吉川 康之

栃木県在住の平凡なサラリーマン

湖およびエリアでのトラウトフィッシングをこよなく愛する。



《 初夏の中禅寺湖(春蝉の釣り)2017   2017年6月後半 栃木県日光市 中禅寺湖 》


今回は2017年6月後半のある日の中禅寺湖での蝉の釣りを振り返ってみました。

中禅寺湖の初夏を代表とする蝉の釣り、私はよほどの事がない限り日が昇ってから釣りを開始するようにしています。蝉が鳴き始める時刻、さらには蝉の釣りにとってはとても大事な要素だと思っている風の吹き始めが共に明るくなってからだというのがその理由なのですが、何はともあれしっかり寝た後に釣りが出来るというのはほんと身体が楽でありがたいものです。

そしてこの日もポイントに到着したのはam7:00を過ぎた頃でした。6月も終盤に入り、蝉師(アングラー)の数も大分少なくなってる頃だろうと思って来たのですが予想は大ハズレ、人の居ないポイントを探して歩いていたら山側のかなり奥の方まで来てしまいました。

なんとかポイントに入れたまでは良かったのですが、波がまったくありません。遠くに見える岬の先端からは白い波の筋が伸びているので、岬の向こう側はそれなりの風が吹いている様ですが、こちらはまったくのベタ凪状態でした。


人の入っていないポイントを探して山側を奥へと進みました

ポイントに到着しましたが全く風(波)がありません


蝉の釣りに於いて、湖面がある程度以上に波立っている事はとても大事なことだと思っています。シーズン初期ならまだしも、今回の様なシーズン終盤では魚は連日の様に叩かれ相当ナーバスになっているはず、周囲のちょっとした違和感も相手はきっと見逃しません。そしてそのちょっとした違和感を感じさせなくする(誤魔化す)のに私はいつもこの『波』の力を借りるようにしています。

水面に浮かんだ蝉ルアーを下から見上げ本物かどうか吟味しているブラウンの姿をよく見掛けます。今のスレスレの状況なら間違いなくと言っていいほど、相手に見切られる事が殆どではないでしょうか。相手にルアーの細部を見せないこと、さらにラインの存在も悟らせないこと(音も含めて)、これら両方を実現するために波の存在は決して欠かす事の出来ないものだと思っています。

このため今の様な波のない穏やかな時間帯は、私は釣り糸は垂れずに湖面が強く波立つまで1時間でも2時間でも只ひたすらに待ち続けるようにしています。ですがただ待っているだけでは時間がもったいないので、水中の魚の動きを観察する事にしました。 急深のポイントなど地形的な問題から魚が必ず見えるとは限りませんが、大抵の場合 水色の変化するブレイクラインの下にブラウンは必ず居るものと思ってます(山側、国道側問わずに)。もしちょっと先にブレイクを控えたシャローエリアなどであれば、水深50cmにも満たないような浅瀬を蝉を探し泳ぎ回っているブラウンの姿を何度も目にしたり出来るのではないでしょうか。

そして今回の場合は後者の方でした。水際にあまり近付き過ぎないよう注意を払い観察を続けていると、二匹のブラウンが数十メートルの範囲内を左右に行ったり来たりを繰り返していました。そして時折、蝉を見つけては何の躊躇いもなく静かにパクッと! 試しに回遊コース上に蝉ルアーを浮かべて待っていると、異変に気付いてルアーの数メートル手前で即Uターン。あっさり見切られてしまいました。分かっていた事とは言えやはり相手は相当に手強そうです。これ以上は探らずに最初の予定通りに風が吹くのをじっと待つことにしました。

待ち望んでいた風が吹き始めたのはそれから1時間半ほど経過してからの事でした。でもさざ波が立つくらいでこれではまだまだ力不足、相手は恐らく騙せません。そしてさらに待つこと凡そ30分、東風がより強さを増し時折波が音を立て砕けるくらいの高さに成ったのを確認して腰を上げました(よし、始めるか!!)

今回使用したルアーは美蝉(ビセン)。中禅寺湖のハルゼミをモチーフにしたトップウォータープラグで、私は市販の物をフックを交換(テイル&ベリー共に)して使用しています。当日はこの美蝉(ビセン)を水色が黄色からエメラルドグリーンに変化するブレイクラインのちょい先に静かにキャスト、その後はロッドティップを小刻みにシェイクして水面を羽をバタつかせて溺れている蝉を演出してやりました。


スミスの美蝉(ビセン)
フックを交換して使用しています

今回 美蝉(ビセン)に加えたアクションは
実際に水面に落ちた蝉の動きを参考にしました


すると間もなく波間に見え隠れする美蝉(ビセン)の下に黄色い影が浮かび上がってきました。そして真下で吟味すること数秒。美蝉(ビセン)の浮かぶ水面がモワッと盛り上がりました!

ひと呼吸置いてから落ち着いて合わせを入れましたが、これは残念ながらすっぽ抜けに終わりました。ですが針掛かりしていなかったのでまだチャンスはある筈です。もう一度、先ほどと同じコースを流してやると再び黄色い影がゆっくり浮上、さっきより長い時間ルアーを吟味したあとで、口先で軽く啄むように音もなくハフッと吸い込みました。

今度はふた呼吸くらい置いてからゆっくり合わせを入れましたが...(今度はどうだ!)

相手は突如我に返ったかの様に動きを速め、凄い勢いで沖へと向って走り出しました。ギィーギィーギィーギィー...。さっきまで目の前を泳いでいた黄色い影はエメラルドグリーンの湖水の奥に消え直ぐに見えなくなってしまいました。(デカイ!)

その後は寄せては走られを何度繰り返したでしょうか。相手が白い腹を見せて翻る度に、いつフックが外れるかともうヒヤヒヤもの。その度に心の中では(お願いしますからどうか獲らせて下さい、どうか獲らせて下さい...。)の繰り返しで何度も祈りを捧げました。

せいぜい3分くらいのやり取りだったと思うのですがホント長い時間に感じられました。

無事ネットに納まった相手は雄のブラウントラウト(64cm)。写真では裏側になるので見えませんが、口元には過去に何度か?釣られたような痕がありました。きっとこれまでにも多くのアングラーたちを楽しませてきてくれたのでしょう!ホント可愛いやつでした。

中禅寺湖の初夏を代表する春蝉の釣り、是非とも美蝉(ビセン)を携えてブラウンとの熱い駆け引きを楽しんでみては如何でしょうか。


美蝉(ビセン)に出てくれた中禅寺湖のブラウントラウト 64cm

大きな胸鰭が立派でした


尻鰭も立派です

この黄色と白のコントラストが何ともたまりません


その後同じポイントで出てくれたブラウントラウト
美蝉(No.29 ゴーストハルゼミGL)にて

同じ日に別ポイントで出てくれたブラウントラウト
美蝉(No.02 ハルゼミ メス)にて


【中禅寺湖のブラウントラウト(You Tube動画)】



● 使用タックル

ロッド IBXX−77MSD インターボロンXX (SMITH)
リール 13 CERTATE 2500 (DAIWA)
ライン VARIVAS ハイグレードPE ブルー 0.8号 (MORRIS)
リーダー TROUT SHOCK LEADER フロロカーボン 12lb (MORRIS)
ルアー 美蝉(ビセン)(SMITH) ※ フック交換実施。ラインはアイのスプリットリングに直結して使用
フック Wトラウトタテアイ4B  ベリー&テイル共に  (SMITH)  ※ バーブは潰してあります
ネット チェリーネット Lサイズ 旧タイプ サクラ(SMITH)



[ 戻る ]