風の強い中でのトップチニング

古谷 英一

鹿児島県在住。錦江湾を中心とした鹿児島県内のフィールドでショアからのソルトウォーターゲームを追求している

今シーズンの鹿児島は、何故か夏の間は風が強い日が多い気がします。私の休みの日だけなのか!? 釣りをする上で、いいコンディションではない日が多いです。
毎度毎度、風に悩まされる日々。中でも、私が大好きなトップチヌに関しては、この風がない方が断然釣りやすいと言えます。
水面を操作するゲームのため、水面の波立ちがルアーそのもののアクションを殺してしまう事もあるし、風でルアーやラインが引かれて思うような釣りが出来ない事が多くなります。
風が強くなればなるほど、トップウォータープラグの釣りは難しくなってきます。特に、繊細な操作を行う釣りになれば尚更です。


今回の釣行も、強い風に悩まされます。
何処へ行っても、強い風にルアーやラインが流され、大幅にポイントからズレます。それを計算に入れてアプローチしても、ルアー着水後もラインが宙を舞ったまま、どんどんルアーを引き摺っていきます。
そんな経験を、皆さんもした事があるのではないでしょうか?
では、そんな中で、如何にしてトップゲームを成立させるのか?を今回はご紹介したいと思います。


本来であれば、PEラインではなくナイロンラインを使用する事で、かなり風の影響は軽減できますが、その分、飛距離を大きく犠牲にします。さらに、口の硬いチヌにしっかりとフッキングさせる為の力の伝達力は、PEラインの方が有利ですね。
ただ、風が強くなればなるほど、同じように支障が出てくるのは一緒です。
ならば、PEラインで少しでも効率良くゲームを組み立てる方が有利ですね。


●潮の流れと風向き

まず大切なのは、潮の流れ(川の流れ)と風向きです。
流れに対して、ルアーは流されながら操作、誘いを入れていきます。基本は、これだけを考えてアプローチすれば問題ありません。
でも、風が強くなれば流れの移動を大きく邪魔をします。
例えば、流れの上からの風であれば、風の影響で流れよりも下流への移動が早くなります。もちろん、移動が早くなれば誘いも入れにくくなります。
逆に流れの下からの風であると、流れに対してルアーは流されにくくなります。もちろん、ルアーのアプローチも上側になりますし、ルアーの姿勢や方向なども風下に向いたりします。
向かい風や追い風などは、飛距離に大きな影響を及ぼしますが、釣りへ直接的に悪影響を及ぼす事は少ないので、ここは今回省きます。

●強く影響するモノ


では、そんな中で優先して考えなければならない事はなんでしょう?
私が思うのは、より釣りに強く影響を及ぼします事に対応しなければならないと思います。
流れが早く、ルアーがどんどん流されるのであれば、その流れに対応する為に風を読む事です。逆に風が強く影響する場合には、その風に対応したアプローチが必要ですね。
流れと風が逆であれば、どちらが釣りに強く影響してくるか?を考えて下さい。
実際、普通に釣りをしていて、風が邪魔と感じるか?流れの速さが邪魔と感じるか?で、釣りを変えていきます。

●立ち位置で変わるストレス


強く影響する障害が何であるか?が判明すれば、あとはそれに対応していきます。よりストレスを感じずに釣りが出来る様にしてあげます。
基本的には、風さえ無ければ余計なストレスを感じる事はないのですが、トップゲームに限っては、本当に風が大きなストレスとなります。それを少しでも軽減してくれるのが、自分の立ち位置ですね。
ルアーをアプローチする方向を変えてあげる事で、風からのストレスはかなり軽減されます。追い風にすればストレスどころか、快適に釣りが可能にもなりますので。
トップゲームの場合、出来る限り真横からの風は避けたい所です。横からの風が最もキャスト、ルアー操作などに強く影響を与えますので、風が強くなればなるほど横風は避けたい所です。
その為に、狙うポイントに対して、より風上に立ち位置を取る方が、トップゲームは組み立てやすくなります。もしくは、風下に立ち位置を取るのもありです。
少しでも背中からの風になるようにする事で、キャスト。時のラインスラッグは大幅に減少します。ここが大切ですね。キャスト時のラインスラッグが減少すれば、ラインに受ける風の影響はかなり減ります。よってルアーの操作も行いやすくなります。

●風を上手く利用する


立ち位置でストレスを減少させれば、逆に風を味方にする事も可能です。ただし、これは流れと風が同一方向である事が前提ですが。
今回の釣行時は、流れと全く同じ方向からの風でした。ただ、同一方向だけにラインスラッグが大きくなればなるほど、着水後もルアーは舞い上がって移動したり、水面を勝手に走り回ったり。ラインが水面に着水するまでは、チヌペンの操作は一切できませんてした。
そこで、ラインスラッグをなるべく少なくする立ち位置を取るために、股下までウェーディングし流れの上流側からキャスト。ただ、完全なダウンでの釣りでは探れる範囲が極端に狭くなるため、ダウンクロスでアプローチします。
流れにクロスでキャストすれば、風が勝手にダウンクロスの状況に持っていってくれますが(笑)。
だいたい、私の場合はチヌペンを45~55m飛ばします。これに風でラインスラッグが10m近く出たりしますので、その範囲内が探れるエリアとなります。ただ、ルアー着水からラインが着水するまでは一切、操作は行いません。逆にラインを水面に着けるために、ロッドディップを水面に浸けてあげます。少しでもライン着水が速い方が、探れる範囲は広くなります。
あとはPEライン使用なので、ラインスラッグが水面に落ち着けば、そのまま操作してもチヌペンはきっちりとアクションしてくれます。
また、流れと同一方向の風なので、ラインスラッグも潮下側に出来ます。よってラインスラッグも巻き取る事なく、ロッドティップでアクションさせつつ、ポーズでロッドを前に倒して上げる事でスラッグを作りしっかりとしたポーズで誘います。リールを巻くのは、ルアー回収時のみですね。
これで、普段は探れない距離をきっちりと探る事が可能です。私の場合は、65m先までが攻略範囲になります。追い風になれば、更に先までカバーでき、チヌへのプレッシャーも減少できます。
もちろん、自分が移動しながら下流側へ移動しますので、かなりの範囲を密に探る事が可能です。

風が強いから止める、というのも一つの手ですが、限られた休み、釣行でも有利に釣りを行う事が可能です。水面の釣りは風が大きく影響を及ぼしますが、逆にそれを味方に付けると想像以上の釣果につながったりも多々あります。
ただし、それを味方にするためには、大切になるアイテムも沢山あります。立ち位置の自由度を増やすためにウェーダー、波立つ水面でしかも遠い場所でもしっかり目視するための偏光グラスは絶対に必要です。
プラス、風によるラインスラッグがある状況でもしっかりとアクションしてくれるチヌペンTラバとチヌペンFWは欠かせません。その中でも視認性の良いカラーは、断然、有利なゲームが可能です。
全ての釣りで、強い風は邪魔でしかありませんが、それを逆手に利用する事で、より良い釣りに繋がればと思います。強風下でのトップチニングパターンでした。

Rodダンシングブリーム翔DB-SH72
LureチヌペンTラバチヌペンFW