『12月上〜中旬 水郷各所釣行』


  池島 竜一(SMITH STAFF)



 多くのアングラーがシーズンオフ突入を意識する時期。自分は反対に水郷の冬バスシーズン突入を意識してソワソワするようになる。

 もちろん、行き当たりばったりで釣行して結果が出せる釣りではない。フィールドに通い込み、越冬場所へのバスの集結度合を把握し、その場所を自信を持って釣り込むというのが自分のスタイル。よってこの時期は時間の許す限りフィールドへ通うこととなる。


11月29日 水郷各所

 晩秋とも言えるこの時期、バスは越冬場所に集まりつつある反面、喰い自体はまだまだ旺盛。よって的確なエリア選択さえ出来ていれば多数のバイトが得られる。容易にバイトが得られない時期に突入すると越冬場所へのバスの集結度合はチェックできないので、この時期は越冬場所のポテンシャルをチェックすることに重点を置く。こうすることにより寒さが本格的になる時期に入っても自信を持って自分の選んだ場所を釣り切ることが出来るようになる。この日は3箇所のフィールドをチェックした。

 まずは茨城県某川の消波ブロック帯A。朝のうちは打ち付ける波が影響してかノーバイトだったが、10時を過ぎて波が収まりを見せるとともに急激に喰い出した。消波ブロックインサイドの隙間にダウンショットリグを入れていくと小バスやブルーギルのバイトが頻発する。まだまだ秋の要素が強いことが伺える。

 消波ブロック帯の沖のアウトサイドにダウンショットリグを掛けてシェイクすると抑え込むようなバイトが出た。フッキングさせると既に消波ブロックに潜り掛けていたが何とか引き出すことに成功。ファイト中も消波ブロックに潜られることがあったが無事に切り抜けてキャッチ。ジャスト40cm。

 続いては千葉県某所をチェック。ここは岸沿いの沈み物にバスが付いている。現地に到着すると想像以上の濁りにたじろいだが、スパイニーアックス(コーク)のワッキーリグでチェック開始。30cm弱のサイズを1尾キャッチしたので一安心。

 余談だが、濁りの強い水域においてはスパイニーシリーズ特有の「毛」による強い水押しはかなり強いアドバンテージになると感じることが多い。ワームのカラーセレクトももちろん大事だが、この水押しによって濁った水の中でもバスにワームの存在を気付かせることが出来ているように感じる。

 夕刻は新利根川某所をチェック。手堅い場所選択をしたつもりだったが、こちらは許容範囲を超えるほどの濁りで川がミルクティーのようになっていた。1度ショートバイトがあったがそれっきり。濁りが収まらない事にはチェックにならないだろう。

 暦上、当然と言えば当然だがまだ水の中の季節は秋と感じられた。濁りによってチェックし切れていない面もあったが、まだまだ越冬場所への依存度が低い印象を持った。


12月6日 茨城県某川

 冬傾向が強まっていることを期待して1週間前にも釣果のあった茨城県某川の消波ブロック帯Aへ。しかし予想以上に風が強く波がザブザブ打ち付けている状況。これでは釣れない。そこで今シーズンはまだチェックしていない消波ブロック帯Bに入ることにした。

 消波ブロック帯Bは消波ブロック自体がだいぶ埋まっており隙間がない。そのため、消波ブロックの隙間にバスが入り込むのではなく、消波ブロックの間や沖目のアウトサイドを回遊するタイプのバスが多い。厳寒期にはあまり期待できず、初冬に本領を発揮するタイプの場所。

 よってここではピンスポットを狙い撃ちする一点シェイクではなく、シェイクしながら横方向にスイミングさせることでバスのスクールにコンタクトできるよう意識して釣る。

 水温低下に伴いやや水の透明度が上がっているように思えたためスパイニーシャッドのライトシナモン/グリーンフレーク、ゲーリーオケラの206をチョイス。水の透明度が上がっているということは数日間底荒れしていないことをも意味している。冬の釣りでは数日間状況が安定していることが非常に重要なので、透明度が上がっていると感じられるエリアは状況が悪くないと判断して良い。

 この日は狙い通りスクールに当てることに成功し、43cmを筆頭に8本を連続キャッチすることが出来た。

 私の連発劇を見ていた後続のアングラー達に取り囲まれてしまい移動もままならなくなってしまったのと、風向きが東寄りに変わった時点でバイトが止まってしまった。ここまで釣ったら何とかあと2本キャッチして二桁の大台に乗せたいところだがそれを意識してからのバイトが遠い事。

 辛うじて何とか1本を追加することに成功したが、さすがにこの場所でこれ以上絞り出すのは難しいと判断。


 朝に一度立ち寄った消波ブロック帯Aに移動してみる。しかし昼頃までかなり波が打ちつけていたのだろう、強い泥濁りとなっていた。とはいえ他の場所に移動している時間はなく、ここに賭けてみるしか手段が無かった。

 ゲーリーオケラ(ブラック)のダウンショットで攻めていくが案の定バイトがない。半ば諦めかけていた頃にブルーギルが突くようなバイト。期待せずアワセを入れたところ30cmほどのバスで、何とかこの日の釣果を二桁に乗せることが出来た。

 近年は冬でもバス釣りをするアングラーが増えたことでエリアをシェアしながらの釣りになったり、釣果に関しても冬本来の爆発力を感じることは少なくなったのだが、この日は久し振りに冬本来の爆発力が垣間見れた釣りとなった。


12月13日 水郷各所

 私は通常ウインターシーズンの雨天には釣行しないのだが、1週間前の二桁釣果が頭から離れず、状況が変わらないうちに攻めておきたいという一心でレインウェアを着ながらの釣りを決行。

 この天候ならば他のアングラーも少ないに違いないという期待もあったが、それが甘い考えだったことを痛感することとなった。茨城県某川の消波ブロック帯Bには、私が一番乗りではあったものの次々と後続でアングラーが入ってくる。朝8時を過ぎると岸釣りで7〜8人、バスボートが2艇ほどの大混雑。勿論、朝から雨が降り続いている状況なのだが、この時期の雨降りにこれだけ釣りに来るアングラーが多いというのには少し驚いてしまった。

 ところがいざ釣り始めると1週間前の連発劇が嘘のようにバイトがない。状況的には2日前の爆弾低気圧によるまとまった降雨で増水し濁りも強くなっていた。果たしてバイトがないのはこの急激な状況変化によるものなのか、それともスクールに遭遇していないだけなのか、或いは季節が進行しスクールするバス自体が居なくなっているのか。その理由を知りたく昼過ぎまで粘るが釣果は得られず。

 午後はバスが確実に集結し始めている消波ブロック帯Aへ。しかしこちらも爆弾低気圧の影響でかなり底荒れしている印象。期待できそうもないと思いながら釣ってみると、意外にもバイトが出て30cmクラスをキャッチ出来た。壊滅的な状況ではないと感じ、じっくりと攻めてみることにした。


 ここで想定外のハプニングが発生。小型ボートで釣りをしていたアングラーが落水するという状況に遭遇。付近にいたヘラブナ釣りの人と2人で救助活動を行う事となった。落水者はライフジャケットを着用しており無事で、ボートやタックル一式も陸揚げすることが出来た。
 いかんせん低水温期なので長時間川に浸かっていたら危なかっただろうが、特に何事も無かったようで胸を撫で下ろす。偶然だったとはいえ、ヘラブナ釣り師の人と私が現場に居合わせていたのは不幸中の幸いだった。

 その後は集中力を欠いてしまい、ようやくヒットに持ち込んだ魚を凡ミスでバラしてしまうなどグダグダな展開に。流れを変える意味もあって与田浦へ移動。スパイニーアックスで丁寧に攻めてみるがノーバイト。

 数ヶ月前にハクレンの大量死騒ぎがニュースになった与田浦だが過去にも同じ事例は起きており、少なからずバスの個体数も減少したという前例がある。今年のハクレン大量死に関してもバスがその影響を受けている可能性は大きいだろう。


12月18日 茨城県某川

 自分としては貴重な平日釣行。きっと釣り場への人出も少ないだろうと思ったが大間違い。朝イチで向かった茨城県某川の消波ブロック帯Aではいきなり二人組の先行者有り。止む無く距離を空けて先行者の後方から釣り始めた。幸いにも先行者はメタルバイブを投げているようで自分の狙っている魚は温存されていると考えた。

 ゲーリーオケラのダウンショットリグでじっくり攻める。朝のうちは超ショートバイトに苦戦。時間の経過とともに明確なバイトが出始め何とか2本ヒットさせ1本をキャッチした。

 続いて消波ブロック帯Bに移動するが、こちらも平日にも関わらず先行者、さらには次々と後続者もやってくる。しまいにはどこかの撮影班まで入ってくる始末。平日とはいえかなりプレッシャーがキツい状況だったが、ここ数日の天候は安定しており、状況的には決して悪いようには思わなかった。

 かなり時間を掛けて攻めてみたがこの日の消波ブロック帯Bはかすりもせず。スクールに当たらないというよりは季節の進行によりスクール自体が居なくなっていると判断。夕マヅメになると途端に釣れ出すこともある場所なのだが昼間のプレッシャーが高いとそれすらも期待できないので見切りをつける。
 消波ブロック帯Bで反応が得られなかったということは季節がいよいよ冬パターンに移行していることの証明でもある。この場合は、深い隙間のある消波ブロックを攻めることで越冬状態のバスを直撃していく釣りがベターとなる。

 続いて移動した消波ブロック帯Cはテトラポッドが沈んでおりその隙間がかなり深い。ところが震災後の復旧工事においてテトラポッド上にフィルターユニット(網石)が入れられてしまった。フィルターユニットに挟まるとダウンショットリグのシンカーでさえも次々とスタックしてしまうのでこの場所の攻略はかなり難易度が高いものとなった。

 スパイニーシャッドのダウンショットリグで攻めるとバイト有り。しかし不意を突かれてミスしてしまった。消波ブロック帯Cのチェックは今季初ではあったもののエリアに対しての確信を得る。続くバイトは思っていたよりも浅いレンジで出た。陽が傾きかけていたタイミングだったからかもしれない。パワフルなファイトの末に上がってきたバスは体高のあるグッドコンディションの37cm。

 その後さらにノンキーパーサイズを追加した。このサイズが元気だということは消波ブロック帯Cに関しては他のエリアと較べて季節の進行がやや遅い可能性がある。


 水郷エリアの12月というのは決してオフシーズンではなく、越冬場所を高い精度で攻略することにより釣果は出せる。但し、比較的容易に釣果が得られるのは年末までで、年が明けるとその難易度は一気に増し修行釣りの季節となるのが例年のパターン。

 12月に足繁くフィールドに通い込むのはラストチャンスに賭けるという目的もあるが、来たる修行釣りの時期に向けて場所を絞り込む作業でもある。冬の釣りは忍耐と信念が問われる。12月にフィールドに通わなければ、そのいずれをも持ち合わせることは出来ないだろう。


【使用タックル】

 ROD  REEL  LINE  LURE
ツアラーV-SPEC
TVS-63L
REVO NEOS
2500S
FCスナイパーBMS 4.5lb. スパイニーシャッド2.5インチ(ダウンショットリグ)
(1/32〜1/8ozシンカー、GYオフセット#2)
ツアラーV-SPEC
TVS-63L
REVO NEOS
2500S
FCスナイパーBMS 4.5lb. オケラ(ダウンショットリグ)
(1/32〜1/8ozシンカー、ノガレスインチフックLARGE)
ツアラーV-SPEC
TVS-63L
REVO NEOS
2500S
FCスナイパーBMS 4.5lb. スパイニーアックス4インチ(ワッキーリグ)
(ガード付マスバリ#5)



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