猪原 亮

高知県在住。チーム・CATホッグチェイサーズ(海猫)、ショア馬鹿いけいけ2号団所属。

海でスズキ、イカ、青物、フカセ釣りを展開中。



《 ブリ爆 》


とある休日、休日出勤して16:00まで仕事をし、さて家へ帰ろうと、いつものサーフの前の道を走っていると、何やら岸近くを鳥たちがせわしなく飛んでいるのを見かけました。

「お!ちょっと怪しい!」と思い、河口を挟む広大なサーフを一通り走ってみると、河口の右岸側の方に鳥が良く飛んでいるなと思ったので、即決で右岸のサーフに入りました。

河口を挟む場合、この選択が間違えば、ルアーの届かない川の向こうのナブラに指をくわえて耐えるしかないのですが、それはその時々でしか分からないことです。このあたりが釣りのギャンブル性の一つでもありますよね。失敗と成功を繰り返しますが、それが脳みそ沸騰級の興奮をさらに助長するのです。


さて、いつものタックルを準備して早速浜に降りると、すでに数名の釣り人が居ます。いちばん近くのおんちゃんに声を掛けると、「さっきカタクチが打ちあがっとったで」と。そりゃかなり期待が持てますね!?と沖を見ると、すでにボイルがぽつぽつ起こっています!サワラも跳ねています!

こりゃたまらん!かなり沖でのボイルなので、とりあえずメタルフォーカス40gをセットして、かっ飛ばします。ゆっくりただ引きしながら、沖の様子を見ていると、どんどん鳥が集ってきて、とうとう大きな鳥山ができました。水面は大きなしぶきが、幅100mほどの範囲で起こっています!ナブラです!

たぶんその正体はブリで、その周りでサワラがぱらぱら飛んでいます。ただその距離約300m。遠い・・・ジグをブン投げても100m弱なので、全く届きません。ただ、自分が来る前に、カタクチが岸に打ち上がったというなら、同じようなチャンスが巡ってくるかもしれません。


20分ほどナブラの様子を見ながらジグを投げていると、不意に目の前50〜60mの距離でボイルが起こりました!急いで沖のジグを回収していると、鳥もどんどん集まってきて、ボイルもボコボコ起こりはじめました。回収しているジグをスローダウンして、ボイルの中を通しますが、全く反応しません。

ここで小さいルアーズです。すぐに飛距離の出るスーパーウルム・シングルフック仕様に替えて投げます!ボイルが意外と長く続いているので、運が良い!ボイルの中、表層をゆっくりリーリングします・・・あれ?喰わない。もう一度キャスト!・・・喰わない!!やばい、もう一投が限界か?!次は少しトゥイッチを加えます。すると、グググッと竿先を抑えるような反応があったので、グリグリッとリールを巻いて重みが十分竿に乗ったところでフッキング!

よっしゃ乗った!ようやく食った。あれだけボコボコとボイルしているのに、なかなか食ってきませんでしたので焦りました〜。サイズはそんなに大きくなさそう。難なく浜にあがったのは、80p前後のブリでした。




とりあえずワンチャンスをものに出来てよかった、とほっと一息です。まあまあのコンディションですが、ちょっと小さいのでリリースします。


さあて、次のナブラ待ちです。静かになった波打ち際を見ると、カタクチが数十匹打ち上げられています。指4〜5本くらいかな。以前より少し大きめです。これだけ打ち上げられるということは、まあまあの数のカタクチが沖には群れているのでしょう。
打ち上げられたカタクチ


少しすると、また沖でナブラが立ち始めました。さっきのパターンから、次は最初から射程距離に入るのを待って、狙い撃ちにすればいい、と思っていたのですが、今回のナブラはなかなか岸に寄ってきません。

しびれを切らして、またジグを遠投します。届かないのに・・・いや、その手前にもしかすると何匹か泳いでるヤツがいて反応するかも、と淡い期待を込めますが、全く反応ありません。それでも届かないナブラに向かって遠投してしまうのです。

そうこうしていると、キャスト時に少し巻きこんでいたノット部分がガイドに当たって、引っかかったのか、ジグを振り切ってしまいました。ガーン、要らんことしているからです。ノットの組み直しです。こんなことしている時に限って、ナブラが寄ってきたりするんだよな〜マジでやめてくれよ?

と言っているそばから、射程内でボイルが始まります!まだエンドノット出来てないのに!!スナップ出して結んでいる暇はないので、スーパーウルムをフリーノットで結びます。そしてすぐキャストし、またボイルの中を通しますが、なかなか食わない。


ボイルは一旦止んでしまいました。くっそー、どうしてだ?もうちょいゆっくりナブラの中を通せる方が良いのか、と距離は出ませんが、サラナ95Fをセットしてみます。

ついでにこの間にSPスナップ#3で結び直します。やっぱ、スムーズにルアーが交換できないと、チャンスを逃しますからね。僕にとってスナップは必需です。またSPスナップは小ぶりなのにかなり強いので、安心して使えます。メーターアカメ、90アップブリでも伸びたり、開いたりは、今のところ一切無しです。


サラナ95Fに替えると、すぐに目の前で単発ボイルが発生。しかも岸からすぐそこ!これはチャンス!どうも岸に打ち上がったカタクチが、波によってまた沖に流れ出して、水面付近をヨタヨタしているのを拾い食いしているようです。

ボイルがどこそこで起こります。本チャンのナブラほどではないですが、かなりボイルが多くなってきました。しかし、そこをサラナで通すものの、なかなかアタリません。さっきのスーパーウルムと一緒です。

より水面付近に漂わすために、デッドスローに切り替えるとようやくアタリました!95Fのフックは小さいので、ドラグゆるゆる作戦です。走らせるだけ走らせて、ゆるりと捕えます。しかしこの魚、そんなに大きくなさそう。スルスル寄ってきます。

他にボイルしている波紋は結構デカいのにな〜。上げると70p台のブリでした。ただ小さいながらもカタクチを捕食しているので、12月に釣った魚よりは良い体型しています。





ちょっとサイズダウン。しかし気持ちよく喰ってくれない。経験上、あれだけボイルしている中をばっちりマッチしたルアーを通せれば、一発で食ってくるのに。やっぱりトップかな。スーパーウルムやサラナでは潜りすぎるのかも?と、小さいルアーズの唯一のトップであるスティッキークラッチヒッターのイワシカラーに替えてみます。

ただ次がラストチャンスかな?もう17時半。結構暗くなってきました。もうさすがにナブラ立たないかな?と思っていると、隣にいたおんちゃんが、なボイルも無い中、魚を掛けました!居るじゃん!とクラッチヒッターを投げようかすると、神様は最後に微笑んでくれました。


いきなり目の前の海が沸き立ちます!岸際から数十メートル沖までがナブラになりました!カタクチがどんどん岸に打ち上がります!こんなことってあるんだ!!すぐにクラッチヒッターを投げます。ワンアクション、「ボカンッ!!」

来たー!!これや、やっぱりこれだったんだ!ルアーがマッチした時のこの喰い方ですよ!最初からこれ投げてれば、もっと楽に釣れてたのかも。この魚も意外と楽に寄ってきます。ひょいと上げると、これも70p台でしょうか。

しかも今度はちょっと痩せてます。ナブラの中には相当大きなボイルもあるのにな〜。


一時の湧き立つようなナブラはこの魚のファイト中に消えましたが、先ほどのように岸に打ち上がったカタクチが流れて、それを拾い食いしているようなボイルはどこそこで起きています。いちばんデカそうなボイルをしている傍に、クラッチヒッターをキャストします。

次で最後だなと。システム組み直さずに2匹釣って、さすがにラインが伸び伸びになっているはずですので、無理は禁物です。さらにドラグを緩めます。着水後のワンアクション、「ズボンッ!」一発です!もうエサです。

巻きアワセを食らわせて、ファーストランが始まります。水面バイトの感じからそんなに大きくないかな?と思ったのですが、いくらドラグゆるゆるだからと言っても、思った以上に止まりません!100m近く走られました。

手ドラグしながらバットを入れて、こちらに頭を向かせます。クラッチヒッターのフックも小さめですし、何よりラインも伸び伸びですので、慎重に寄せます。半分くらい寄せてきたところでまた走ります。元気な奴です!

久々の長時間ファイト。右に左に弧を描きながらなかなか寄ってきません。5分以上たったでしょうか。ようやく波打ち際まで寄せました。魚体が見えると、今日イチの丸々したボディが水面に出てきました!「これは丸い!これは美味そうだ!」良い型なのでキープすることに決めました。

美味そうなので、絶対獲るぞ!と、さらに慎重になります。もう完全にラインが伸びきっているはずなので、魚のちょっとした突込みや首振りでブレイクしないように、いなします。いなして、いなしてようやく浜にずり上げました。

まあまあデカい!そりゃ引くはずだ。久々に10分近くファイトしたので、指が若干プルプルしました。メジャーで測ると94pでした(あ、前回から、以前失くしたと思っていたメジャーを見つけたので、一応メジャーも置くことにしました。手尺だといい加減ですからね)。






いやあ、今シーズンで一番太ったブリです。さすがカタクチ食い込むと太りますね。重さは7.9s。それでも8キロもいってないのか・・・10キロの丸々太った奴釣りたいな〜。クラッチヒッターのフックは案の定グネグネになっていましたが、ドラグゆるゆる作戦が功を奏したのか、フックアウトは免れました。


今回、約1時間半の釣行でブリを4本も固め釣りができたのは初めてだったので、いい経験ができました。また、ナブラ撃ちについても、如何にしっかり我慢し、魚が射程圏内に入るのを狙い撃つべし、ということも再確認させてくれました。

今シーズン、まだチャンスは続くと思うので、次同じような状況に巡り合えたら、もっと効率よく釣ってみたいものです。


● 使用タックル

ロッド サーフェッサー98
リール ツインパワーXD C5000 XG
ライン ナイロン12lb+リーダーフロロ8号
ルアー スティッキークラッチヒッターSD、 サラナ95F・ゴーストマーブルスーパーウルム・ブルーピンクメタルフォーカス40g



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