辻 晴仁

三重県在住 某水族館魚類飼育員。
アジング、メバリングからオフショアまでソルトルアーゲームを展開しています。
釣果報告や魚類生態解説→https://www.fishing-aquarium.com



《 志摩沖トンジギ釣果報告とビンナガの捕食対象生物の考察 》


トンジギという言葉がここ数年で定着しました。今年の志摩沖のトンジギは好調なので、この状況で行かないわけにいかないということで参戦してきました。


ポイントに到着するとチラホラと魚探反応が得られるみたいで、指示棚70m,100m,140mとさまざまなレンジが船長からコールされます。全ての層をひとまず見たいのでライン放出量は170mから手広く探っていきます。しかしなかなかアタリは得られずに沈黙が続きます。途中、同船者にキハダらしきヒットがありましたが残念ながらブレイクとなりました。当日の潮は干潮が9:30頃で、潮が返してから食い出すのではないか?と船長からアドバイス。すると、潮止まり前の9時頃からそのエリアに群れが入ったのかコンスタントに当たり出します。


まずは1本目。同船者が100付近でヒットさせたと言うことだったのでライン放出量140からスタートです。シャクリ方はゆったりとしたワンピッチジャークで攻めて行くと130m付近でスラックが出た瞬間にドンっ!と乗りました。すかさずフッキングを入れてファイト開始です。最初はスルスルと上がってくるのですが50m付近から一気にランをするので気が抜けません。ファイトタイムは5分くらいで勝負はつきました。サイズは15キロ無いくらいのビンチョウマグロです。


2本目は70m付近で、そろそろ入れ直す為回収に入ろうかというところでした。こちらはスイミングジャークにドスンと乗ってくれました。


3本目はフォールでのヒットとなりました。このタイミングでも同船者が120mくらいでヒットしたということだったので、130m近辺までフォールさせて行くとラインからカサカサっという違和感が伝わってきたのでクラッチを返してすかさずフッキングを入れました。ビンチョウマグロに限らずフォールでバイトするマグロ類はフッキング直後は魚があっちこっちへ走って不安定になることが多いです。今回も手前へ向かってくる傾向があったので急いで巻き取り、60mくらいまで巻き上げてやっとドン!という重みが乗りました。こちらも無事キャッチとなりました。フォールバイトはやはりリアフックですよね。


結局この日は即バレも入れるとトータルで4ヒット。内3本をキャッチとなりました。回遊性の高いマグロが数釣れると言うのは群れが大きいと言うことと、釣り方が確率されつつあると言うことだと思います。今後とも様子を見ながら釣行を重ねていく必要性がありそうです。


【tackle data】

rod:Smith AMJX-c61m ml
reel:Shimano オシアジガー2000hg
line:ygk jigman×4 4.0号 3.0号
lure:Smith ムラマサ3s 300g
hook:vanhook jigen 7/0
根付け糸:ザイロン30号
スプリットリング:cultiva hyperwire #8


ところで先日のビンチョウマグロですが、胃内容物を調べてみました。小型のイカを捕食していました。消化が進んでいるので種までは同定できませんでしたがパッと見ると小型のケンサキイカ(ブドウイカ型)に見えました。そして興味深かったのが、こちらも消化が進んでいるので断定はできませんが、端脚目に属する甲殻類で、ウミノミ、クラゲノミの仲間であると考えます。この種は外洋の浮遊生活者なのですが、クラゲに寄生する傾向があるので、このビンチョウマグロはクラゲを捕食していた可能性が出てきます。



そうなってくると、浮遊生活をするクラゲが溜まるような潮目をビンチョウマグロジギングのポイント目安とする重要性が改めて認識されると同時に、層によって異なる潮をヒットレンジの目安にするなど、アングラーとしての引き出しを増やすことができた釣行となりました。



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