手前の分流をチェックしたのち、落ち込みの瀬の白泡にパニッシュ55Fをバックハンドで打ち込み、大岩の前で手前にターンをさせる。すると期待通り岩の足元から大型のアマゴが姿を見せてくれた。一目で尺上であると解るグラマラスなボディーの魚は、そのまま上流に向けて走った。今回新しいリールのドラグの設定に迷いがあり、少し緩めに設定していた。そのためこの魚の力強い走りを止めることができず、随分糸をだされてしまった。あまりにドラグが出るため、スプールを少し押えながらラインをコントロールし、魚が頭を下流に向けた瞬間、強引に手前に寄せてランディング。頭が尖った見事な魚体で、一目で雄だと解る。黒いボディーに白い口が印象的な魚で、今年一番の美形アマゴであった。
黒々とした姿の魚は静かな淵や深い森の中で出会うことが多く、体の色が周囲の風景と同化し一種の保護色のように見える。秋が深まるにつれて雄は鼻が落ち始め、歯が鋭く頭が尖ってくる。この魚のように赤黒い体と白い口のコントラストは、大型の魚ほど鮮やかだ。
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