池谷 成就

ルアーでのキャスティング、レイクトローリングを中心としたビッグトラウト狙いのエキスパート。 「かわせみ倶楽部」主宰。


《 イワナ天国・ヤマメ天国 群馬解禁 》


2020年も例外なく群馬県の渓魚解禁日3月1日も毎年私の休日に合わずいつも苦戦を強いられる。前日までに大忙しでタックル準備を整えた。
群馬県北西部の嬬恋村・長野原町は例年、雪の上に残る他の釣り人の足跡をたどる釣りとなってしまうが、逆に足跡の無いところを捜せば手つかずのポイントということにもなる。ところが今年の暖冬は山深い源流部を除けば雪は消えて日陰にほんの少しの残雪程度と、僅かに残る長靴の跡を探しながらの竿抜けポイントフィッシングとなった。


渓流の流れは昨年の台風で荒れに荒れた。道が無い。崩れている。電柱が折れ曲がっている。取水用の水門はことごとく破壊された。堤防が削れ流されている。流れによって長い年月を掛けて形成された渓相も、台風の大水により水路化してしまった流れは、今まさに新たに形成されはじめているように思える荒々しささえ感じる。はたして、全てを削り去った流れに魚はいるのだろうか。長野県南部編でも書いたが、群馬でもちゃんと魚が残っていた。



さすがに土石流跡には居なかったが、特にイワナは上流部支流の大きな渕さらにそれに接続する瀬にも魚はいた。それも流れの規模・流程からは限られた区間だがそこには比較的濃く魚がいてくれた。いつもはやっと魚が棲めるほどの細い藪沢が魚の残る要因になるはずで、じっと冬を越えた魚は本格的に餌取りに出てきたのだろうかと、イワナが釣れればまたイワナが釣れた。また昨年禁漁後に稚魚放流されたのだろうか、ヤマメが釣れれば良型混じりで美形吾妻ヤマメが続く。ランディングネットに一度に複数の魚を入れての写真取りもここ数年なかなか2尾目が続かず単体の写真が多かったが、ちょっと入りづらい狙いづらく深く魚の隠れられる流れには複数の渓魚が居てくれた。川を見れば堤防が崩れた残骸に複雑な心境になる。人のニオイのするところならなおさらというものそれを直す河川工事を思ってしまうからだ。残った魚は産卵してくれるだろうが、そこに堤防が築かれる。あらたな川面、かわづらになるのだろうかと。





複雑な思いも釣れる時は釣ってしまう釣り人の悲しい性分もぐっと抑えを効かせ、若干雪代濁りの入った流れにダウンストリームキャスト、ルアーBack&Forth4gとバック&フォース釣方(引いたり流したりを繰り返す)の相性が合致。ほぼ入れ食い状態に。荒れ狂った跡の流れに、釣れてくれた渓魚達に敬意を表し日の高いうちに納竿としたのだった。



● データ

吾妻漁協 日釣遊漁券 1,000円


● 使用タックル

《ベイトタックル》

ロッド ベイトクラシックTBC-65ML
ベイトクラシックTBC-53L
リール アルファス103L TYPE-F(イケタニペイント・AVAIL改)
ライン ファメル フロロドレイク3lb
ルアー バック&フォース4gD-コンタクトジェイドMD-F

《スピニングタックル》

ロッド マジカルトラウトMT-TEC55ULM
リール レブロス2000S
ライン ファメルトラウト5lb
ルアー バック&フォース4gD-インサイト44



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