池谷 成就

ルアーでのキャスティング、レイクトローリングを中心としたビッグトラウト狙いのエキスパート。 「かわせみ倶楽部」主宰。


《 温泉イワナ 》


 群馬県の草津温泉から雪の回廊を走り、中央分水嶺、国道最高地点を通過。長野県志賀高原へ。今年は4月25日に開通した「志賀草津高原ルート」。頂上付近は、昼間温かい時に雪が溶けそれが早朝夜間は凍る。路面凍結要注意だ。熊の湯スキー場へ。気温が低く雪の締まった早朝のスキーを楽しむ。アフタースキーは釣り。これは毎回恒例、

 目の前の角間川下流へ。2〜3年に一度春スキーがてらの釣りも、この川の大釣りは少ない。温泉ホテル周辺は魚の密度も濃く大型も多いが、なかなか入渓しづらいことや雪代とのタイミングが合わずいい思いはここ数年できていなかった。ただ、適度に大型イワナの釣れる渓としては脳裏に焼きついている。イオウの匂いが鼻をつく温泉の源泉がそのまま数本流れ込むのだ




 が、ここのイワナは実に逞しく実にしたたかだ。この日も3ポンドテストラインをひとのししたかと思うと、フックを伸ばしたヤツもいた。バラシが多いのもこの渓の特徴で、そうとうスレている感じを受けざるを得ない。どうやら50cmほどのニジマスもいるようで簡単にフックを伸ばされてしまうが、釣り人の見落としそうな俗に、竿抜けポイントを丁寧にショートレンジのバーチカルジギング気味のリフト&フォールで、着底させては水面近くまでシャクる。

 大場所では前出、バラシの連続。もうちょっとだけ雪代で濁ってくれなんて思いながら、大場所と大場所の間の浅い淵。バック&フォース4gを雪で倒れこんだ枝の密集地帯でロストしてしまったので、ちょっと大きいかもと思いつつも半信半疑で5gを投入。大きさを変え色を変え、綺麗で大きい餌だよ気付いておくれイワナちゃんなんて思いながら釣ってみる。



 上流下流に縄張りを伸ばさず、狭い範囲で一生を過ごすと思われるここのイワナは、やはり新しいルアーにはすこぶる反応がいい。何度目かのフォーリングの時に、居着きイワナ独特の鈍重なアタリを伝えてきた。瞬発的に、反射的に手首で鋭くアワセる。手前の浅場に引き抜く。この渓での快心の34cm。春目覚めたばかりとはいえたらふく流下する餌を食っているのだろうズシリと重い。

 しかしこのイワナも口の皮一枚の浅いフッキングにラインをほんのちょっと緩めると浅い流れに落ちた。まれでカツオの一本釣り状態。浅い流れで良かった写真が撮れる。とにかく証拠写真を撮りまくりそっとリリースすると、雪代と温泉が混じる冷たくて暖かい水をバシャバシャとたっぷり浴びせられる。

 勝手な解釈だが、お隣雑魚川の原種イワナ(ホンシュウイワナ)の血を引いているのだろう。気も強い。陽があがり暖かくなり、流れに日差しが差し込むと頃にはパッタリとアタリは無くなり、雪の回廊ならぬ雪の壁をよじ登り納竿した。まともに写真が撮れたのは一尾だけ。失礼な話だがスキーウェアでの釣りで大満足の温泉イワナだった。



● データ

北信漁業 日釣り券 1,000円


● 使用タックル

ロッド マジカルトラウト(ヘビーウルトラライト)MTS-TE55HUL改(元ガイド2個付け直し)
リール アルファス103TypeF改(AVAIL)
ライン ブラストフロロ3lb
ルアー バック&フォース5g



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