奥代 直行

北海道 道東在住

子供の頃、開高健の小説を読み、ルアーフィッシングをはじめる。
北海道のトラウト、サーモンがメインターゲット、自然と釣りをこよなく愛す、彫金師。
モットーは『自然と魚に遊んでもらう』。



《 2021 然別湖冬季遊漁 ミヤベイワナ 》


3月、本州から渓流解禁のニュースが聞こえて来るが、私の住む北海道にとってはまだまだ先の話であり、羨ましくも思う。
やっと解け始めた雪も先日の大雪のおかげで、シーズンインはまた先延ばしだ。
いくら釣り人がヤキモキした所で自然のサイクルは変わらないので、開き直り、この時期、この場所でしか釣れない魚を狙う為に計画を立てた。

然別湖。十勝管内の鹿追町と上士幌町にまたがるように位置し、大雪山国立公園内にある、火山活動により形成された堰き止め湖(カルデラ湖説もあり)だ。
北海道では最も標高の高い場所にある湖で、『天空の湖』とも呼ばれている。
標高が高いだけあり、気温も低く冬季間、湖は完全結氷する。



熱心なトラウトアングラーなら、一度は見聞きした事があるかも知れないが、ここ然別湖にしか生息しない魚がいる、湖の宝石と称されるミヤベイワナだ。
それが氷上穴釣りで、しかもルアーで狙えるというのだから、行かない理由はない。
実を言うと去年もこの釣りを体験すべく、予約し計画を練っていたのだが、政府の緊急事態宣言の発令を受け、然別湖のイベント自体が中止になってしまったのだ。
今年は人数制限をし、検温、消毒、マスクの着用、ソーシャルディスタンスの徹底など、実行委員、関係者の努力のもと開催の運びとなったようだ。

今回は、初めてルアーでの氷上穴釣りということもあり、地元鹿追在住のベテランアングラー正保氏に指南役をお願いした。
彼は十勝の釣りに精通し、然別湖を知り尽くしていると言っても過言ではない、私の大先輩だ。
同行して頂いたのはスミスの坂本氏。私も坂本氏もこの釣りは初めての為、期待7割不安3割と言ったところか。


当日は好天に恵まれ、この時期としては10℃と、とても暖かい。しかし山の天気は変わりやすく時折風速4〜5mの強い風が吹く状況。
受付で検温、支払い、レギュレーションの説明を受け、集合場所に集まる。
簡単な説明を受け、ポイントまで銀世界の氷上を歩く、数日前に降った雪が陽光を跳ね返し、インドア生活で“なまっちろく”なった私の顔を容赦無く焼く。
同時に開催中の『しかりべつコタン』のアイスバーや氷上露天風呂、イグルーなどを素通りし目的地のポイントまで20〜30分程を歩く。



ガイドはスノーモービルで先行し、ポイントに着くと電動ドリルでアングラーの指定した場所に穴を開けてくれる。
私達の持ち物は最低限でよく、タックル、折り畳みのイス、飲み物、携行食程度でOKだ。
ただ30分弱は歩くのでザックなどに荷物をまとめ歩きやすい格好でポイントに向かうことをお勧めする。


ガイドに穴を開けてもらい、タックルの準備をしていると、早々に正保氏にヒット、サクラマスだ。
湖沼型陸封で20〜30cmと小型だが冬でも美しい。

先を越され早く自分も釣りたいウズウズでテンパりながらもスタート。
パイロットルアーはメタルミノーE X
比重とウェイトバランスが秀逸でフォールが素晴らしいルアーだ。


ボトムを取り、小刻みにルアーを動かしているとアタリがすぐに来る。
間髪入れずにアワセるが乗らない。どうやらルアーにジャレついているだけで食い付いてはいないようだ。
先程とはアクションを変え、少し大きめにシャクり、フォール時間を長くとる。

今度は明確なアタリだ、フッキングも決まりファイトへと移行する。
あがってきたのはアベレージサイズのミヤベイワナ。体色が濃いオレンジ色に染まり、ヒレの白い縁取りとのコントラストが美しい。
私の勝手な先入観で、冬のイワナ属ならのったりとした引きだろうと思っていたが、マルチユース42をしっかりと曲げ、冬眠明けの私に喝を入れるのに十分アグレッシブなファイトだった。


坂本氏はDコンタクト72でサクラを釣り、私も新作ボトムノックスイマー41やウォブリン14gでアクションや攻め方を変え飽きない程度に楽しめた。 正保氏は終盤にグッドサイズのニジマスを釣り、注目を浴びていた。 結果的にはアングラーとしての大先輩、正保氏、スミス坂本氏に釣果で大きく水をあけられてしまったが、この経験を次に活かそう。





今回、私が気づいたタクティクスは、ルアーにじゃれつく魚にバイトの間を与えること、魚が飽きないようにルアーをローテーションさせること、反応が悪くなったらガイドに頼み新しい穴を開けてもらうことだ。 ちなみに3番目が一番効果的である。笑


期待以上の釣果、楽しさ、非日常感を味わえる釣りに大満足の1日だった。 来年もまた来たいと思う。 予約、人数制限、細かなレギュレーションがある為、興味を持った方はしっかりと自身で調べ、この楽しい釣りにチャレンジしてもらいたいと思う。

※参考サイト:2021然別湖冬期遊漁の開催について


タックルデータ

ロッド TRMK-423UL
SALUCO TSS-53
リール S社2000番
ライン PE0.6号
リーダー 10lb
ヒットルアー メタルミノーEX
ボトムノックスイマー41
ウォブリン7g・14g
ヘブン7g・9g
Dコンタクト72



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