池谷 成就

ルアーでのキャスティング、レイクトローリングを中心としたビッグトラウト狙いのエキスパート。 「かわせみ倶楽部」主宰。


《 そろそろこちらの時間だぜ 》


 酷暑のお盆も終われば、涼しさもやってくる。標高が1,000mを超える群馬県北軽井沢周辺は日中こそ30℃前後になるものの、朝夕の気温は8月中旬を過ぎればぐっと下がる。釣行当日の朝6時の気温は18℃。窓を開けて寝ていると寒くて目が覚める。さらに車の窓を開ければ高原の冷気で眠気もふっ飛ぶっていうもんだ。
 渓流の川岸に降り立てば鼻歌のひとつもでてくる。ぐっとこらえて歯をくいしばってはいけない酷暑の日々も、せせらぎの音とそれをつつみ込む朝もや、そして川面を渡るすがすがしさに、♪そろそろこちらの時間だぜ♪(ハリスの旋風)なんてついついの、釣りはとても心地よい。そんな気分の良い朝に限ってヤツはやってくる。

 まずは高原のドスレ里川の浅瀬にダウンストリームでキャスト、“バック&フォース4g”おそらくわざとフライ気味にキャストしたルアーを飛んでいる虫と勘違いしたのだろうか、着水と同時にヒットしたのは尺超えの久々の美形イワナ。渓流のルアーフィッシングではこの着水と同時のヒットはとても多い。キャストした逆手でのリーリングで瞬時のクラッチ切り、リーリングとつなげたい。流れの浅瀬、早瀬ましてや川の流れとは逆引き状態では大満足の一尾となった。アユの友釣りではそのスピードからとても小気味良い釣りだが、相手がイワナとなると逆引きでのごねるような鈍重さは、これまたとても面白い釣りだと思う。真夏の釣りではアップストリームキャストで狙われ続けていることが多いので方向性のスレもある。特にささ濁りでも入ればダウンストリームキャストでの大型魚の確立は意外にも高いような気がする。



 そしてヤツが来た。細い流れの滝壺。バーチカルジギング混じり、一瞬の着底後砂煙を巻き上げてのリフト&フォールをクロスストリームキャストやや速めのピッチで繰り返す。その時まさに「ドンッ」という大物特有のアタリも、リフト&フォールのリフト時に食ってくれたので同時に向こうアワセでヒットしてくれた。まっ偶然も実力のうちと思えばそれまでだが、これもまた逆手リーリングの恩恵といえる。久々の45cmがこんな流れからでると人はビックリする。といった表現がピッタリあてはまる大型イワナだった。


 この時のルアーが“Dコンタクト63”複雑なルアーの動きに絞って説明すると、横方向のキャスト、上下斜めの動きに、若干の底取りを刻み、速めピッチで繰り返しながらのリーリングとなる。さらに、それほど広く無い淵ではちょっと忙しいロッドワークになるけど、水温やや高めの時期は、このトゥイッチ気味のリフト&フォールのリズムは正しく無いのが効果的だ。ランダム3Dトゥイッチ&時にジャークとでも言おうか。ただ春先の低水温下や高水温すぎては魚がルアーの動きにUターンしてしまったり、最後まで追尾できない場合が多い。またラインはストレートに遊びの少ない状態で放出されるベイトリールならではの釣りといえるかも知れない。スピニングリールではよれたラインをそのまま巻き取ってしまう危険性があり、度重なるスピードキャストでは多重によれたラインがいっぺんに放出されてしまうトラブルが頻発してしまうことがある。もっともベイトリールでのキャスティング練習は必要で、バックラッシュしてしまえば元も子もない。超軽量スプールを組み込んだロープロモデル系のベイトリール、左巻き(右利きなので)ハンドルの組合せを使い始めてもうすぐ20年になろうとしているが、私の場合どんな釣りにおいても、いまやスピニングリールを使う場面は無くなった。


 新型コロナウイルスという変なものが流行り、お盆すぎという時期が時期なだけに、川岸ではマスクをずらしての釣りだが、移動中はマスクをしての移動となった。ここのところ釣具屋さんは混んでいた。御多分に洩れず、特別給付金は前倒しで使ってしまったし、私も結構な散財をした。さすがに昔のように、「宵越しの銭は持たない。」までとはいかなくても、似たような状態が続き、釣り場も人が多く、渓流はちょっとスレ気味で魚影は薄い感じはした。道すがら最大級のアオダイショウとも遭遇した。


● データ

吾妻漁協 日釣り券1,000円


● 使用タックル

ロッド トラウティンスピン ベイトクラシックTBC-53L
トラウティンスピン ベイトクラシックTBC-65ML
リール アルファスRエディション103L改(AVAIL)
ライン ファメル フロロドレイク3lb・4lb
ルアー バック&フォース4gD-コンタクト50D-コンタクト63ジェイドMDD-インサイト
熊よけスプレー忘れずに。



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