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<ヘビーシンキングミノー・D-コンタクト開発話>




● 開発のきっかけ

自分のスタイルが釣り上がるスタイルであり、アップ、アップクロスキャストを多用する。その中から下記の開発ヒントが生まれた。


1. 自分のミノーを追って10cm下まで来てUターンする魚を多く見てきて、動かし方の問題というよりはタナでは、と考えるようになった。

→ よりヘビーなシンキングミノーの必要性

2. 良くダンスするミノーは魚を引き出してくれるものの、ミスバイトも多いように感じていた。
喰いつく、タイミングがとりにくいのではないかと考えた。

→ 微速領域へ移行する慣性スライドの発想が生まれる

3. 状況がシビアで、ロングキャスト又逆風を突いてのキャストを必要とするシーンが常にある。
ポジションがこれ以上前にとれない時など、飛距離はアドバンテージである。
又、飛ぶということはそこのポイントを攻めるのにより手前のところにポジションをとれるメリットが生まれる。更にショートレンジでのアキュラシーも数倍上がる。

→ とにかく、飛ぶこと!


● とりあえずすぐトライ

 ウェイビー50Sにウェイトをプラスして試す。飛距離は出るものの深さ・泳ぎなどは納得できず。

 リップを大きくし水噛みを良くしたり、角度を変えてみたが既存のボディーでのマイナーチェンジではやはり通用せず、専用ボディーの開発が必要となった。

ウェイビー50Sをウェイトチューンしたもの


● 専用ボディーに込めたコンセプト

 専用フォルムの開発においては、全長わずか50mmの小型ミノーを極力ヘビーウェイトにするという点と、それに相反するジャーク・トゥイッチ時のアクションレスポンスを両立させる必要性があり、そうなるとリップの大型化に加え、後述のポテンシャルを引き出すべく、重心ベクトルに対して真上に最大浮力を置くことで改良を繰り返した。

 その為、ミノーでありつつも「への字」ボディーにて体高を持たせた独自のフォルムをもつに至った。

 当然、ウェイトに関しては少ない容積にMAXウェイトを搭載させるための比重18という高比重のタングステンウェイトを搭載している。4.5gという50mmクラスのミノーでは破格の自重を持たせつつも、アクションレスポンスを損なわない理由はそこにある。

試作した各種初期プロトタイプ。
開発初期はバルサ製(上3つ)、大まかな機能をチェックした後にアクリル製(下2つ)で試作を進めていった


● テスト、テスト、テスト・・・

 自分のイメージ通りのダンス、振り幅を出すことからスタート。

 既存のミノーより振り幅を狭くしながら、ヒラを打たせる調整を行った。従来ミノーが20cm動いて90°ボディーを回転するのに対し、「D-CONTACT」は10cm動いて90°の回転を得るイメージである。同じ距離でより細かくヒラを打たせることを求めた。
 更に「D-CONTACT」の喰わせのキモである微速領域に移行する慣性スライドを発生させるバランスを組み上げていった。

 ここまででかなりの完成度を見ることが出来たが、もう一つ難題が待っていた。ダウンクロス、ダウンでの飛び出しを無くすことである。
 自分の釣りスタイルではアップストリームキャストが主であり、ダウンクロス、ダウンキャストを多用することはない。しかし、フィールドでは少なからずこの方向のキャストを必要とするシーンに出くわす。石のサイドなど、ここぞ!というポイントでトゥイッチをかけたら、ミノーが飛び出してしまうといった歯痒さを何度も味わってきた。

 テストはかなりの流速で沈石のある複雑な流れをセレクトして行った。各種の市販品も併せてテストしてみたのだが、21種類のミノー中、合格したのはD-CONTACTプロトを含めたわずか3種のみであった。
 更にポテンシャルを上げるべく調整を加えながら最終テストに選んだのは更に速い、過酷な流れで行った。

 そして最後に残った3種のミノー中、トップのポテンシャルまで引き上げられた「D-CONTACT」プロトを確認してようやくOK、長期に渡った開発が終了した。



平本 仁





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