前回のレポートでは素晴らしい秋鱒との出会いを報告することができた。今回は禁漁までの釣行記をお届けしたいと思う。
【更に良型を求め】
今季初の秋鱒は先行者との入渓のタイミングをずらすことで手にすることができた。最初の魚を獲るまではなんとか一尾と考えるものだが、これが釣り人の性なのだろう。手にしてしまえば更に大きく美しい魚を求めるものである。もちろん私も釣り人の端くれ。更なる良型を求め上流を目指していった。
木々が鬱蒼と生い茂る森を進むと落差のある落ち込みや淵が目に付くようになってきた。時折聞こえる野生動物の鳴き声や周囲の変化に注意を払いながら、薄暗くなっていく渓を更に奥へと歩みを進めた。
川底は岩盤やガレが多くなり、開けた砂利底の流れは少なくなっていった。落ち込みの脇の穏やかな流れ、沢の合流を注視しながら、気配を悟られぬようすり足で流れを遡っていく。
プレッシャーが高まる流れでは、秋鱒が思わぬところに身を寄せていることも多い。先行者に怯え警戒モードになった魚達だ。僅かな深みに潜む秋鱒に更にプレッシャーを与え、流れの中に追いやってしまうことが度々あった。こうなってしまうとしばらく流れに戻ることはなく、深追いをしてもいい結果は得られない。狙うべき魚は浅瀬に出て単独または縄張り争いをしている警戒心の薄れた魚である。
【開けた流れ】
深い森の先にようやく開けた流れが見えてきた。大きな岩の周りに幾筋もの流れが通り、わずかな落ち込みの脇に砂利底の浅瀬があった。いかにも秋鱒が足を止めそうな流れだ。不用意に近づきすぎないよう注意を払い、手前の落ち込みを丁寧に確認しながら狙いのポイントに近づいていく。そして覗き込むように眺めると、大きな岩の落ちこみの下流に背中が灰色で腹が黒くなったアマゴ達が群れていた。その光景は秋鱒を獲った時の状況に似ており、周囲に良型の姿を探した。するとすぐ上の水泡の中で黒い大型の魚が一瞬姿を見せた。
「居る!」
思わず息を飲んだ。
「どう喰わせようか?」
前回同様秋鱒とアマゴの群れである。自由に泳ぎ回るアマゴ達の様子からプレッシャーがかかっているとは思えない。しかし狙いの秋鱒は少し上流の白泡の中に居る。この遡上鱒の状況が不明なため、しばらく浅瀬に出てくることを期待して待つことにした。
スナップには何のルアーを結ばず、静かにイル・フロッソ TILF-53TRを河原に静かに置いた。
【ウェイビーS65】
10分ほどその時を待ったが残念ながら何の変化も起きなかった。アマゴ達も相変わらず瀬肩の浅瀬に群れて白泡に潜む大型との距離を保っている。
「夕まずめまで待つのか?」
流石にそこまでのんびりしていられない。そこで意を決して白泡を攻めることにした。まず手始めに実績のあるウェイビーS65の赤金から様子を見ていった。上流からドリフトで流れに乗せて白泡に落とし込み、すぐにラインを張って流し込んでいく。反応はなかった。
続いて角度を変えて最初はアクションを加えず、次にわずかにアクションを加えて様子を伺ったが、これにも無反応。
最後にPM(パールマーブル)でフォローを入れたがどれも結果は同じであった。
【D-コンタクト50で】
「警戒しているのか?」
この秋鱒は何かの違和感を感じて逃げ込んだ魚かもしれないと考えを改め、ならばより深いレンジからのリアクションで口を使わせようと攻め手を変えた。
ルアーはD-コンタクト50 赤金。ウェイビーS60同様、上流から流し込んだが反応がないため、次に白泡の中に直接打ち込み始めた。立ち位置を変えてトレースコースに変化を加え、竿先で棚を調整しながら魚の口元に送り込んでいくと、岩陰の反転流に沈めたD-コンタクト50に当たりがあった。
「喰った!」
魚は水面に浮きあがると、流れに乗ってこちらに向かってくる。最初の落ち込みを無事通過した魚は、そのまま落差のある瀬を下って行く。私も足場の悪いゴロタの瀬を魚に続いて下り、下流に見えた穏やかなプールを目指した。
なんとか外れることなくこの瀬を下った魚は、下流の穏やかなプールに辿り着き、今度は川底に逃げ込もうとしている。根に入られてはたまらない。ラインを張って魚を浮かせてランディング。この時ようやく魚の正体が岩魚であることが分かった。
スレンダーで丸く優しい顔の魚なので雌の岩魚と思われる。まだ婚姻色は見られず秋が深まるとともに体が秋色に染まっていくのだろう。長さは36cm。白泡に潜んで居たあの黒い遡上鱒とは明らかに違う魚であった。複雑な想いを抱きながらこの良型の岩魚を素早く画像に収め、すぐにあの秋鱒のもとに向かった。
しばらくポイントを休ませ釣りを再開したが、場荒れしてしまったようで狙い秋鱒からの反応はやはり得られなかった。
仕方なくこのポイントを諦め夕まずめまで釣りを続けが、上流に向かうにつれて人影に怯えた遡上魚が多くなり、いい流れに出ている警戒心の薄い秋鱒を探し出すことができないままこの日の釣りは終了となった。
【最終釣行】
禁漁間近にこれほど増水に悩まされる秋は記憶にない。渓には遡上のための良好の流れが確保されていたが、釣り人には若干釣り辛い状況が続いていた。この日も前日までの雨の濁りが残る中、平日にもかかわらず早朝から多くの釣り人が流れに入り、ポイントをシェアしながらの釣りを強いられた。
日ざしが弱い早朝は、濁りで遡上鱒を探すには厳しい状況であったが、昼前後から水位も下がり、濁りも気にならなくなった。当然流れに秋鱒の姿を捉えることはできるようにはなったが、この日も人の気配に怯えている個体が多く、なかなか勝負ができない状況が続いた。
そんな厳しい中にあっても僅かなチャンスを生かし、2度秋鱒の口を使わせることができたが、いずれもウェイビーS60を甘噛みしていたようで、流れに下られすぐに針が外れてしまった。
最後に日暮れ直前に細沢では素晴らしい遡上鱒に出会うことができたが、薄暗い森の中でこれ以上の釣行は危険であると判断し、泣く泣くこの秋鱒との勝負を諦めることとした。
やはり安全第一である。更なる大型への挑戦は来期に持ち越しとした。
【おわりに】
この釣行で2026トラウトシーズンは無事終了となった。今季は春の九頭龍川のサクラマスに続き、秋の飛騨川の秋鱒を手にすることができた。サクラマス以降は猛暑と渇水に悩まされ、一時トラウトから離れる時があったが、結果を見ればまずまずのシーズンで終えることができたと考えている。
来季もこの2つのターゲットに加え、夏の素晴らしいトラウトのレポートがお届けできるよう引き続き釣りを続けていきたい。
| Rod | スミス トラウティンスピン イル・フロッソ TILF-53TR |
|---|---|
| Reel | シマノ ヴァンキッシュC2500SXG |
| Lure | スミス ウェイビーS65 S50 トラウティンウェイビー50S 65S ジェイドMD S F SP パニッシュ55F 55SP 70F 70SP DD-パニッシュ 65 65SP チェリーブラッド DEEP70 MD70 MD75 D-インサイト 44 53 64 D-コンタクト 50 ドロップダイヤ 4.0g 5.5g バック&フォース 4g 5g 7g |
| Line | YGK X-BRAID UPGRADE X8 0.6号 |
| Leader | フジノ フロロ 6lb |
| Item | SPスナップ #0 |