古谷 英一

スミスフィールドスタッフ



《 『トップチヌ』梅雨の増水パターンでのピンスポット攻略 》


7月に入り、各地での豪雨により甚大なる被害が各地に出ております。今年の梅雨は異常です。被害にあわれた皆様には、心よりお見舞い申し上げます。
私の住む鹿児島では、それほど大きな被害はありませんでしたが、連日の激しい雨。ビクビクしながらの毎日でした。
それも少し落ち着いたのか?いや、雨が降れば短時間で一気に降るります。その一時間ほどの雨でも、河川は増水し泥濁りに・・・この繰り返しの毎日。

少し天気の落ち着いた仕事終わり、短時間ではありますがチェックに。本来であれば、増水パターンのシーバスですが、シーバスからの反応は少なく、チヌの反応に驚かされました。釣れる、釣れないは別にして。
そこで、トップチヌに切り替えるのですが、増水中の濁りがある中では、水面にはなかなか出てくれません。水温の低下、濁りによる視界の狭さ、強い流れでルアーのアピールが出来ないなど、トップには歩が悪いですね。
しかし、こんな時だからこそ、チヌがたまる場所もあります。
それが、流れの変化が出来る場所、日当たりのいいシャロー、水門などベイトが集まる、流されてくる場所などです。
ただし、こんなポイントでも、ごく限られたピンに着くチヌが多いのも、増水時の特徴です。その理由が、確実に集まる、もしくは流れてくるベイトの存在です。


私が今回、メインに選んだのが、水門周りです。その中でも、シャローのテラスがある場所。三面護岸で、底がしっかりとした広さがあるポイントに重点をおきました。
普段の水量であれば水門出口の深みに溜まるチヌを、シャローへ引き出してトップに食わせる釣りを行います。しかし増水では、水深のある深みからはなかなか出てきてくれません。さらに、早い流れが邪魔をして、トップでのアピールがとにかく難しくなります。広範囲に散らない状況では、トップで食わせるのは難しいのです。
今回選んだ三面護岸の広いテラスがある水門は、はっきり言ってピンにびっしりです。チヌにとって、よほどコンディションのいいスポットなのでしょう。底がコンクリートのため日が照れば暖かくなります。さらに、田畑の間を流れてくる用水路出口のため、ミミズや蛙などが流されてくるのも多いのです。好条件が揃い過ぎですね。
ただし、目に見えるチヌも多いのですがに、攻略が難しい事も加えておきます。
ピンに集まり、行動範囲の非常に狭いチヌ。さらに警戒心が非常に強く、1匹が不自然な動きをすれば、その場の全てのチヌへ伝染していきます。
一筋縄では攻略が難しいスポットと言えます。

今回のポイントを簡単に解説しておきます。
水門出口から5m×5mほどの広さのコンクリート底があり、そこの水深は水位にもよりますが、深くても30〜40cmほど。このテラスから一段下りると1m前後の深さ。流芯からは離れているので流れは緩やかです。
ただし、足場の高さが4mと高く、人影で逃げ出すチヌが多いので、警戒されない為にも出来る限り近付かずに狙います。狙うのは足元のテラス上、もしくはテラスの切れ目1m先まで。
こんな条件が、攻略を難しくしています。
キャストは、ルアーが流されないようショートキャスト。着水音で警戒させない距離で、流れを利用しつつピンへ送り込む事。
そして、そのピン周辺で、しっかりとアピールしつつ、しっかりとポーズを。これが確実な攻略法です。


こんなポイント、普段では効率が悪いので、軽く流す程度です。他のポイントを打っていく方が、確実に効率がいいからです。
しかし、増水してトップへの反応がほぼ得られない状況では、こんなスポットにしがみつくしかないのも現実です。
ピンを釣るので、1匹ヒットで一時はチヌも寄り付かなくなります。当然、失敗すればその後も時間を空けなければなりません。一発必中のスタイルで臨む必要があります。
そんな釣りには、ピンでしっかりとアピール出来るルアーが必要です。
今回、1匹目はなんとかチヌペンFW・MクリアーレッドのTラバチューンにてヒットさせましたが、その後は大きな動きには警戒して逃げる始末。
そこでしっかりとピンでアピールできる、トラウト用の『大美蝉』を投入。これが確実なバイト、そしてキャッチを実現してくれました。

セミをイミテートしたトラウト用のトッププラグの大美蝉ですが、ノイジー系のプラグです。ただ巻きするだけで、羽根が広がり、左右にジタバタ動き、しっかりとアピールしてくれます。
ただ、今回はピンに着く警戒心の強いチヌを狙います。巻くだけではチヌの気を引くより警戒心を強めてしまいます。そこで、ロッドティップで軽くシェイクし規則性を無くしつつ、大きめに水面を掻き回します。
こうする事で、コンパクトなアクションを可能にします。しかも、ボディサイズも小さいので、立ち姿勢の変化も少なく、違和感なく反応してくれます。
ただしスレが進行すれば、移動距離はとにかく短く、3〜4度の小さなアクションと、しっかりとしたポーズで誘う事が大切になります。


チヌに如何に警戒心を与えず、慎重なアピールと、確実な食わせを心掛けると、コンディションの悪い中でもしっかりと釣果を上げる事ができます。『大美蝉』は、そんなトップチヌには最適なルアーと言えますね。
ただし、純正フックは一発で潰れるので、ソルト用に交換をオススメします。ちなみに、私はフックサイズを10番にして、テイルのみに。こうする事で少しでもフッキング率を上げると共に、フックが伸びてバレない様にしています。



ちなみに、今回は1匹釣る毎に40分ほどポイントを休め、2〜3投で仕留めなければ再び休めるというスパンの釣りでした。しかし、全て40cmオーバーで、最後には53cmまで出ました。パターンを掴めば、確実な釣りにもなりますので、皆さんにも極めて頂きたいスタイルです。
今回のピンの釣りは、普段のサイトフィッシングでも必ず役立つと思います。見えチヌが、普通に狙っても見向きもしないって事が多々ありますが、そんな時に使ってみて下さい。
そんな見えチヌ、デカければデカいほど、攻略の難しい場所にいますので、そんな時の秘密兵器として、『大美蝉』はオススメです。





【タックル】

ロッド・・・ダンシングブリーム翔DB-SH72
リール・・・2004番
ライン・・・PE0.4号
リーダー・・・フロロカーボン12lb
ルアー・・・チヌペンFW大美蝉



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