冨安 隆徳

愛知県豊川市在住。ルアーで四季折々の魚を求め釣り歩く、アウトドアが大好きなサラリーマン。

主なターゲットは、九頭龍川の桜鱒、天竜川水系遠山川のアマゴ・イワナ等。


《 2014 飛騨川釣行記 その3 》


■ 落ち着いた水位

 9月に入り飛騨川の水位は落ち着き始めた。秋はますます深まり、これに合わせたプランを考える必要がでてきた。

 

 今回は選んだポイントは開けた里川エリア。日の出前に現地入りしたものの、仕事の疲れから辿り着くことは出来たものの、すぐに釣りができるほどの力は残されていなかった。道の駅で暫しの仮眠を取り、眩しい日差しに目を覚ますと時刻は7時を過ぎていた。「もうこんな時間か?」当然、朝寝坊の釣り人を渓魚は歓迎してくれる筈もなく、何の反応を得られぬまま朝のプライムタイムは終わってしまった。この流れを断ち切ろうと、森へと車を走らせた。



■ 明暗くっきり

 暫くすると、見慣れた車。地元の釣り仲間。本流エリアで同行の釣り人が大型を獲ったとのこと。私が攻めたポイントの近くで、早朝での出来事だったそうだ。この魚以外にも複数の魚の追いが見られたようで、興奮気味に話を聞かせてくれた。反応があったのは6時ごろで、渇水で警戒心を抱いた渓魚を相手にするには、朝マズメがいかに大切かを思い知らされた。

 

  結局午前中は釣りを諦め、彼らと地元の名物食堂(国八食堂)で近況を含め情報交換をすることにした。「いい魚だった。目が覚めた。やる気が出た。」エリアは間違っていないのだ。



■ 夕方

 午後、森の中の渓を予定していたが、今朝見せられたあの魚の画像が脳裏から離れず、引き続き本流筋を攻めることにした。「魚は入っている。どこに居るかだ。」そう思いながら入ったのは浅い流れと淵が連続し、変化はあるが流れが弱く竿抜けになるポイント。午前中には日差しを浴びてしまうが、午後になると木々により遮られる日差しと適度な深みにより渓魚の居心地の良い場所に生まれ変わる。

 

  早速岩盤や大岩に絡む深みや落ち込みにルアーを通していく。流れが強ければジェイドをメインで考えるが、今は渇水気味。パニッシュ55Fをローテーションの柱に、状況に応じてウェイビー50、淵や水深のある流れは表層を攻めた後、ジェイドをフォローで入れていく。


 ロッドは修理から戻ってきたばかりのIBXX-60MT。久し振りのメインロッドはやはり使い勝手がいい。長すぎず、短すぎず、川通しで釣り上がるときにはこの汎用性は重要だ。

 

  暫く反応のない時間が過ぎた。徐々に川幅は狭まり、開きで一旦緩んだ流れが深瀬に向かって絞られ、押しの強い流れが水中の岩をすりぬけ、このエリアでは早い流れのポイントに来た。

 

 上流の開きにロングキャストし、深瀬を流れに乗せてドリフトさせるが何の反応もない。少し早いのか? 上流に立ち位置を移し、ダウンクロスで大岩の前をゆっくりと横切らせると早速反応があった。深みに潜んで居た黒い何かが、ピックアップ寸前にパニッシュに襲い掛ってきたのだ。

 

 少し慌てたが、至近距離で暴れる魚の動きを、ロッドの粘りで受け止めながらラインを引き出し、魚との適度な距離を取って一気にネットイン。真夏の水面を意識したイワナのような喰い方。「こんなアマゴも居るんだ?」と驚かされた。尺は無いが秋色の良型アマゴ。かっこいい魚だ。ゆっくり流せたことが良かったかな?



 直ぐ上の開きでもパニッシュ55Fアユカラーでアマゴを一尾追加。この魚も秋色を纏ったアマゴ。

 

 この2匹からも秋の深まりを実感し、初日の釣りを終えることにした。



■ ダム放流

 深夜、雷鳴とともに天候は雨。その後この川で初めてダムの放水を伝えるサイレンを聞くことになった。チャンスなのか?

 

 翌朝すぐに川の流れを確認すると、若干の笹濁りが入り増水していた。チャンスだ。居てもたってもいられずポイントに向かう。流れは昨日とは比べ物にならないほど太く強く、川通しの釣りは難しい。急な放水に備え、狭まった流れの強いポイントは危険と判断し、逃げ場のある規模の大きな本流域を中心に狙うことにした。

 

 まずは荒瀬からの落ち込み。浅靄のかすむ水面は幻想的で気配は十分。水位上昇でスイッチの入った大型のみに狙いを絞り、DDパニッシュ65Fを落ち込み脇の緩い流れに送り込んでいった。キャストして水を掴ませゆっくりと引いてくると、狙い通りひったくるような当たりとともに、魚が水面に浮いた。まずまずの良型。薄暗い水面に白い腹を露わにしながらローリング。「よし!」そう思ったのも束の間、あっけなくフックオフ。「なんだよー。」

 

 最初の魚をバラシた為なのか?その後に入ったプールや岩盤エリアなど期待していたポイントは無反応。せっかくの増水のチャンスを生かすことはできなかった。



■ 本流域

 いったん車で移動し、爽やかな秋風で黄金色の稲穂が揺れる水田を眺めながら、気持ちを切り替えて少し下流の瀬に入った。

 

 河原のブッシュを薮漕ぎしながら辿り着いた瀬のポイントは、落ち込み、淵と流れに変化があり、木々で適度に日差しが遮られ、日が高くなったこの時間でも釣りになるポイントだった。


 ここでも小型ミノーは封印し、ウェイビー65で対岸の岩盤や流れのヨレ、大岩の前後にルアーを送り込みながら誘っていく。表層で反応が無ければ少しカウントダウンしながら、縦方向に探りを入れる。

 

 開きから瀬に繋がるポイントでウェイビーに当たりが合った。恐らく岩盤の際に着いていた魚が、流れの中央で喰ってきたものと思われる。26cmほどの黄金色したコンディションのいいアマゴ。いつもの5cmでなくても喰ってきた。

 

 川の規模や鮎の多いポイントであれば、少し大き目のミノーも効くことが確認できた。狙っていたのはこのクラスではなかったのだが。



■ 瀬の中で

 釣り下っていくと川の表情は変わっていった。増水の影響もあり、夏の渓流ならば絶好の水深のある早瀬に来た。久し振りに勢いの増した川は、日の光を浴びて眩しく輝いて見えた。ただ季節は間違いなく秋。瀬の真ん中で出てくるとは思えなかった。流れの緩い場所、ボサや障害物周りを中心にルアーを通していった。


 ウェイビー65で暫く反応が得られなかったので、いつものパニシュ55FのTSホロに戻し、緩い流れを攻めたのちに、早瀬を横切らせた時だった。瀬の中で何かに触れたような当たりがあった。

 

 瀬の中でこの時期に出るのかな?半信半疑でパニシュを瀬の強い流れを再び横切らせながらドリフトさせると、瀬の真ん中で何かがルアーにアタックしてきた。水面に姿を現し、暴れながら流れに乗って下っていく。強い流れの中で無理はできない。いっしょに流れを下りながら、流れを切りながら手前の浅瀬に寄せてランディング。アマゴだ。僅かに尺はなかったものの、パーマークが少し割れ、赤く薄化粧した秋色アマゴ。

 

 この時期静かな流れに居ることが多いのだが、増水後の瀬の真ん中で喰ってくることに少し驚かされた。久し振りの増水で活性が上がったのだろうか?この時期の新たな攻めの引き出しを一つ追加することができた。



 午後からは増水時にいい思いをした森の中の流れを攻めることにしたが、期待していたポイントは先行者に攻められ、強い流れで少し危険を感じていたのでおとなしく帰ることにした。



■ いよいよ終盤

 これからいよいよ終盤戦に入る。禁漁前の一発大物狙いの釣りになってくる。水位の変化や時間帯を考えながら大物が潜むポイントを絞り込み、いかに攻めるかがカギになる。簡単に出会えるとターゲットではないが、なんとか有終の美を飾る魚でシーズンを終えられればと思う。できれば鼻曲りの大型の雄に出会いたい。この出会いを求め禁漁までこの川に通うことにしよう。



● マイタックル

◇ロッド スミス インターボロン IBXX−60MT
◇リール シマノ ステラ C2500HGS
◇ルアー スミス  ウェイビー50・65  パニッシュ55F・SP
   ジェイドMDF・SP D−コンタクト50 D−コンパクト
   D−インサイト44・53 ピュア5g日本アワビ
◇ライン ヨツアミ PE G-soul WX8 0.6号
◇リーダー ダイワ D-FRON α フロロカーボン 1.75〜2号



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