冨安 隆徳

愛知県豊川市在住。ルアーで四季折々の魚を求め釣り歩く、アウトドアが大好きなサラリーマン。

主なターゲットは、九頭龍川の桜鱒、天竜川水系遠山川のアマゴ・イワナ等。


《 2020 敦賀Rock Fish Game 》


【アフターサクラマス】

 アフターサクラマスは、敦賀Rock Fish Gameが恒例行事。もう通い始めて数年になるが、ストイックな釣りの後には癒されたいんです。そんな時は敦賀Rock Fish Game。
 初めて誘われた時は気が乗らなかったが、今や大好きな釣りの一つだ。ボートに弱い私がそのリスクを冒してまでも出かけるのは訳がある。まず外さないのだ。抜群の安定感で楽しく旨い!強い引きと食味に完全にノックアウトされてしまった。お造り、焼き魚、煮魚、一夜干し、唐揚げ。少し小洒落れたアクアパッツァもいい。
 さあ癒してもらおうじゃないか!敦賀Rock Fish Gameで。


【敦賀湾】

 馴染みのボート屋さんに6時に到着し、曇天の海にボートを進めた。ボートは手漕ぎボートのレンタル。冬に入鹿池でもお世話になる普通のボートで沖に出ていくのである。初めて沖に出たときはこんなボートで沖にでるのか?と思ったものだがもう慣れてしまった。
「あ!やっぱり冷たいね。」
「水温が下がっちゃったから大きなキスがいなくなっちゃった。」
そう語っていたボート屋のお母さんの言葉を思い出した。ライトタックルのキス釣りもこの釣行の楽しみなので、少し気になるところだが何とかなるだろう。
 誰もいない早朝の砂浜を2人の釣り人が沖に出ていく。砂底がしばらく続いた後で、いよいよ黒々とした岩礁帯が姿を見せる。現地の方の話によると昨年冬にタンカーが座礁し、オイル漏れで大変な被蓋を受けたようだ。しかしその惨事は、今日の水色を見る限り微塵も感じられない。5m程度の海底は手に取るように把握できるほどの透明感。さほど大きな影響はなさそうだ。


【タックル】

 タックルはベイライナーボロン66 BLB-66ML/BRF。これにシマノステラ3000HGを合せ、PE1.2号に16LBのフロロのセッティング。テキサスリグにセットするのはいつものホッグ系ではなく、昨年リリースされた狂輪波3.4インチ。フックはGYオフセットフックの#1/0を結び、ボディーのリングリブに針先を仕込む。
このワームはロックフィッシュ専用の少し長めのリングワームである。少し大きめのカーリーテールを備え、僅かな潮の流れでヒラヒラと悩ましい動きを見せてくれる。なによりホッグ系よりも長くボリュームもある。 釣友はなじみのワームからスタートしたが、私はこのゲームでお気に入りのオレンジの狂輪波で釣りを始めた。


【癒しの釣り】

 タンカー座礁の影響が懸念されたが、そんな心配は無用だった。キャプテン(釣友)の合図で、狂輪波をうっすらと見える海中の岩盤を目掛けてフォール。ラインのフケで着底を確認し、リフト&フォールで誘いを入れると
「ココン。コン」
と小気味よい当りとともにラインをひったくっていく。
「喰ったよ!」
「いいね〜!」

今年も敦賀の海は私たちを待っていてくれたようだ。釣友もオールからロッドに持ち替え私に続く。ここからしばらくは活性の高いカサゴとの駆け引きを楽しんだ。まずまずのサイズの魚が面白いように喰ってきた。何度もボートを潮上に立て、潮に乗せて岩礁帯の隙間を流し、周辺の岩礁帯を丁寧に探り釣っていく。地形に変化のある荒い磯場や沈み岩のある解りやすい地形をダイレクトに攻め、小気味よい当たりと強い引きを楽しんだ。主だったポイントは一通り攻め切ったので少しポイントを沖に移し、比較的水深のあるエリアを探り始めた。


【異なるアプローチ】

 荒い岩礁帯ではないものの、水深のある地形には黒々と海藻の気配があった。実際にルアーを沈めてリフト&フォールで探って行くと、タングステンバレットシンカーに岩からの明確なシグナルが伝わることもあれば、僅かな抵抗や砂底を引くような底質の感覚がラインから伝わってくる。海底は砂底と高低差の少ない岩が点在しているのだろう。スローなフォールと悩ましいカーリーテールの動きを武器に、リフト&フォールの縦の釣りだけでなくスイミングによる横の動きを意識して、海底の直ぐ上を攻めていく。オレンジ色の狂輪波をロングキャスト後、底石近くを浮かせて引くイメージで通し始めると、これまでとは明かに違う強い引き込みで竿先が持って行かれた。
「デカイ!」
根に潜られないようロッドを立てながら魚から主導権を奪い、素早くラインを巻き取って底を切っていく。海中に浮かび上がる少し大き目のシルエット。引きの強い魚の正体は、2種目のRock Fishとなるキジハタであった。
「おっ。でかい!」
キャプテンも思わず声を上げる。狙っていた魚なので、自然とランディングも慎重になる。オレンジ色の狂輪波をしっかり喰い、フッキングは完璧だった。大きさは35cm。ヌルっとした魚体と艶めかしい色合いが素晴らしい魚である。狙って獲った!そんな満足感すら感じられる魚であった。


これまで経験からキジハタはカサゴよりも岩礁の穴の奥というよりは、少し浮き気味で定位している印象がある。しっかり底を取る釣友よりも少し浮かし気味の私に当たりが多いのもそのあたりが影響しているのかもしれない。今回も良型のキジハタを私が先に掛けてしまったので、少し苦笑いのキャプテンだったが、釣って楽しく、食べて美味しい魚の登場で船上はおおいに盛り上がった。ストイックな釣りや日々のストレスをこの海と魚たちは優しく癒してくれた。



【カスタマイズ】

 釣りを続けていると、魚の活性に変化が起こるのはよくあること。一発で持って行かない時やスッポ抜けが多くなったときはボディーをカットするなど、活性に応じてカスタマイズできるのもソフトルアーの醍醐味だろう。カラーは明るいオレンジが好みだが、ラメの入った透明感のあるホワイトで釣友はカサゴをバンバン掛けていた。この日は薄暗い時間が長かったためか、明るいオレンジやホワイト系のアピールカラーに反応が良かったように感じている。


狂輪波は少し張りのあるマテリアルを使っており、フックのズレや針穴からの破損のトラブルは全く無かった。耐久性の高さもアングラーには嬉しい特徴の一つだろう。


【ハプニング】

 岩礁帯をタイトに狙っていると根掛かりはつきものだが、根掛かりを外そうとボートを立て直し回収に入ると、根に掛かっているはずのラインが少しずつ巻きとれた。海藻か仕掛けに絡んでいるのかと強く巻き取っていくと、何かが狂輪波に巻き付いて戻ってきた。よく見ると真蛸だった。100gほどの小型の蛸だったが、白い狂輪波のテールの動きに引き寄せられ、思わず飛びついたのだろう。3種目の珍客の登場でいいお土産ができた。
 周辺の岩礁帯を一通り攻め切り、沖目の砂底ではライトタックルで餌釣りのキスも楽しんだ。お母さんがいうように小型のピンギスばかりだったが、3本針を全部喰ってくるほど活性は高かった。サイズが上向かない状況に諦めムードが漂い始め、狙いを変えようと仕掛けに掛かったピンギスを生き餌に、ボートで流し釣りを始めた。岩礁帯が絡む砂浜なのでヒラメやマゴチがいてもおかしくないエリア。面白がって様子を伺うと、何かがキスを襲った。マゴチだろうと思って引き上げると、予想に反して良型のカサゴが喰ってきた。
「キスを喰うんだ。カサゴも。」
狂輪波3.4インチを襲うカサゴをはっきりイメージできた瞬間だった。


【これから】

 敦賀の手漕ぎボートによるオフショアのRock Fish Gameは波が高くなる9月頃まで楽しめる。水温の上昇によりサゴシや小型のカンパチの回遊を見られるようになるので、小型のメタルジグやプラグ、そしてちょい投げの仕掛けがあると、1日のんびり釣りが楽しめるだろう。キスはルアーロッドで流用できるためお手軽なのでぜひお試しいただきたい。


● マイタックル

Rock Fish Game

◇ロッド ベイライナーボロン66 BLB-66ML
◇リール シマノ ステラ3000HG
◇ライン ヨツアミ ヨツアミ G-soul jigman PE 1.2号
◇リーダー フロロ 16LB
◇ルアー スミス オーシャンパフォーマー狂輪波 3.4インチ
◇フック  スミス GY OFFSET HOOK #1/0
◇グリップ スミス イージーフィッシュグリップ ステンレス

ソルトライトゲーム&キス

◇ロッド  スミス ストラテジーツアラー STS-HM63SS
◇ロッド  ダイワ ルビアス 2500
◇ライン  ヨツアミ G-soul X−8 PE 0.8号
◇リーダー フロロ8lb
◇ルアー スミス メタルフォーカス7g 12g ウェイビーS65
◇キス 天秤仕掛け 3本針 ナス錘6号



[ 戻る ]