■釣りが好き

釣参菩思の意味は以前に解説したよね。
『普段は鬼畜のような人間であっても、
釣りに行くときは菩薩の心を持ち、
大いなる自然と触れ合いなさい』と云う意味である。
つまり、釣りに出かけるときは、
世間のしがらみや煩わしさのすべて忘れ、
菩薩のような無欲無心になることが、
自然の中で遊ばせてもらっている釣り人の基本姿勢として、
肝心であると説いているのだ。

しかし、このところの霞ヶ浦には、
無欲無心の釣り人がとんと居ない。
物欲に駆られ、私利私欲のために釣りをしている輩が多いのだ。
だから、湖岸はゴミだらけ・・・。
だがね、バスアングラーの多くは、
ゴミを出さないことに注意を払ってくれている。
けれど、その他の釣り人のゴミが非道いんだ。
大人にあるまじき行為を目の当たりにする度に、
鬼畜のような心持ちになるが、
釣り場では良い人であり続けようと思う。

古渡橋から上流に向かっての左岸のゴミは、
紛れもなく釣り人が残していったゴミである。
空き缶、空きペットボトル、タバコの空箱、
弁当の空き容器、コンビニのレジ袋、丸めた新聞紙、
釣り針の空包装、釣り糸、餌の空き袋、釣り糸のボビン、
ファーストフードの空き容器などなど、
ゴミの種類は枚挙に暇がない。

情けない。呆れちゃう。恥ずかしい。
同じ釣り人として、この行為は見かねてしまうので、
散乱しているゴミを訪れるたびに拾うのだが、
追いつかないのが現状である。
土手に停車している車は、埼玉、千葉、東京など他地域の車が多いが、
そのせいだけでもあるまい。
日本人のマナーそのもの、道徳観念が薄れてしまっているのである。

これじゃー釣り場から釣り人排除の動きは強くなる一方だ。
バスアングラーは特にその誹りを受けているね。
加えて、ゴミを出している張本人たちが、
「バスは外来魚だから、殺した方がいい!」
なんてことを平気の平左で言うもんだから・・・困ったもんだ。
しかし、世の流れに負けてはいけないよ。
釣り場で負荷をかけないように心がけている釣り人の代表が、
バスアングラーなんだからね。

今年も、少しでも釣り場の負荷を取り除くようにと、
全国釣り場クリーン大作戦53 PIck Up!・夏の陣を執り行うよ。
手始めは8月3日に開催される千葉県の印旛沼、長野県の千曲川、
愛知県の三好池、京都府の桂川の四カ所だ。
詳しくは W.B.S.のHP をご覧くだされ!
続く8月10日には、霞ヶ浦を始めとして
全国各地で「53 Pick Up!」が開催される。
時間とお金、それに心意気のある方は、
是非とも参加されたし!!

ブラックバスに出会って、
ブラックバスからいろいろなことを教わって、
バスフィッシングで様々を学んだのだから、
バス釣り場を守るのがバスアングラーの使命だとオレは思うんだ。
釣り場の清掃なんて、ほんの僅かな恩返しだけれど、
その僅かな恩返しでバスも水辺も喜んでくれるって考えれば、
頑張り甲斐がある。
そして、この清掃活動を続けていくことが、
釣り人全体のマナーの向上や育成に繋がるって考えれば、
心の中に菩薩が棲むようになるさっ。
それでこそ、釣参菩思だね。
釣りが好きだからこそ、釣り場を守ろうよ。

フナもコイも、タナゴもクチボソも、バスもブルーギルも、
チャンネルキャットフィッシュだって、魚釣りの対象魚である。
水があって、そこに魚が居て、立入禁止でなければ、
魚釣りが成立するのである。
霞ヶ浦に住んで、十年以上も霞ヶ浦を見つめていると、
水中の生物たちは毎年その活動を変化させる。

引っ越して間もない1992年頃、
7月の早朝には二時間ほどで百匹以上のワカサギが釣れた。
翌年は湖岸の至るところで、50〜60cm級のコイが釣れた。
三年後の土浦新港では、
リール仕掛けに数珠なりになるほどのテナガエビ。
四年後、ワカサギが釣れなくなり始めたが、
他の魚は釣れていた。
2000年、霞ヶ浦の水が変わり始めた。
キャットフィッシュが増え始めた。
2001年、各地でタナゴが釣れ始まった。
2002年、白濁化が益々進んでバスの気配が消えた。
ブルーギルさえも少なくなった。
2003年、ご存知の通りである。
そして、国土交通省の霞ヶ浦意見交換会が始まった。

霞ヶ浦のいろいろな変化を目の当たりにして、
自然の生物の影響など、それほどではないことを知った。
いま騒がれているキャットフィッシュだって、
あと数年も経てば釣れにくい魚になるかも知れない。
アメリカでは狙って釣らないとそれほどは釣れないからね。
だから、注意すべきことは、ゴミを釣り場に持ち込まないこと、
そして、ゴミを釣り場から排除することだ。

各地で外来魚問題が騒がれているが、
外来で騒ぐべきは、化学物質の外来ゴミである。
釣り人が残していく、観光客が捨てていく、
便利なペットボトルや弁当の空容器などの化学物質ゴミである。
また、産廃の不法投棄などによる地下水汚染や水辺の汚濁こそが、
排除すべき最重要項目なのである。
さらに、田植え前の代掻き水の河川や湖沼への流入も、
今後取り組むべき大きな問題だと考える。

つまり、大切なことは、
人間によって変化させている自然環境を、
極力変えないように努力をすることなんだ。
そのためにも、釣り場の清掃にご協力のほど!