コットン・コーデル商品ラインナップ
コットン・コーデルヒストリー
コットン・コーデル(Cotton Cordell)。この会社は1957年に創立された。社長の名がそのまま社名になっている。彼はアー
カンソー州ホットスプリングスの近くで父親が経営するボートドックを手伝いながらフィッシングガイドもやっていた。彼は考
えた。「商売が上手くいくためにはお客さんに喜んでもらわなければならない。喜んでもらうための一番の早道は、たくさん
釣ってもらうことだ」。
彼はお客さんや友人のためにルアーを作り始める。コンセプトはただ1つ、「釣れるルアー」だ。
このルアーは他のルアーが全く効果がないときでも魚をキャッチし、瞬く間に評判になる。それから彼がルアーメーカーとし
て起業するのにそれほど時間はかからなかった。
コットン・コーデルの名を不動のものにしたのはビッグO(オー)だ。これは現在のクランクベイトの原型と言われており、そ
のオリジナルは1967年にフレッド・ヤングがバルサを削り出して作ったものだった。そしてその性能を忠実にプラスチックで
再現し、均一な品質で量産したのがコーデル社だ。
このクランクベイトは爆発的人気を博する。そして「アルファベット戦争」が勃発する。コーデルがOならウチはAだ、Bだ、R
だというように名前にアルファベットを冠したルアーが続々と登場した。
もうひとつ、コーデル社を紹介するのにとっておきの話がある。この会社はラトルルアーを生んだメーカーでもあるのだが、
実はこのラトルルアーには誕生秘話があるのだ。
それは70年代後半、スーパースポットの製造現場で起こった。このバイブレーションルアーはヘドンのスーパーソニックを追
いかけたもので、当初はソニックと同じくノンラトルだった。バランスを調整するためのウェイトは、内部にピッタリ収まるよう
に設計されていたのだ。
ある日、ウェイトをはめる作業を担当していた女工さんがミスを犯してしまう。その日一日、スポットに入れるウェイトのサ
イズを間違え、本来のサイズより小さいものを入れてしまった。そしてこのスポットはそのまま出荷されてしまう。
この日この女工さんによってウェイトを詰められたスポットは、振れば当然のように音が鳴ったわけだ。まったく同じサイズ
で同じカラーで、同じパッケージのスポットなのに、振ると音の鳴るのものと本来の鳴らないものが市場に出回ったことにな
る。といっても全体の量からすればその日一日だけだったわけなので、ほんの僅かでしかなかったはずだ。見過ごされても不
思議ではなかった。しかし、これが鋭いアングラーに発見されることになる。
後日、コーデル社にアングラーから電話が入る。「おたくのスポットで音の鳴るヤツ、あれがよく釣れるんだ。欲しいんだけ
ど、お店にはもうないんだよ。売ってくれ」。
電話を受けたオペレーターは何のことだかわからないのでデザイナーに電話を回した。デザイナーは断言する。「それはウ
チのルアーじゃないですよ」。
「いや、おたくのスポットだ」
デザイナーは言った。「お客さん、申し訳ないけどそのルアーを送ってもらえませんか」。
送られてきたルアーを見てデザイナーは驚く。確かにスポットだ。そして音が鳴る。これはウェイトを間違えたなと想像がつ
いた。
今度はデザイナーが電話を入れた。「このルアーを解体させてもらえませんか。お返しに同じものをたっぷり差し上げます
ので」。
OKを取り付けてこのスポットはグラインダーでまっぷたつに切られた。すると案の定、本来入れられるべきウェイトより小
さいものが入っていた。
振れば音が鳴るルアーがいいのなら、それを作ろうじゃないか。こうしてラトルサウンド付のスポットが誕生した。そしてこ
のラトルルアーは爆発的なヒットを飛ばし、他のタイプのルアーにもラトルサウンドが導入されるようになる。ミノーではログ
(スミスウィック)が最初にラトルを入れた。ポッパーではレーベルのポップRだ。
「当初私はボートドックのお客さんと友人のためにルアーを作った。そして今は全世界を相手にルアーを作っている。規模
は変わってもお客さんも友人も、そして世界中のアングラーたちも、私のルアーで魚を釣っていることに変わりはない。もし私
のルアーが釣れないものならば、もはや私の名はコットンコーデルではない」。
創業10年後、世界を相手にするまで成長したコーデル社長はそう語った。規模は変わっても「釣れるルアー」を提供すると
いうコンセプトは変わらないと断言したわけだ。この精神はそのままコットンコーデルブランドのルアーに引き継がれている。