm)


きっとワカサギを飽食しているからでしょう、プロポーションもそうですが、走りと持久力にもの凄いものがありました


初夏の日差しを浴び、より一層輝きを増します

大きく整った胸鰭。引きが強烈なわけです。


【中禅寺湖のブラウントラウト(You Tube動画)】



● 使用タックル

ロッド TILF−72 トラウティンスピン イル・フロッソ (SMITH)
リール CERTATE 2500 (DAIWA)
ライン VARIVAS High Grade PE X4 1.0号 13.1lb (MORRIS)
リーダー TROUT SHOCK LEADER フロロカーボン 10lb (MORRIS)
ルアー 大美蝉(ダイビセン)(SMITH) ※ フック変更実施。ラインはアイのスプリットリング(後付け)に直結
大美蝉・シェル(SMITH) ※ フック変更実施。ラインはアイのスプリットリング(後付け)に直結
美蝉(ビセン)(SMITH) ※ フック変更実施。ラインはアイのスプリットリングに直結して使用
フック シュアーフック Wトラウトタテアイ4B  ベリー&テイル共に  (SMITH)
※ バーブは潰しました
ネット チェリーネット Lサイズ (SMITH) (SMITH)



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