冨安 隆徳

愛知県豊川市在住。ルアーで四季折々の魚を求め釣り歩く、アウトドアが大好きなサラリーマン。

主なターゲットは、九頭龍川の桜鱒、天竜川水系遠山川のアマゴ・イワナ等。


《 2017 飛騨川釣行記(その1) 》


■ 渇水の飛騨川

 今年は空梅雨なのか?本当に南飛騨には雨が少ない。渇水の中7月最初の週末に午后から飛騨川に向かった。まずは馴染みの食堂のご主人を訪ね、鑑札購入と情報収集をするのがいつものスタイル。今年は水位の影響もあってアユの生育が悪く、小型が多くて追いが悪いようだ。店主の話からすべてが遅れているような印象を受けたが、ここにきて鮎の追いが良くなりつつあり、水深のある流れや落ち込みではアユ師がいいアマゴを掛けていたと教えてくれた。
 この食堂は夏から秋にかけ鮎師の溜まり場となっており、直近の様々な情報が集まってくる。ここから直接入川する鮎師も多く、ゆったりとした淵も多いことからこれまで縁遠いポイントであった。せっかく情報を貰ったのでやってみるか?そんな軽い気持ちで教えられるがままにポイントに入った。


■ 落ち込みから淵

 瀬から淵に繋がるポイントにこの日は私ひとりだけ。ディープや大型のルアーを引くことを想定し、インターボロンXX IBXX66MTにPE0.6号のタックルで川に向かった。落ち込みに着いている魚をイメージし、パニッシュ70SPで探りを入れる。この時期鮎を狙って大型のイワナが大岩の周りや巻き返しに潜んでいることが多いのだ。
 ゆっくり送りこみながら誘いを入れたが今日は無反応。次に流れに同調させ、薄暗い瀬を下らせると浅瀬でイワナらしき魚がバイト。岩陰で落ちてくる餌を待っていたのか?回収直前のため上手く乗せられなかった。しかし開始早々の魚からの反応に気を良くし、淵の岩盤や大岩周りのゆったりとした流れを、引き続き探っていくことにした。


■ チェリーブラッドMD82S

 淵ではより深いレンジを狙おうとチェリーブラッドMD82Sグリーンゴールドで探った。表層から中層へと棚を下げながら様子をみていく。狙いはアユを飽食している肉食性の強い大型アマゴ。ルアーを鮎に合わせるため敢えて少し大きなこのサイズを選んだ。淵を流れる水流は穏やかで、この流れに活性の高い魚がいるとは考えにくい。そこで普段のドリフトの釣りはしばらく封印した。積極的にルアーを動かし、リアクションの釣りを意識して探って行った。

 予想通り表層を普通に流しただけでは魚達は全く反応しなかった。「居ないのか?」そんな不安はすぐに消えてしまった。チェリーブラッドMD82Sを少し沈め、激しくアクションを加えると、気配のなかった流れの中にうっすらと魚達の姿が確認できた。ルアーの動きに合わせ右に左に激しく追尾する大型の魚の姿に興奮したが、バイトまでの活性はなかったようだ。レンジなのか?アクションなのか?いずれにしても激しい動きに魚たちの活性は一瞬上がった。尺超えはもちろん、もしやと思える大型も姿を見せたが、その後なんとか口を使わせることができたのは、お腹の膨らんだまずまずのアマゴ。苦手としていた本流域の淵攻略のヒントが得られた気がした。次回はもう少しいい条件で勝負したいな。そう思わせてくれた釣りであった。


■ 渓流エリア

 夕方は大きく上流にポイントを移し、里川の渓流エリアに入った。流れは細いが勢いは本流に比べれば強く、水温は随分冷たく感じた。釣り場に踏み跡も多く、先行者が叩いたあとなのか?居るべき流れから魚の反応は得られなかった。僅かに反応が得られたのは、普段居そうもない場所からの小型アマゴだけだった。
 そこで竿抜けとなりそうな流れ込みの淵にポイントを移し、夕マズメの時合を流してみたがここでも魚の姿は見られなかった。明日にするか。渓流初日は早めに寝袋に包まった。








■ またも本流域へ

 翌朝、早朝から鮎師が入る前の瀬を攻めようと車を走らせたが、お目当ての瀬には先行者の姿があった。上流の渓流に戻るか?それとも本流か?考えた末に昨日の良型の姿を見た本流域の淵にポイントを移した。
 まずはやる気のある魚を狙い、パニッシュ70SPで落ち込みの流れを探ったが反応は無い。次にチェリーブラッドMD82 アユカラーで淵を流してみたが、ここでも追いが無い。やる気のある魚は居ないのか?そこで昨日と同様にハイパートゥイッチングで誘うと、良型のアマゴが喰ってきた。早朝すべての魚の活性が高い訳ではないようだ。流れの穏やかな淵の魚たちは、+αの要素が必要なのだろう。昨日同様激しいトリッキーな動きに触発され、沈み気味の少し活性の低いアマゴが口を使ってきた。

 この日も淵に活性の高い魚がいるとは考えにくかったため、早朝のいい時間帯は流れの中のやる気のある魚を求め、少し上流を釣り上がると、落ちこみからは尺上のイワナが姿をみせてくれた。


 今朝はイワナの活性がいいな。良型に気を良くしてそのまま釣り上がっていくと、大岩と落差のある大場所からは40アップのイワナが姿を見せてくれた。流芯の脇の巻き返しの鏡についていたこのイワナは、流れに任せてドリフトさせたパニッシュ70SPグリーンゴールドに激しく反応してきた。大岩下から勢いよく飛び出ると、ひったくる様にルアーを襲った。鏡を見下ろす大岩の上から一部始終を眺めながら、狙い通りのポイントから引き出した満足感に暫し浸った。
 水面を意識したイワナの激しいバイトに「夏」を感じながら、撮影場所を確保しようと水際に降り立った時だった。魚をネットごと浅瀬に置いた一瞬の隙に、器用にも胸鰭でネットから這い出て流れに消えてしまった。画像をお見せできないのが残念だが、鮎をしっかり喰った尾鰭の大きないいイワナだった。


■ 課題

 早朝やる気のある魚を狙って瀬を中心に釣りを展開したが、そろそろ鮎師が釣りを始める時刻が近づいてきた。そこで落ち込みや淵へとポイントをシフトした。ルアーは昨日同様チェリーブラッドMD82Sをベースに、深場ではDEEP70やDDパニッシュ80Sを、規模の小さな流れにはMD70,75のミノーを中心に攻めていった。ミノーで気配が無ければD−コンタクトやドロップダイヤ、バック&フォースのスピーンをしっかり沈めてボトムを直接狙った。
 ひととおり周辺のポイントを攻めて感じられたのは、昨日同様水深があり流れが穏やかなエリアでの魚の活性はそれほど高くなく、概ね中層以下に沈んでいるようだ。そのため表層を流すだけでは反応は得られず、ここでやめてしまってはいい結果を引き出すことはできない。沈んだ魚をいかにルアーで活性を上げ、バイトに持ち込みむか?これが難しくも楽しい作業で、この日も様々なアプローチで大型の魚が何度かルアーを追った。実際尺越えの大型に口を使わせ掛けることはできても、ランディングには持ち込めなかった。喰いが浅く、数度の首振りの直後に針が外れてしまう。MD82Sの標準はカルティバST-36BCの#6。本来サクラマスやサツキマスを想定しており、本流アマゴには軸が少し太いのかもしれない。とは言え40クラスに細軸では伸びが心配だ。魚の大きさや活性、流れの強弱や渓相さなどの諸条件ごとに最適なセッティングがあるはずだ。自分なりの最適な組み合わせを探ることも今シーズンの課題だろう。
 その後気持ちを入れ替えて向かった落ち込みからの流芯際で、鮎を飽食してグラマラスで精悍な容姿の本流アマゴを手にした。続くトロ瀬ではパニッシュ70SPのTSホロで綺麗な渓アマゴ。早瀬からはハンドメイドの70mmに朱点が鮮やかなアマゴが姿をみせてくれた。











■ これから

 尺超えの大型を確認できた今回の釣行。残念ながら手にすることはできなかったが、シーズン初めの渇水の本流であることを考えれば、充分満足できるものであった。本流からの遡上魚の動きを探りながら、鮎を意識して釣りをしてきたが、これまで苦手としていた流れの緩いエリアでの大型魚の存在などポイントの確認作業も進んだ。増水を待って深場に潜んでいるのだろうが、低活性でも攻略法如何では充分に喰わせるチャンスがあることも確認できた。彼らの活性がいつ上がるのか?どうすれば口を使うのか?いつどのタイミングで遡上するのか?大型を獲るために何をすべきか?ルアーとフックの組み合わせは?様々な疑問が湧いてきた。答えは一つではないのかもしれない。
 大型の魚を獲ることができなかった悔しさもあり、サクラマスから少しブランクのあった私の釣りへの想いが、この釣行から少し高まった気がしている。スロースターターである私の釣りがまた始まった。シーズン終了に記憶に残る一尾とともに、何か攻略の糸口が見いだせることを期待して残されたシーズンを川で過ごしたいと思う。


● マイタックル

◇ロッド スミス インターボロン IBXX-66MT
◇リール シマノ ツインパワー C2000HGS
◇ルアー スミス  チェリーブラッドMD82S MD82 MD75 MD70 DEEP70 パニッシュ70 70SP ジェイドMDF MDSP MDS DDパニッシュ65 65SP
バルサハンドメイドミノー 50〜70mm F・SP・S
D−コンセプト48MD  D−コンタクト50・63 D−コンパクト48
D−インサイト44・53  D-ダイレクト55
バック&フォース 7g  バック&フォース ダイヤ 4・5g
ドロップダイヤ 5.5g  ピュア5g日本アワビ
◇ライン  ヨツアミ PE G-soul WX8 0.6 0.8号
◇リーダー リーダー フロロカーボン 1.5〜2号
◇アクセサリー スミス  シュアーフックスーパートラウト1G  SPスナップ#00 #0 クロスロックスナップ♯1



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