雪中イワナ釣行

池谷 成就

群馬県在住。トラウトルアーゲーム全般のエキスパートだが、近年は群馬県や長野県を中心とした渓流、湖での釣りに傾倒している。かわせみ倶楽部 所属。

2024年の群馬の渓流魚解禁3月1日もすでに一週間が過ぎるころ、今年の雪は遅かったがここにきて降る降る北軽井沢、嬬恋村の標高1,000mを越すあたり。例年の倍ほどの雪に見舞われている。


さらに解禁日から一週間も経つと目立つ渓流の渓魚たちはちょっとスレ気味なのか、居るのか居ないのかさえも判らないほど姿を現さない。雪の代わりと書いてゆきしろと読むが、気温の低い山地はまだしも、ちょっと標高を下げると降った雪はすぐに雪代にかわり流れの水温を一気に下げる。雪代のほとんど無い早朝は、氷点下10℃に迫る気温だが、さすがに3月に入ると日が高くなるにつれプラス気温へと変わり流れは雪代におおわれる。体感的には暖かく感じる頃に水温は逆に3℃、4℃に下がってしまう、するとスレた魚はよけいに動かなくなる。


シーズンインのこの日の釣りは足元もおぼつかず、ポイントまでの雪中行軍に毎年のことながら日頃の運動不足を後悔する。真冬を乗り越えた流れも石が磨かれず、岸際は氷、水中の石はつるつる。案の定4℃に満たない流れで転んでしまった。うつ伏せに転んだ胸元からお腹さらには太もも膝と表側半身がびちょ濡れ、長靴には冷水が入ったものの脱いで水を出そうとするとそれが凍り釣りどこでは無くなるので、ちょっとだけ暖まった水をちゃぷちゃぷと貯めたまま歩く。重いのなんのって。この原稿一本の為にそうとう無理している老体にはきつい。

下がったズボンもそのままに。だけど、なんとか一本釣りたい。ガンガンにチューンナップしたスミスプラッガー左も転んだ時に一度は水に使ったがなんとかルアーをキャスト出来ている。イワナでもヤマメでもなんでもいいから釣れてくれとガッタガッタと震えながら、下流にキャストしたルアーが中層やや下をナチュラルシェイキングしている。

そしてその時はきた。湧き水が流れ込むポイントでほとんどリーリングせずにシェイキング中のルアーをひったくってくれた奇跡の一尾は良型ながら黒っぽいイワナ。このブルブルガタガタが報われた。この時期釣れないときは修行に近いものがあるけれど、釣れれば一気に熱を帯び服は湯気を漂わせるほどのエネルギーは喜びに反転する。先人はゼロはゼロ、1は2に繋がると言った名言を残した。当たり前といえばあたりまえだが、何かが変わるのだ。

その後チビちゃんイワナ2尾とブラウンかと思うような太っといニジマスのおまけがついた。

吾妻漁協(群馬県西部) 日釣り券¥2,000 現場¥4,000(注意)

Rodトラウティンスピン ベイトクラシックTBCー65ML
Reelスミス プラッガー左ハンドル(AVAIL改)
Lineフロロブラスト4lb
Lureバック&フォース4g・5gD-コンタクト50ジェイドMD-SP