『高津川水系乃呉岐
(たかつがわすいけいのゴギ)』



  橋本 祐一郎(SMITH STAFF)



 7月28日、会社の夏休みで兵庫の実家に帰った際、もう少し足を伸ばして西中国山地の渓を訪れてきた。

 当初予定していた北広島の江の川水系では、日釣り券を購入しに行った先のご主人が「このあたりよりもあと40分ほど走って島根県側に行ったほうがええ。これから雨が降るけえベストタイミング!」と、カーナビでポイントをざくっと紹介してくれた。わざわざ遠いところから釣りに来た僕に親切にも自分の管轄外の場所を案内してくれたおおらかなフライマンのご主人に感謝!次回はフライロッドも持って行きますね(笑)


 先ほど教わった入漁証販売所がお留守だったり、取り扱いをやめてしまっていたり、結構ぐるぐるまわって聞き込みして結局、観光地の匹見峡温泉やすらぎの里という温泉施設で入漁証を購入し、この日の宿もここに決定。釣り場に付くころにはもう9時をまわっていた。午後から降る予定だった雨はすでに雨脚を強めており笹にごり状態。そう長く釣りができない事を物語っていた。

 橋の直下に流れ込みのあるエントリーが容易な場所からスタート。D−インサイト44を流れにクロスさせ、ダウンフォースにU字を描きながらトゥイッチさせていると、いいサイズの岩魚がじゃれ付くようにチェイスしてきた。「いきなり本命か?」

 今度はもう少し下流にキャストして完全にダウンストリームで冠水したブッシュ際に時間をかけてネチネチトウィッチ。「グングン!」ねらいどおりヒット!サイズ的にもさっきチェイスしてきた魚と思われる。28センチの虫喰い模様が口吻の先端までびっしり入った岩魚。今回僕がどうしても釣りたかった魚、ゴギだ。


 遠い昔、今より地球が寒冷だった時代、西中国山地に陸封されたニッコウイワナの亜種。ルアーを追ってくる様もなんだかおっとりしていて、岩魚を120%くらいイワナっぽくしたような魚で大好きになってしまった。幸運にも会いたいと願っていた魚に会う事が叶いました。

 写真撮影の後、もう少し小さいゴギを一匹追加したところでゴミが多く流れてくるようになり退渓。

 他に釣りの出来そうな場所が無いか探すもののどこも濁りと増水で無理そうなので早目のランチをとる事にした。ほんの小一時間の釣りになってしまったが、幸先よくお目当ての魚に会えて気分は上々だったのだが、食堂のテレビをみていたら島根県も僕がいる場所よりもっと西の山口県境では酷い土砂災害だったようで、釣りなどしていると不謹慎だったかな?と少し後ろめたい気分になったが、雨が上がって晴れてきたので、宿泊先に向かいつつ明日のポイント探しをすることにした。


 通りすがりに偶然目にとまったちいさな流れ込み。早くも濁りが取れつつあり少し竿を出してみる。突然ルアーに襲い掛かったと思ったら猛スピードで引き返す素早い影。ヤマメだ!増水でかなり押しの強い流れなのだがものともしない。

 流れ込みが作る流芯にD―インサイト44を乗せて「トントントン」とリズミカルにトゥイッチしていたらヒット!パーマークが消えかかっている精悍な顔つきの幅広ヤマメこちらも28センチ。

 その後、完全に尺オーバーのヤマメに横っ飛びでフックを外されこの日は終了。しょうがないですね。


 2日目、前の日にめぼしをつけておいた沢に入渓。すでに水色もクリアになっており、木々のトンネル、大石、開き、淵もありロケーションが良い。こちらの沢はヤマメオンリーで、小型が多かったがルアーにはスレ知らずといった感じで、沢山の魚があそんでくれた。

 また、増水時の渓魚が何を捕食しているのか気になったので、数匹の胃内容物を調べさせてもらった。どの魚も蛾の幼虫?アブの幼虫?かわからないが、白いインチワームと半分消化しかかったヨシノボリのようなハゼ科の魚が出てきた。


 今回の島根釣行では天気が荒れたため十分な時間が取れなかったが非常に充実した2日間でした。来年はGWに3日間ほど日程をとり釣行したい。


(おまけ)


このダムから魚が差してくる。
 梅雨明け前の8月2日、新潟県は三面川河畔のフィッシングプロショップこどもやさんに夕方訪問した。前日のまとまった雨による増水でおそらくダム差しのいいサイズの魚が釣れそうなんて話をしていると、1時間でいいから竿を出したくなり、日釣券を買い車に飛び乗った。

 まず、入渓地点すぐのプールで強烈な引き!しかしバラしてしまい、しばし場を休ませるべく釣り上がり、小型は入れ食い。辺りが薄暗くなった頃、先程のプールへ。

 D−インサイト44にかなりの大型がチェイス!バラシのせいか見切られているようなので、メタルバイブ、スピナー、スプーンとローテーションするも反応しないので、D−インサイト53にサイズアップした2投目、ついにキター!!岩魚42cm、ミッションコンプリートです(笑) 

 帰りに閉店時間のこどもやさんに喜びの報告をしたところ、ダム自体には50cm、60cmもいるらしいので、チャンスがあればまたチャレンジしたい。



 今回の島根、新潟で僕がヘヴィローテーションしたD−インサイト。スピナー並みのフラッシングと波動を身に着けた平本仁こだわりの逸品。アップでもダウンでも使いやすい芸達者。Dシリーズは現場生まれの急流育ち。本物の渓流ミノーだとつくづく思う。

 そういえば秋田でもっとでかい岩魚がチェイスしてきたミノーもD−インサイト53だったなぁ....



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