■ 舟子水路の顛末記 その2

 

舟子水路の続きです。

自然と言うのは強かでちょいと目を離した隙に、

自分勝手なことをするもんです。

まぁ、この場合の自分勝手とは人間の意にそぐわないてぇことで、

それこそこちらの勝手でもありますがね。笑

 

暑い夏が過ぎる前に・・・。

加えて、お盆前に・・・。

と言う予定で水路の草刈りを敢行しました。

昨年の暑さは嫌になるほどでしたから、ついつい先延ばしにして・・・。

 

 

この日は5人で草刈りを始めました。

エンジンの音も勇ましく、バリバリと草を刈って行きます。

背丈ほども伸びたヨシやセイタカアワダチソウを刈り取ります。

厄介なのはノイバラで刺すわ絡むはで一筋縄では行きません。

それでもジャンジャンバリバリと景気よく草刈りです。

草は刈り取られ、どんどんと水路の全容が見えてきました。

 

 

草を刈って行くうちに嫌な気配に気付きました。

スズメバチがやたら多く飛んでいるのです。

何処かに巣でもあるのかな???

案の定、巣がありましたよ。

太いヤナギの木の洞にオオスズメバチの巣があったのです。

 

 

傍に近寄るとブンブンと羽音を立てて威嚇して来ます。

君子危うきに近寄らず・・・。

これを実践してここから先の草刈りを止めました。

で、反対側の草刈りを始めると、

またしてもブンブンブンとハチが飛び回っています。

よく見たら、木の幹の分かれ目に穴があって、

今度はコガタスズメバチの巣でした。

 

左手にオオスズメバチ、右手にコガタスズメバチ、

恐ろしくなってこの日の作業は終えることにしました。

が、スズメバチの巣が消え去るわけもなく、

この年の草刈り作業は11月まで中断したままになったのです。

その後、何度もスズメバチの偵察に行きましたが、

巣はどんどん大きくなっているようで頭数が増えていました。

 

10月の強風台風でスズメバチの巣があったヤナギの木が倒され、

2週間ほどするとスズメバチは霧散していました。

新たな巣を求めて移動したのでしょう。

その間に手入れできなかった水路の草木は伸び放題になっていました。

素人では手が出せないほどの状況に。

そこで、防塵挺身隊に毎回ご協力いただいている

鉾田の高橋建設さんに相談して水路の草刈りをお願いしました。

 

 

さすがプロです。

僕たちでは一週間、いや10日は掛かりそうな水路全域の草刈りと、

刈った草の片づけを三日ほどでこなしていただきました。

ダンプとユンボが出動していましたが、

やはり蛇の道は蛇ですね。

 

 

すっかり草が刈り取られた水路の脇に、ゴミのポイ捨て禁止の看板や、

この水路に棲息している生き物看板を立てました。

看板はもっともっと必要なのですが看板作りも手作業なので、

遅々として進みません。

人力と言うのはこんなもんですね。

 

 

看板立てた数日後、定点観察を行いました。

すると、一ヶ所ひとすくいで83個のヒメタニシが捕れました。

また、すぐ傍で3個のマシジミが捕れました。

 

 

この二枚貝(シジミ)の出現は嬉しかったですね。

シジミが育っているということはイシガイ科の二枚貝も・・・。

となりますからね。

二枚貝が育つとタナゴやヒガイなど、貝に産卵する魚が増えます。

希少と騒がれている霞ヶ浦のタナゴやヒガイの減少は、

ブラックバスのせいではなく、

産卵床となる二枚貝が激減したから・・・などの事実が判るんです。

ブラックバスの冤罪が証明できるちゅう訳ですよ。

 

で、その三ヶ月後、2月の定点観察では、

遂にイシガイ科の幼貝が見つかりました。万歳です!

12個のシジミに交じってイシガイが確認できますよ。

 

 

これがそのイシガイ科の幼貝です。

まだ小さいのでイシガイか、ドブガイか、判断がつかないのです。

まぁ、いずれにしても僕たちが待ち望んだ二枚貝であることは、

間違いありません。

この水路に水を通すことで、二枚貝が・・・本当に嬉しいです。

 

 

水路でイシガイが増えれば、

そのグロキディウム(幼生)が水路からの流れを伝って、

本湖の石積みへと流れ出て育つことでしょう。

もちろん、本湖に出るまでのヨシ原で過ごす貝類もいるでしょう。

これらの貝類が霞ヶ浦の水質浄化を果たします。

すると、魚たちが健康になっていく・・・全てが巡り、回りだします。

 

あっ、まだこの水路での生き物採集は出来ませんよ。

もう暫く待ってくださいね。

水が動き出してまだ2年も経っていませんから!

3年はそぉ〜と見守ってください。

 

もし、無断で生き物採集をしている人がいたら、

教えてあげて下さいね。

「まだ、獲ってはダメなんですよ〜」と優しくですね。

誰が決めたんだ・・・と問われたら、

「NPO水辺基盤協会です」と答えてください。