■ プロジェクト・W

東京から霞ヶ浦の畔に移住して、かれこれ20年以上が経過しました。

思えば人生の1/3ほどを霞ヶ浦で暮らしています。

現在60余歳の僕にとって、

この20年間ほど満ち足りた時間はないと思います。

 

朝起きて、魚釣りをして、夜に寝て、また翌日起きて魚釣り。

簡単に書くとこんな生活でしたからね。

そんな生活から生まれたのが、

ゴミの散乱している釣り場で魚釣りなどしたくない! と言う願望でした。

 

アメリカ、オーストラリア、キューバ、メキシコ、韓国など、

いろんな国での釣りを経験してきましたが、

釣り場がゴミだらけなのは我が国だけでした。


 

この現状に嘆き悲しみました。

なんで日本人は捨てるのだろう?

なぜ、釣り人はゴミを置いて行くのだろう?

そんな疑問が沸々と沸き上がりました。


 

水辺にゴミが捨てられないようにと、

釣り場にゴミ籠を設置したことがありました。

ところがどうでしょう!

そのゴミ籠は家庭ゴミで溢れてしまいました。

最終的には撤去せざるを得ませんでした。


 

先日の土浦港のゴミ籠にも家庭ゴミが・・・・・・。

『拾う努力よりも捨てさせない努力を!』。

なんてぇことを平気な顔で白々と言う人が居りますが、

そんなものは絵に描いた餅なので食べられませんよ。

やがて、飢餓状態を招くことになります。

やはり、目前にあるゴミは拾うべきなのです。

 

長年の経験から、ゴミ拾いを経験した人はゴミを捨てません。

つまり、ゴミ拾いをより多くの人に体験させると、

ゴミが捨てられないようになる……と言うことなのです。

 

ゴミが見えないところから、

ゴミも拾わずに高みの見物をしているような人たちが、

『拾う努力より捨てさせない努力を!』。

なんてぇことを仰っているんですね。

 

さて、そのゴミ拾いですがね、

この度、ゴミ拾いを継続してきた皆さんの努力が実って、

国土交通省関東地方整備局より河川協力団体の指定証を賜りました。

霞ヶ浦及び常陸利根川の全域ですよ。

嬉しいですね。


 

2007年2月に霞ヶ浦河川事務所とは、

清掃に対しての相互協力の協定は締結しておりましたが、

今回は国土交通省関東地方整備局からの指定です。

 

そんな折、プロジェクト・Wがスタートしました。

プロジェクトXの一つ手前? と言うことではありません。

WeedのWです。

そう、霞ヶ浦に沈水植物を増やすための作業に、今年度から取り掛かります。

エビモやクロモ、セキショウモ、マツモ、フサモなど、

元々霞ヶ浦に存在していた沈水植物の植栽です。

 

沈水植物はその底質によって生育域が異なります。

ヘドロ底が好きな植物があります。その一方で砂地が好きな植物があります。

さらには砂礫が好きだったりなど……陸上の植物同様に、

土壌や底質によって生育出来る植物が決まるのです。

 

霞ヶ浦の底質は概ね砂泥です。

つまりはどんな植物でも受け入れてくれる底質なのです。

その証拠に、20年ほど前まではあちこちに沈水植物がありました。

もっと以前、40年ほど前には藻玉になるほど沈水植物が繁茂していたのです。

 

昔日の様な藻のある霞ヶ浦にしたい……一つの郷愁ではありますが、

長年ゴミ拾いをしていると、ここなら育ちそうだとか、

この透明度ならいけるんじゃないかとかが、判断できるようになります。

特に、防塵挺身隊の様に水中に入っての活動を続けていると、

思わぬ好条件に出会うことがしばしばあるのです。


 

で、今年からいよいよ沈水植物の植栽活動が始まりました。

2年間ほど温存して育てて来た活動です。

中心になるのは、霞ヶ浦の水中清掃をしてきた防塵挺身隊の面々です。

 

この辺は砂地です、この辺りは急深です、ここは石が多いですなど、

霞ヶ浦の水中を知り抜いているエキスパートたちに実動をしてもらいます。

もちろん、ボランティアでお手伝い下さる皆さんのご参加は大歓迎です。

一緒に霞ヶ浦に沈水植物を増やしましょう!


 

こんな植物製のマットに沈水植物を挟み込んで植えて行きます。

とは言うものの、この植物マット作りがことのほか面倒です。

また、マットを固定する竹串作りも骨の折れる作業です。

2014年は主にエビモの植栽を行います。

植物マットに挟んだエビモを竹串で固定して上から砂泥をかける方法です。

これを吉田式植栽方法と命名しました。


 

しかし、実際に活動を始めると、

植栽は二文字で片付くほど簡単ではありませんでした。

資金も資材も人材も不足しているのです。

でも、ゴミ拾い同様に、継続して行くことが出来れば、

いつか陽の目を見る筈です。

霞ヶ浦のウィードベッドでバスフィッシング・・・・・・、

そんな日を夢見てこのプロジェクト・Wを続けて行きます。