■ダッチャンルアー!(ダッチャンとは隠し玉、最終兵器的な意味である)

交通事故以来、一ヶ月ぶりの釣りである。
もちろん、リハビリを兼ねての釣りなので、
それほどガンガンに出来るわけもなく、
正味4時間ほどの釣りとなった。

土浦新港からボートを出したのは、
午前8時を少し回っていた。
本日の介添人は、WBSのホームページを製作している
HPデザイナーの和田純。
以前はウィンドウズ使いだったので、宇院堂純と呼んでいたが、
ここ2年ほどはマックを愛用している裏切り者である。
もっとも、オイラは初っ端からマックユーザーなので、
ありがたいと云えばありがたいのだが・・・。

この日は、午前中は曇りで、
午後から雨という天気予報だったにもかかわらず、
朝から雨が降っている。
「なんじゃー、天気予報はやっぱりあてにならんのう!」
なんてーことを一人でブツブツ言っていると、
雨足はさらに強くなった。罰でも当たったのだろうか?

両手と左足の包帯が、普段以上に動きを鈍くする。
その上にカッパだぜぇ〜。
こんな格好じゃ〜、釣りしたくねぇなぁ〜。
頭の中には、このところの『釣り倦怠症状』が出始めた。 しかし、ボートのスピードが増すに連れ、
体の中に秋の冷たい空気が流れ込み、活力が注ぎ込まれた。

水温18℃、水位20cmほど減水、透明度20cm、
相変わらずの泥色濁り。
霞ヶ浦の水色は、一年中ターンオーバー状態色だから、
驚くほどのことではない。
しかし、オレが引っ越して来た当時よりは、
さらに悪化していように感じられるのだが・・・。

鉄パイプに岩盤が絡んだ浚渫のシャロー、およそ1.5mを、
オレがディプシードゥー#2の茶色くん、
和田純がスピナーベイト1/2OZ、チャートルースで探った。
コッコッコッ・・・と云う岩盤にリップが当たる感触のあとに、
カッツーンと云う足を突っ掛けたような感触が伝わる。
これが鉄パイプである。
二つの感触を楽しみながら、
「この辺りに絶対おる。必ずおるぞっ!」
心に念じてキャスト&リトリーブを繰り返す。

最初にバスを誘惑したのは、和田純のスピナーベイトだった。
口惜しいことに、1400gほどのナイスフィッシュである。
これくらいのサイズなら、
リハビリ中のオレにとって、もってこいだったのだけれど、
残念ながら和田純の獲物になってしまった。口惜しいなぁー。

次いでの場所は、1〜1.3mのシャローの岩盤帯。
ここには鉄パイプが絡んでいない代わりに、
点々とだけれどゴロタ石がある。
湖岸のコンクリート護岸工事をしたときに生じる廃材を、
“ポイッ”したらしいのである。なんてー業者だ。
目に見えない水中の中には、人間の悪徳が沈められているんだねぇ。
ここではノーバイト!

あちこちバスを求めて彷徨いたけれど、
動きの良いバスが見つからない。水面炸裂は起こらない。
岸辺にいるのは、15〜20cmほどのイナっ子ばかり。
あのサイズの魚を食っているバスがいるとしたら・・・。
大きな希望をディプシードゥーに託して、
オレはキャストを繰り返した。
の、結果が、なぁ〜んと、点々が足りないハス。
関西地方では、ケタバスと呼ばれてるヤマベの親方風の魚。

大昔、初めてハスを釣ったとき、
オレは日本記録のヤマベを釣ったんでは?
なんてーことを思ったね。
オレがガキの頃、関東には生息していない魚だったからね。
持って帰って近所の釣具屋のオヤジに見せたら、
「コウジ、こりゃーハスだ。オイカワじゃーねぇよ」
って云われて、ショックだったあの憎いあん畜生だ!
でも、本日のファーストフィッシュ。悲しいけれど初ヒット。
取り敢えず和田純に写真を撮って貰って、リリース。

このままバスが釣れずに終わってしまうのか?
何とか一匹を! その強い思いから、
バスの動きが良さそうな浚渫エリアへ移動した。
6メートルから80cmほどの水深まで、
一気にかけあがる島状に残された砂利採掘の浚渫跡は、
その島が岩盤で構成されていることは容易に判断できる。
このカケアガリに潜むバスを誘い出し、口を使わせるのが、
本日最後の作戦である。
和田はスピナーベイト、オレはクランクベイトでバスに挑んだ。

ガッテェ〜ム! またしても和田のスピナーベイトが火を噴いた。
オレの心の中に焦りが渦巻き始めるが、
その蚊取り線香のような焦りを消し去ってくれたのが、
加山雄三の『君にスープを』である。
こいつを口ずさみながら、ディプシードゥーをリトリーブ・・・。
ククッ〜ンというストライクは、
ニヤついてしまうほどの快心のアタリだった。
困ったときのディプシードゥーだ。
この日、最後の最後に、秋サスペンドの釣り難いバスを、
ダッチャンのディプシードゥーが誘い出してくれた。
Thank you so much !