冨安 隆徳

愛知県豊川市在住。ルアーで四季折々の魚を求め釣り歩く、アウトドアが大好きなサラリーマン。

主なターゲットは、九頭龍川の桜鱒、天竜川水系遠山川のアマゴ・イワナ等。


《 2014 九頭龍川釣行記 その6 手取川番外編 》


■ 悩ましい濁り

 クリアーな水色を期待してはいなかったが、まさかここまで濁っているとは。早朝に福松大橋下流に入った私は、透明感の無い流れに失望していた。

 

  瀬のミノーイングが楽しめる。SRでシャローゲームを目論んでいた私は、どうしていいのか途方に暮れていた。 釣れない色ではないのだが・・・・。これでは釣りが楽しくない。20分ほど竿を出したが、急遽行き先を変更することにした。



■ 石川県手取川へ

この川は一度下見をしただけだった。竿を出したことはない。最近の状況などを釣友に尋ねると、彼も今この川に向っているとのこと。「考えることは一緒だな。」早速合流し情報収集を開始した。

 

 川には移動距離をものともせず北陸をメインフィールドに、サクラマスを釣り歩く強者アングラーが何人も現地入りしており、旬な情報を入手することができた。彼らからの情報は何よりのヒントになる。ただ長話になることが多く、結局この日も竿を出したのは午後からだった。 彼らによると数日前の雨でいい群れが入ったようで、釣果は上向いているとのこと。日曜にはダムの放流が止まるようで、この水位低下がチャンスではないかと考えているようだ。九頭龍川では水位低下に悩まされているのに、この川では水位低下がチャンスになる。 日本は広いな。雪を頂いた白山を眺めながらそう思った。



■ 初日は情報収集

 午後から川の状況を把握しようと、車を走らせランガンを繰り返す。雪解け水が流れるころは、その流れは太く川幅も相当にあるのだろう。5月中旬の今、広い川原に数本の分流が流れる状況になっている。ただ流れは十分にあり、落ち込みや瀬、合流点など魚が足を止めるポイントは幾つもある。深い淵は見当たらなかったが、地形や流れの変化に魚の着き場を求める釣りになると思われた。この日は気になるポイントを数箇所チェックし、明日の釣りに備えることにした。


■ 勝負の2日目

翌朝5時起床。駐車場には車中泊組みの車は既に無い。恐らく4時頃出発したと思われる。私も慌しく食事をとり、釣り場に急ぐ。この川は堤防からポイントが一望でき、無駄足を踏むことは少ない。これはと思われる流れには釣り人は入っているが、1つ瀬に数名の釣り師でシェアするまでではない。このエリアの遡上のピークが何時なのか掴んではいないが、この川では自分の釣りを組み立てることができる。昨日の様子から、気になる流れを瀬通しでチェックして行こう。

 

  そこで河口から10kmほどにある橋の下流から入り、浅い分流を横切り、落ちこみからの瀬を攻めていくことにした。やはり水位は下がっていた。水が干上がった形跡があちこちで見られた。チャンスなのか? 先行者は1人。既に明け方ひと流ししたあと、瀬の落ち込み周辺を再度撃ち直しているようだ。しばらくすると移動して行った。日の光が充分ではないので地形の変化ははっきりとはつかめない。先行者の攻めた開きからトロ瀬、次の分流にかけての流れを釣り下っていく。右岸側に小さな分流があるが、メインの流れは真っ直ぐ次の瀬に向っていった。左岸側には柳が茂り、手前が掘れて深みができていた。次にこの深みにチェリーブラッドMD90を上流から送り込み、怪しいところでターンさせ喰わせの間を与える。この作業を繰り返しながら探り切り、次に右岸に渡りアプローチを変えて再度この瀬の深みを攻め直す。


 

結局ここからは反応が得られなかったので、次に流れの中に小さなすり鉢状になった深みを備えたポイントを攻めていく。水深は1〜1.5mほど。この時太陽は十分に高くなり、雪シロ交じりの白みがかった緑色を通して地形の変化が読み取れるようになってきた。

 

  この流れは出そうだな。何となく釣れそうな雰囲気をこのとき感じた。そこで普段よりも慎重にストーキングしながらポイントに近づいていく。水深を考えMD90からSR90にルアーチェンジ。全くクリアーでは無かったので、濁りに強いと考えているパール系のヤマメカラーを選択。もう少し濁っていればチャートオレンジを迷わず選んでいたが、釣り人のプレッシャーはないと判断し、アピールでなくナチュラル系で攻めて行く。この小規模なすり鉢状の地形を越えると、すぐに落ち込みの瀬につながっており、流芯と手前側の緩流帯のちょっとした深みが怪しいと目をつけた。



■ SRを流して

自然に送り込めるようにポジションをとり、少し上流の流芯の向こう側にキャストし、流れに馴染ませながら流れを横切らせ、緩流帯を通過させようとした瞬間、いきなり喰ってきた。「まじか?本当に喰ったよ!」ゆっくりと首を振る魚の動きがラインを通して伝わってくる。これはでかいぞ!流れに乗って下っていく魚の背中は大きく盛り上り、眩しく見えた。

 

 スプールからラインを少しずつ引き出しながら力強く瀬の落ち込みに向って下っていく。動きを止めることもできただろうが、無理して暴れさせたくなかったので、敢えてそのまま瀬を下らせ、下流の緩流帯で勝負を掛けようと考えた。早瀬の落ち込みを銀色のサクラが下っていく。それもボディーに半分を水面に出したまま。ラインが障害物や岩に掛からないようにロッドを高く掲げ、私も小走りで魚の後を追う。魚は暴れる様子もなくすんなりと流れに乗って下り、瀬を下り終えたあたりで手前の浅瀬に入ってきた。そこで少し強引に岸にズリ上げランディング。すぐにネットで押さえ魚を確保した。




■ 精悍な手取桜

 精悍な面構えの大型サクラマス。頭は少し小さめだが、背中にかけて大きく盛り上り恰好いい姿。長さも65cmを越えており私にとって今年一番の良型。やっと65cmの壁を越え、満足いくサイズを獲ることができた。何より九頭龍川以外の川で獲ったことに大きな意味があった。早く見切りをつけてこの川にきてよかった。


 5月も中旬を迎えようとしているのに、未だに雪シロが出る川で釣りができることが素晴らしい!田植えの濁りや渇水に悩まされることなく、大型のサクラマスとのシャローゲームが楽しめるのは本当に素晴らしい!北陸の川のポテンシャルの高さを改めて認識するとともに、新たな手取川というフィールドをこの釣りの新たな選択肢とできたことが何より嬉しかった。この釣りの新たな魅力が今回加わったことで、今後ますます楽しみが増えた。手取川では9月末まで楽しめるようなので、夏の渓流を兼ねてヤマメとサクラマス狙いでこの川に来るのもいいなと思い始めた。ただ往復700kmは流石に堪えるな。  


■ 最後は九頭龍川で

 このレポートがアップされる頃、恐らく九頭龍川は禁漁になっている。今回はシャローゲームのフィールドを求めて、九頭龍川を離れ石川県の手取川まで来たが、本音はホームの九頭龍で、あの瀬、あの開きで獲りたい。次ぎのレポートがアップできるよう禁漁まで川に通い続けよう!


● マイタックル

◇ロッド スミス インターボロン IBXX−83MSD
◇リール シマノ ステラ 4000
◇ルアー スミス チェリーブラッド DEEP90 MD90S MD90 MD82 MD82S、SR90
   DDパニッシュ 95F 80S
   バッハスペシャル18gベイティス17・22gピュア18g
◇ライン ヨツアミ PE G-soul WX8 1号
◇リーダー バリバス ナイロン 20LB
◇ネット スミス チェリーネット サクラ




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