冨安 隆徳

愛知県豊川市在住。ルアーで四季折々の魚を求め釣り歩く、アウトドアが大好きなサラリーマン。

主なターゲットは、九頭龍川の桜鱒、天竜川水系遠山川のアマゴ・イワナ等。


《 2020 九頭龍川釣行記 (番外編その3) 》


【私の桜前線】

 101本目はサクラマスで。その思いからお彼岸の連休初日は九頭龍川に向かった。しかし今季絶不調の九頭龍川は、近頃浮気気味な私にはそう簡単に微笑んではくれなかった。仲間の情報では、バラしやライズもあり久しぶりに魚の気配が感じられたとのこと。桜前線の北上とともに2020九頭龍サクラもいよいよ本格的なシーズンインか?そんなことを考えていると、68cm 4kgオーバーの良型サクラマスの情報が飛び込んできた。やっとこれで九頭龍川に集中できそうだ。そんな嬉しい便りにほっこりした連休翌日の月曜の夜、癒しのダム湖のレポートを書き始めた。


【現地で合流】

 連休2日目は釣友とダム湖で合流。九頭龍川を早朝4時に出発し、現地に着いたのは6時半。今回釣友は奥さんをエスコートとしての釣り。行動的な奥さんでアウトドアに一緒に出掛ける仲のいいご夫婦。今回はデイキャンプだけでなく一緒に釣りをするそうだ。そんな活発な奥さんを羨ましく思いながら、適度な距離感で今季3度目のダム湖の釣りを楽しんだ。


【これまでをふりかえり】

 今季これまでの釣果をふりかえると、水面が波立つほどの強風時に、少し強めのアクションで反射喰いをさせた印象がある。水色やリトリーブスピードの違いはあれども、ほぼ岸から10mの至近距離のバイトが多く、棚も水面から1m以内だった。切り立った急深のポイントにバイトが集中し、ルアーはいずれもゴールド系の9cmだ。漁協のWEBでは10g以下のスプーンの釣果も報告されており、風の中で岸際の表層の釣果が多いのではと自分なりに分析した。


【タックル】

 そこで強風に負けないメタル系のバック&フォース リッパ7g・ドロップダイヤ5.5g・エッジダイヤの6.5g等の軽量スプーンも新たにボックスに追加した。タックルは今回もイルフロッソTILF-83にシマノのヴァンキッシュC3000HMG。この組み合わせは軽くて本当にストレスが少ない。糸絡みも少なく感じられ、トップのフランジが伸びたガイドの採用が効いているのだろう。リールの影響もあるだろうが、キャストフィールもトルザイトリングでより軽くシャープになり、実際の長さよりも短く感じられた。長時間の釣りを強いられるサクラマスの釣りには大きなアドバンテージになるだろう。軽量のバルサを含むミノーイングの釣りを中心に考えているプラッガーにはお勧めである。
 今日はこのイルフロッソの繊細なティップを活かし、ロングキャストで表層のフラッシングや、かけあがりに向けてフォールで誘ってみるつもりだ。いつもならミノーから始める私だが、岸際の急なかけあがりに良型イワナが着いていないだろうか?いつもスタイルとは異なる攻め方でアプローチしていこう。


【インレット】

 今回はこれまで入ったことのないエリアで釣りをすることにした。大きな流れ込みの接合部に狙いを定め、入渓口を探すところからスタートした。水位は前回よりも少し下がったようだが、水色は前回よりも透明度が増していた。風もほとんどなく、春らしい日差しで汗ばむほどの状況で、デイキャンプには最高の天候だが、果たしてこの好天が釣りにどのように影響するか、楽しみなところでもあった。
 早速小さな沢筋から支流のインレットにアクセスし釣りを始めた。ここは解禁以来好調を維持しているようで、今朝も先行者が既にポイントに入っていた。


【メタル系から】

 初めて入るポイントなので地形から把握していく。遠投が利くメタル系を中心に表層・中層・ボトムを様々なアプローチで狙っていった。岸際のかけあがりはフリーフォールや江島さんが監修していたボトムタッチ釣法など、試したい新たなメソッドで頭の中は一杯だった。ボトムを意識し過ぎるがあまり寝掛かりを連発させたが、江島さんの動画に紹介されていた外し方が秀逸で、これで何度も命拾いをした。興味がある方はぜひイルフロッソの紹介ページをご覧いただきたい。
 さてボトム攻略の成果だが、まだそのコツを掴めきれずイワナの当りを捉えることはできなかった。時間帯?攻め処?そもそも操作が下手なのか?どうもイワナに縁が無かった。これは今後の釣行で明らかになるだろう。
 メタル系で地形変化を把握しながら攻め続けたが反応が無いため、次にチェリーブラッドCBSR90T2に切り替え、リアクションからただ引きの「動」と「静」の釣りを試し、これにゴールド・シルバーのカラーローテーションを加えて攻め続けたが、魚からの反応はなく、沢の流れ込みの上流側は魚が回っていないと判断した。


【待望の風】

 そこで本湖側の切り立った斜面の地形に向った。日差しも強くなり気温も上昇し始めると、いよいよ風が吹き始めた。北風は風裏で釣り易かったが、南西に風向きが変わると景色が変ってきた。水面は波立ち岸際には濁りが出始めた。このダム湖は風の当たる側を狙え!その教えによると状況は好転し始めたように思えた。少し強めの風を受けながらもそう思いながら急斜面の本湖の岸際を探り始めていった。


【バック&フォース13g】

 しばらくCBSR90T2を結んでいたが、気持ちを切り換えようと再びメタル系のルアーに切り替え選んだのはバック&フォース リッパの13g。カラーはシルバーベースのGRヤマメ。強風の中で飛距離を確保しながら、表層付近を広く探るには好都合のルアーである。リッパはまるでミノーのような引き心地で、手元に明確な動きが伝わることから、プラッガーに最適なスプーンである。細目のシルエットは正にワカサギサイズで、とても面白い動きをする。岸際を回遊するワカサギをイメージし、水面直下をゆっくり引いてフラッシングで誘い始めた。


【風の恩恵?】

 まずは上流側のかけあがりを意識して岸に平行に表層から中層、ボトムまでを探り、次に沖目に角度を変えながら、本湖側の表層を広範囲に探っていくと、岸際の手前で明確な当たりとともに竿先が引き込まれた。イルフロッソのしなやかなティップは大きく水面に突き刺さり、ベリーはきれいな弧を描きながら魚からの衝撃を受け止めた。フックはサクラマス用のシングルフック シュアーフック2Gを2本の地獄針仕様で結んでいた。貫通すればバラスことはない。
しっかり追い合せを入れ、後は魚の走りに備えながら優しく寄せていく。水面に浮きあがった魚体は、白銀の眩しいものだったのでイワナでない。サクラなのか?サツキなのか?大きさは40p前後だろう。ゆっくり寄せてネットインすると背中の緑色が美しいサクラマスであった。これまでよりは少しスレンダーな魚体だが、顔つきは立派なサクラマス。やはり風の吹く中の起伏の激しい地形の岸際で喰ってきてくれた。計測すると42cm。今季はこのサイズが多いようだ。








【キャンプ&フィッシング】

 この後当りが続かなかったので日当たりのいい風裏で、釣友夫婦と現地で私が焼いたローストビーフと、手持ちの食材でデイキャンプを楽しんだ。午後からは再びふたて別れて午後3時まで釣りを楽しんだが、残念ながら魚からの反応を捕らえることはできなかった。

 今回久しぶりにこの湖を訪れたが、川の釣りに比べ流れのない湖の釣りはリスクが少ないように感じられた。足場の良い平坦な地形さえ選べば、家族連れでも充分楽しめるフィールドであることがわかった。湖畔のキャンプ場も自然そのままで、釣り場までのアクセスもいい。キャンプサイトをベースに釣りとデイキャンプが楽しめるのは、この湖の最大の魅力だろう。本格的なシーズンともなればニジマスなどの成魚放流もあるようなので、釣りの心得の有るお父さんには、日常と違った素敵な姿をアピールできる優しいフィールドなのかもしれない。


【これから】

 九頭龍川番外編として3月の解禁からこのダム湖に通ってきたが、幸運にも釣行のたびに陸封型の鱒を手にすることができた。このダム湖は5月までは条件次第でこの釣りが楽しめそうなので九頭龍川がクローズドの時や、のんびりと釣りをしたくなった時にまた訪ねようと考えている。岐阜県の釣り場だが少し早めに禁漁を迎えるため、秋鱒を狙うには厳しいかもしれないが、盆過ぎには鼻が曲がり婚姻色の魚も姿を見せることもあるようなので、飛騨川と二択で考えてもいいだろう。今季は九頭龍川の不調でどうなるかと思われたが、今釣れる釣りを実践することで、新たな釣りの楽しみを見つけられた気がしている。


● マイタックル

◇ロッド スミス イルフロッソ TILF−83 TILF−67
◇リール シマノ ヴァンキッシュ C3000MHG  ステラC3000
◇ライン ヨツアミ G-soul W8 PE 0.8号
◇リーダー バリバス ナイロン 10LB
◇ルアー スミス  バック&フォース リッパ13g 16g
バック&フォース 7g  チェリーブラッドSR90 T2  SR90 90SS  LL90S  DEEP90  DEEP70 
MD90S MD90 MD82S MD82 MD75 MD70
DDパニッシュ 80S 80SP 80F
D−コンタクト85 72 63
バッハスペシャルジャパンバージョン18g
ピュア13g 18g ベイティスU 22g 17g
メタルミノーEX  ドロップダイヤ5.5g  エッジダイヤ6.5g
◇フック  スミス シュアーフック 2G 3G 4G
◇スナップ スミス クロスロックスナップ ♯2



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