【海との向き合い方】
今年の秋は猛暑の影響で水温が高めに推移した影響なのか?10月になっても大型青物の便りは届かず、キスと戯れながらその時を待っていた。すると11月も後半になってようやく大型の回遊があったとの情報が入り、1年の締めくくりであるSALTモードにシフトした。
近頃の遠州灘のサーフエリアの人気は年々高まるばかりで、コロナ以降の手軽なアウトドアレジャーとして定着した感がある。多くの釣り人が夜明け前から浜に入り、日の出前後のゴールデンタイムを待つ光景は定着し、相当の覚悟をもって挑まないと朝まずめに浜に立つことは厳しいのだ。当然釣り探るなど無理な話で、我々はそんな窮屈な釣りを避けるようになった。日が昇り切った頃に潮のタイミングを図りながら、夕まずめまでを楽しむスタイルが、ここ数年の海との向き合い方になっている。それなりにキャリアを重ね重ね様々なパターンを経験した今、日中でも潮のタイミングとベイトの接岸で充分勝負になることは判った。ピーカンのお日様の下で大爆釣ということも幾度も遭遇し、このお祭りに出逢う事が私のSALTシーズンの楽しみとなった。
【大型の接岸】
この日もいつものように高台で地元の釣り人と談笑しながら情報交換から始めた。今年は磯周辺にベイトに付いて大型の魚が回ることが多く、一潮前にも鰤にマダカ(シーバス)が恐ろしい程釣れたようだ。そんな話をしていると沖に突き出た大岩の周辺で鳥の動きが激しくなり、その後次々に鳥が海に突っ込み始めた。周りでは大きな水柱が立ち、大型のフィッシュイーターが接岸したように見えた。大きさから鰤クラスの魚が小魚を水面に追い上げ捕食しているようだった。慌てて身支度を済ませ、北西の爆風が吹き荒れる磯に立ち、夕方までの釣りを開始した。
しかしそう上手くはいかなかった。磯に入るころには鳥山もすっかり姿を消していた。ただこの磯の周辺は夕マズメの大型回遊魚の通り道になっているようで、回遊を待って日暮れまでここで過ごすことにした。
ルアーはミノーを使いたいところだが、南向きの釣り場に北西の爆風が横から吹き抜け、ラインがフケて釣りにならない。またこの時期ベイトはゼンメ(ヒイラギ)やカタクチイワシなどの小型が多いことから、地元勢はバイブレーションで結果を出している。バイブレーションは引き抵抗があるため、直線的にルアーを引くことができる。トレースラインが限定されがちな磯場の釣りではこの機能は重要で、さらに岩周りの深場では縦方向の誘いを掛けることも可能だ。そこでベイブル90SとHSで、沖目の水道、磯際サラシや大岩の裏側などのストラクチャーをタイトに攻めていく。更に沖目を広範囲に探りたい時は、自重のあるマグナムサージャーで飛距離を稼ぎ、厄介な糸ふけを逆に利用し、ラインへの風の抵抗で水面直下を引くなど、限られた選択肢の中で攻め方に工夫を凝らし、魚からの反応を見ていった。
するとマグナムサージャーで足元の岩礁帯の深みに軽くフォールを入れた時、まずまずのヒラメのバイトがあった。しかし残念ながら手前まで寄せてからフックオフ。足場が高くラインがうまく張れないのでフッキングがうまく決まらない。さらに日没後の薄暗い時間に流れの中を引いていたベイブルに鰤らしき大型魚がいきなりバイト。ラインが猛烈な勢いで引き出され、岩に摺れたよう無残にもラインブレイク。目の覚めるようなアタリと猛烈な引きは私の狩猟モードにスイッチを入れた。
「今度こそは!」と心に誓いながら薄暗くなった磯を後にした。
【マダカ日和】
翌日も北西の爆風は吹き荒れ、早朝は鰤やマダカがある程度釣れたようだ。私はいつもの時間に各ポイントのベイトと鳥の存在を確認しながら、車を岬の先端まで走らせた。
今季の遠州灘の愛知県エリアは、前にも述べたように青物の接岸は遅れ気味であったが、去年不調だったヒラメは、今年は好調に釣れているようだ。気まぐれなサワラはいつのもことだが、マダカ(シーバス)は既に80cmクラスも姿を見せ、よく太った銀ピカのサーフシーバスが浜に入っているようで期待が持てる。
現地に着くと鳥の気配のあった浜から釣りを開始し、東の磯を目指し釣り進むと、岬の先端からカタクチイワシの小さな群れが、岸際のブレイクラインに沿って東に移動していることに気が付いた。すると西からイワシを追ったマダカがあちこちで釣れ始めた。ベイトボールができるほどの群れではないが、バイブレーションで手前のブレイクを引くと生命反応があった。そこで急遽パニッシュ120F-SWの黒銀にルアーチェンジし、沖目から岸際まで丁寧に引き始めた。すぐに隣の釣り人の竿が曲がり、60cm弱のフッコクラスが釣りあげられた。次は私だと期待とともにルアーを引くと、モソモソと吸い込むようなアタリとともにパニッシュ120F-SWを襲った。すぐに合わせを入れて寄せにかかる。魚は手前のブレイクで最後の抵抗を見せ、水面でエラ洗いを始めた。あまり大きくはなかった。ここは難なく耐えたものの、ブレイクラインに戻ろうとするマダカが首を振って抵抗をした瞬間、ポロッとフックが外れまたも取り逃がしてしまう。その後はあたりもなく、すぐに潮止まりとなったために昨日の磯へとポイントを移し、満潮から下げを狙うことにした。
【潮替わりは磯で】
昼の休憩もとらずに早めに磯に入るには理由があった。上げ潮のタイミングで磯周りに鳥が多かったので潮替わりのタイミングで喰いが立つのではと考えた。すると同じことを考えた地元の釣り人が既に磯で待機していた。仕方なく二番目のポイントに入り支度を始めると、隣の磯に乗った釣り人が魚を掛けランディングに入った。慣れた手つきで複雑な根をかわし、60cmに満たないマダカをランディングした。銀ピカで体高もあり、お腹のあたりがパンパンの雌であった。ルアーは定番のバイブレーション。やはりこの爆風の中ではこのルアーが使いやすいのだろう。私も早速ベイブルのイワシカラーを結びキャストを開始した。
磯にはブローショットボロンサーフェッサー BSB-103SFとU社の青物タックルを持ちこんだ。まずはサーフェッサー103にバイブで探りを入れていく。釣りを始めて間もなく、大岩の先に落ちたベイブルを岩の手前の深みで少し沈めて誘うと、磯際の深みに身を隠し小魚を待っていたマダカが口を使ってきた。すぐに合わせを入れて岩から離しにかかる。魚は海底に潜ろうと抵抗するが、サーフェッサーのバッドパワーで強引に水面に浮かせ、根をかわして手前のプールに誘導する。もちろんドラグは昨日のこともあり少し締め込んでいた。主導権を失うことなく波打ち際まで一気に引き寄せ、磯から浜に降りてランディング。ベイブルのフックの鼻先に掛かった状態で上がってきたのは、抱卵しお腹はでっぷりした65cmのマダカ。捕食したゼンメ(ヒイラギ)を吐き出し、ルアーの選択に間違いはなかったようだ。
その後、夕方までしっかりキャストを続けたが、残念ながら前日の大型青物のリベンジは果たすことはできなかった。
【これから】
北西の季節風が安定し、水温が徐々に下がり始めると大型の青物は東から伊良湖の先端を目指しながら浜に入ってくる。正月までがベストシーズンで、ベイト次第で何が起こるか予測不能なのがこのサーフエリアである。突然のベイトの接岸で鳥山が立ち、いきなり真昼間のお祭りが何時間も続くこともあれば、全く反応のないことも多い。通い、待ち続けた者だけが得られるこのギャンブル性の高い釣りこそが、この時期の伊良湖岬の釣りなのだ。いよいよ本格的な伊良湖岬のビッグゲームの季節がやって来た。大物との突然の出会いを夢見ながらしばらくは浜通いをすることになるのだろう。
Rod | スミス ブローショットボロン BSB-103SF U社 青物ショアプラッギングロッド 10ft |
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Reel | シマノ ツインパワーSW 4000XG 6000XG ステラ4000XG |
Lure | スミス ベイブル90 90HS マグナムサージャー ドラゴンサラナ パニッシュ120SW ハルカ145F/S 165F/S サラナ125F 147MAX サラナ147SR サーディンランSS/F ドラゴンサラナ ハイパーブレード バスタージャーク120S メタルフォーカス 28g 40g 60g 80g |
Line | G-soul SUPER JIGMAN X4 1.2号 1.5号 2.0号 G-soul WX-8 1.2号 |
Shock Leader | バリバス ナイロン 35/40/50lb |
Landing Tool | スミスグリップ2700 |