サーフへ行こう!2025-ヒラメと浜ブリ

猪原 亮

高知県在住。ナイロンラインを主体とした独自のスタイルでレコードフィッシュを意識したショアからのキャスティングゲームを展開。

たいへん久しぶりの投稿です。2年ぶりくらいかもしれません。
この冬、南国高知は意外と寒く、沖を流れる黒潮も大蛇行で離れ気味だったので、2月から3月にかけてかなり海が冷え込みました。土佐湾の外海を向いたサーフでさえ、沿岸びたびたは13-14℃くらいだったのではないでしょうか。


また、近年は極度のカタクチイワシやマイワシのシラス・若魚が少なく、ベイト不足も否めませんでした。ただ、稚鮎だけは凄まじく、1月下旬から河川内に遡上が見られました。その後も続々と遡上が続き、4月現在でさえもまだまだ続いています。近年稀に見るアユ爆状態です。


ただ、稚アユは沿岸性が強く沖のフィッシュイーターを引き付ける呼び水にはなかなかならないので、やっぱり少しでもいいからイワシが欲しいところです。


この稚アユが今シーズンはメインベイトになるだろうと、1月下旬から3月の釣果をレポします。


1月下旬のとある日の夕方、過去のデータをもとにホームグラウンドの河口サーフへ出撃し、引き潮のなか、流れ出しのマウンド周辺に稚鮎を狙って付くヒラメ狙いです。



時間は日暮れまでの1時間強。もしヒラメが付いていたら、ルアーが目の前を通りさえすれば一発で食ってくるはず。流れの際には大量の稚アユが見えます。稚鮎パターンの時、この時期の稚アユは3~5センチ程度でとても小さいですが、この小さいアユに合わせてルアーを小さくする必要はなく、いかにヒラメの目の前をトレースするかに集中します。


そのため、稚鮎だからといって普段のヒラメ狙い用ルアーのラインナップを大きく変える必要はありません。自分は、水深が浅ければフローティング系でハルカ125、145、165、パニッシュ120F-SW、サラナ80、110、120、サラナ147MAX、サラナ147SR、水深が深めなら、サラナMD、ドラゴンサラナ、ベイブル90HS、ルーディッシュ95HSと言った感じです。


当日は、河川の流れ出しが左岸沿いに形成され、岸に沿って激流の様相。流れが効いている範囲は波がせり上がっているので比較的浅そう。そのため、ある程度水深をしっかりとキープし、かつ底から1m以内をトレースできそうな、パニッシュ120F-SWのアカキンを選択。


なぜアカキンか?ヒラメに一番実績があるといわれるので、釣れそうな気がするからです。釣れると信じて使いきれるカラーを使うことで、ルアーを丁寧にアプローチできる精神状態が生まれます。信じきれれば、どの色でもいいと思います。


キャストをはじめ、一番ルアーが深く入り、流れをしっかりと受けるラインを探ります。フローティングなので少しでも湧き上がる流れに入れてしまうと、自分が思うコースからすぐに弾かれてしまいます。


立ち位置とコースを投げ分けながら、ショート・ロングキャストで投げ分けて探ります。投げ始めて20分少々、流れを下りながら何か所かこの位置のこのコース、というところを探し当てました。もう一度潮上に上って探りなおします。


目星を立てた2か所目の立ち位置での1投目、パニッシュを河口の流れ出しの中ほどにキャストし、流れの中をドリフトしながらもゴリゴリとコースにねじ込みます。いい感じでリップに水を受けて、深く流れの中になじんだ瞬間、ズゴンっ!と爽快なアタリ!


スイープにフッキングをかましファイトを開始すると、少しの首振りの後は重いだけ・・・これはいきなりやってしもうたか!?しかし重量感はそこまでではない感じ。ゴリゴリゴリっと浜に引きずりあげたのは、55センチ前後のヒラメでした!

約2シーズンぶりのヒラメに喜びはひとしおです。昨シーズンはほぼほぼ釣りに行けなかったので、アカメにヒラメにサワラ、と1年のうちに一つでも釣っておきたい魚をほぼほぼ釣ることが叶いませんでした。ちょっと小さめですが、めちゃくちゃうれしい魚でした。その後、暗くなる寸前に波打ち際でボイルしたヒラを、サラナ80Fでゲットし終了としました。

次の釣行は、2月中旬の休日。この日は昼過ぎに干潮を迎えるので、流れが効くその前後となる昼間の釣行です。


この日のお題はジグヘッドワームでヒラメを釣ること。恥ずかしながら、スミスさんのレポートを始めてから、ヒラメ狙いの最初の頃はジグヘッドワームばかり使っていましたが、その後プラグのほうがよく釣れたので、ちょっと苦手意識もあり、ソゲサイズ以外、まともなサイズは今まで一匹も釣ったことがないリグだったのです。


今年はその苦手意識を克服するために、多頻度で使っているところです。ヘッドは他社さんの物ですが、それに合わせるワームは、今は無きビビットライブ。シャッドテールタイプの物です。カラーはホワイト。このホームグラウンドの海底は黒っぽい砂利なので、ホワイトはとても目立つのではないか、と想像しながら使ってます。


先日と同じ狙いで、岸に沿って流れる強い流れの中を狙っていきます。ジグヘッドリグはまだ使い慣れてないせいか、フローティングプラグのように流れのなじませ方がわからないので、とりあえず底から浮かせては流れでドリフトさせ着底、を繰り返しながら、探っていきます。


流れを下りながら探っていると、岸沿いにできた凸型の地形から少し沖までサラシのような白泡が伸びている場所があったので、いい変化だと思い集中してその付近を狙っていると、着底から巻きだしてすぐにグッと抑え込むようなバイト!即合わせでファイトを開始すると、こいつも重いだけの引き!ヒラメに間違いない!


波打ち際で少し横走りしましたが、すぐにそれをかわしてずり上げると、50センチちょいほどの腹パンヒラメでした。ジグヘッドワームで初めてまともなサイズが釣れてくれたので、これでようやく苦手意識も克服できそうです。

このヒラメ、2枚目の写真を見ていただくとわかるように、腹パンだったのでさぞ太った良いヒラメかと思いきや、帰って捌くと産卵直前の吸水卵がバラバラと出てきました。2月中旬なのになぜこのサイズがここまで成熟しているの?!とびっくりです。


これまでのシーズン、この時期に卵が大きくなるのは大型の個体だったのに、こんな小さな魚が成熟しているということは、大型個体はもう産卵終了?この答えが、この数日後にわかりました。仕事柄、ヒラメを捌いて測定するのですが、60センチ以上の大型の雌は、卵巣の中心部が空洞化していて、明らかにアフターとなっていたのです。この1、2年で産卵期が早期に大きくずれ込んでしまっているようです。


こうなると、美味しいヒラメを食べるには12月か1月に釣らないといけないのですが、この時期はまだ高知では水温が高めなので、最近はなかなか釣れてくれないのです。そうなると、逆に少しでも回復に時間をかけた春のヒラメのほうが美味しく食べられるのかもしれません。



さて日は過ぎて、3月上旬の早朝。この日は込み潮の時合い。河口周りを攻めますが、あまり魚っ気がない様子。そんな時は、広くサーフを移動しながら打っていきます。


自分の行くサーフは、急深なのであまり明確な離岸流は発生しません。そんな中でどこをポイントとして見るかというと、ベイトが多くいるエリアです。簡単にわかる目安は、波打ち際ではヒラセイゴ、沖ではサワラがよく跳ねているエリアです。そのあたりには岸から沖までベイトがたまっていると想像します。


なぜそこにベイトがたまるかはよくわかりませんが、恐らくちょっとした海底の地形と潮の具合が影響しているのかなと思います(ある意味、離岸流にも似たものかもしれません)。ただそのようなスポットは、日々サーフの形が変わるとどんどん変わっていきますので、行くたびに探し当てる必要があります。


この日は岸近くにヒラセイゴのボイルが多いエリアを見つけたので、近距離でしっかりと底を取る釣りをするために、サラナMDを使用。幅20mほどの範囲を打っていると、底取りから7-8回転ほど巻き取ったとき、スコーン!と手前に食いあげるような当たり!


魚の生命反応はあるけどやはり重い!これはヒラメに間違いない!上がってきたのは、これも50㎝ちょいのサイズ。今年はこの小型のサイズが揃って釣れてきます。数年後には座布団サイズに育ってほしいものです。

さて、ヒラメが入っていることが確認できたので、また数日経った夕方に引きの時合いで再度入ってみます。引きの時合いはやはり河口を狙います。デカいヒラメが釣りたいですからねー。


この日の流れも岸沿いに入っていますので、最近得意のパニッシュSW-アカキンを選択。1月の時のように、良いトレースラインを河口の流れ出し直下で見つけたので、そのラインをひたすら探っていると、ゴンッ!!と強烈なアタリ!


合わせると強烈な重みを感じます!こいつはデカいんじゃないか?!流れの中で止まったので、こいつは座布団来たか?!と思った次の瞬間、大きな首振りの後、一気に突っ走り始めました。こ、これはヒラメじゃないな、ブリかな~?


30mほどドラグを引き出されたところから反撃に移ります!磯で鍛えたショートピッチ、ハイスピードポンピングでゴリゴリ寄せてきます。しかし、相手もなかなか手ごわく、波打ち際で結構粘ります。意外と大きいのかな?


波打ち際のきわきわでやり取りをすると、波で巻き上がった砂利でラインが痛むことがあります。普通イメージする遠浅のサーフでは砂が多いと思いますので、想像し辛いかもしれませんが、高知の中央部、特に河川がらみの急深サーフは砂というより砂利や時には拳大の石ころが波打ち際に転がっています。これが岸際で波に巻き上げられ、打ち付けられる際に、糸を潰してしまうのです。これを防ぐため、相手が弱るまでは際から5-10mくらいの範囲でプレッシャーをかけ続けます。


数分で観念したのか、水面に姿を現したので一気に引きずりあげます!やはりブリでしたが、結構デカい!最近はヒラメとサワラを釣ることに傾倒していたので、ブリは何かと避けていたのですが、このサイズはさすがに嬉しいです!

サイズを図ると95㎝くらいでしょうか。メジャーがちょっとくねくねしちゃってますが、ピンと張るとそのくらいでした。体後ろ半分は細めですが、前半分は結構分厚いので7キロくらいはありそうです。


いやあ、久々にパンチのあるいいファイトでした。ブリに感謝してリリースします。
3月はこの後、一時サワラの群れが入りましたが、自分が下手くそ過ぎて一本も取れずじまいでした。今後は4月の居残りアフターヒラメを集中して狙っていければと考えてます。


追伸:サーフには沖から、また河川サーフでは川の上流からも流れてきたゴミがよく漂着します。漂着したゴミは打ち付ける波と砂利や礫に砕かれ、小さく小さくなっていきます。プラスチックゴミであれば、それは今話題のマイクロプラスチックとなっていくわけです。いわば、サーフはマイクロプラスチックの最前線です。マイクロプラスチックは小さくなればなるほど様々な化学物質を吸着し、生物の体内に蓄積し、影響を与えると言われています。
 自分はサーフで釣った魚を家族で食す機会も多いので、自分たちに還ってくることと考え、微力ながら少しでもゴミを拾って帰ることを心がけています。自分が出したゴミではないかもしれませんが、コンビニ袋一つ分でも良いし、毎日じゃなくてもいいので、どんなサーフにも一番広範囲・長時間・高頻度に訪れる「釣り人」がプラゴミを拾って少しでも海のマイクロプラスチックを減らすことが出来れば、それは素晴らしいことじゃないかなと思います。

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