冨安 隆徳

愛知県豊川市在住。ルアーで四季折々の魚を求め釣り歩く、アウトドアが大好きなサラリーマン。

主なターゲットは、九頭龍川の桜鱒、天竜川水系遠山川のアマゴ・イワナ等。


《 2019 遠州灘釣行記 その3 》


【鰆】

 魚偏に春と書いて鰆(サワラ)。春が旬と思われがちな鰆だが、秋から冬に旬を迎える美味しい魚である。遠州灘では少し前から若魚のサゴシが釣れ始め、今ではメーターオーバーの鰆までがサーフを回遊するようになった。小魚を追って接岸し水面に出ることも多い鰆は、釣り場でも比較的気配を感じやすい魚でもある。動きが速く小さな群れで行動することが多いため、喰わせられないとイライラすることもあるが、一旦ルアーを咥えるとその走りは凄まじく、一気にドラグを出されて沖に走られるなどファイトも楽しい魚である。
 この魚の魅力は引き味だけに留まらず食味でも釣人を魅了する。刺身はもちろんのこと、少し炙っていただくと香味も加わり大変な美味である。味噌に漬けても、煮付けてもいい万能魚で、今や私の中ではソルトシーズンのNo.1のターゲットになっている。
 今年の遠州灘は秋に入り小型の青物が好調であったのだが、サゴシや鰆はなかなか姿を見せてくれなかった。12月に入りようやく釣果情報だけは聞こえてきたが、狙って釣れるほどの数ではなかった。水温も未だに高く、ベイトがなかなか浜に入って来ないことが影響しているのだろうか?


【鰆情報】

 毎年12月になると渥美半島の先端地区のサーフでは、北西風が数日吹き続けた後にベイトがサーフに接岸する。この時シーバスや青物の大爆釣がしばしば起きるが、今年はその便りも届いていなかった。12月中旬に冬型の気圧配置が続き、ようやく先端地区のサーフにも良型の青物が回り始めた。その中にやっと鰆が混じるようになってきた。いよいよ本格的な回遊も近いと感じられたことから巨鰤狙いのトップゲームの潮待ちには、必ずサーフをチェックするのが日課となる日が続いた。ベイトや鳥山、地形を自分の目で確認し、現地の釣り人たちと情報交換しながら鰆の接岸を待ち続けた。
 その週末の日曜の午後、この努力が実り有力な情報が飛び込んできた。土曜の午後と今朝、サーフエリアにまとまった青物の釣果があり、メーターオーバーの鰆も混じったというのだ。潮回りは大潮で午後から上げ潮が効いてくる。土曜はこの上げ潮で入ったベイトを追って、鰤や鰆などの青物が接岸し、今朝も同様の情況になったようだ。そのため多くの釣り人が午後の上げ潮を待ってここで待機していたのだった。そこで私も巨鰤狙いのトップゲームからサーフの鰆ゲームに急遽変更し、浜を一望出来る高台に車を止め、魚の気配をうかがった。


【鰆ゲーム】

 今日の干潮は14時少し前。FMラジオと美味しい珈琲で午前中の疲れを癒しながら、これから始まる鰆ゲームのタックルをゆっくり準備した。
 ロッドはスミス ブローショットボロン サーフェッサー BSB-103SF。35gまで背負えるしなやかなロッドで、サーフエリアのプラッギングに使用しているロッドである。ルアーはドラゴンサラナとハルカ145のプラグをメインに考えた。鰆は歯が鋭く、切られやすいため小さなメタルジグはよほどの事が無い限り使わない。鰆はミノーに反応が良く、ボリュームのあるプラグはラインブレイクのリスクも低い。動きの速い鰆を追ってサーフを釣り歩くには、ライトなタックルが有利で、メーターオーバーの大型もサーフならばしっかり走らせれば獲れるだろうと考えた。
 午後15時になると少し日差しも弱まり、上げ潮も効き始めたことから浜に入った。水面は北西の風に押えられベタなぎ。ベイトが居なければシーバスには厳しい状況だが、青物狙いであれば全く問題ない。今のところ鳥やベイトの気配は感じられないが、東の大岩の前に潮目らしき筋が沖に伸びている。地形の変化なのだろうか?気になったのでこの日は東方面に向かって海面の変化を伺いながら浜を歩き始めた。
 穏やかな海とお日様の下での釣りは楽しいもので、フォローの風に乗って矢のように飛んでいくルアーの奇跡を追いながら、キャスティングをしばらく愉しんだ。反応のない時間は、サーディンランFなどのペンシルやアンダーバード1号等のポッパーで、サーフに於ける動きや動かし方を研究しながら活性が上がるのを待った。
 反応のない時間がしばらく続いたが、日が陰り始めた16時前に30m程先で鋭い動きの魚が突然姿を見せた。「鰆だ!間違いない!」あの鋭く俊敏な動きは鰆に違いない。早速ハルカ145Sのトウゴロウカラーで周囲を探るが反応が無い。沈黙の数分間の後、陽ざしが傾き始めた16時過ぎに再び同じあたりで鰆が水面から顔を出した。
 これまでハルカ145Sのタイトな動きで表層を広範囲に探ってきたが、反応がないため今度はドラゴンサラナで中層をチェックすることにした。


【ドラゴンサラナ】

 私のサーフエリアでの青物釣りでは無くてはならないプラグがドラゴンサラナである。飛距離が稼げ、向かい風にも強く、表層から中層、トゥイッチングからのリフト&フォールからスライドアクションまで、釣り人の思い通りのアクション、棚でバイトに誘い込むことができる。私にとっては青物狙いの最強のシンキングペンシルである。薄暗い状況になってきたのでパール系を使いたいところだが(リクエストします!(笑))、ラインナップに無いのでここではピンクスラッシュで様子を見ていった。
 フルキャストしたのち、少し沈めてからのジャークでスライドアクションを誘発させながら手前まで寄せ、最後は僅かなリフト&フォールで広範囲に中層を攻めていく。鰆はセレクティブで見切りも早いと感じているので、アクションには変化を加え、速めの動きで攻め始めて数分後、手前のブレイクから15m程沖の中層でいきなりひったくるような当たりとともに、鰆の早い走りに竿先をもっていかれそうになった。ドラグの動きが鈍いのでハンドドラグで確認すると、普段よりも強めのドラグ設定になっていたようだ。すぐに少し緩めの設定に戻し、鰆の走りを止めないように心がけてファイトを続けた。時折首を振るような動きを見せて抵抗するかと思うと、いきなり沖に一直線に走り出すなど楽しいファイトは何度掛けても楽しい魚である。トルクフルな鰤とは異なり、瞬発力とスピードのある走りを、しなやかなブローショットで受け止めながら寄せていく。他の釣り人からは距離をとっていたのでお祭りになる心配もないため、思う存分沖で走らせ弱ってきたところを波に合せて浜にずり上げランディング。
「やった!美味しいの キタ――(゚∀゚)――!!」
 まさにそんな気分であった。大きさは75cmでトロサワラと呼ぶには小ぶりの鰆だが、今季の初物!炙りが食べられる嬉しさで頬が緩みっぱなしであった。
 日暮れ間近であったため手早く画像に納め,二尾目を狙ったが、その後全く反応はなく日没とともに納竿とした。一緒に浜に入った知り合いたちには全く反応がなかったようで、30名ほどいた釣り人は誰一人竿を曲げることができなかったようだ。そのため私が鰆を手にして車に戻る姿に驚いた様子であった。やはり今回も小さな群れでベイトを追って浜に入ってきたようだ。




【これからの遠州灘、伊良湖岬】

 いよいよ渥美半島のサーフエリアにメータークラスの鰆がまわり始め、いよいよ遠州灘・渥美半島のソルトシーズンはピークを向かえようとしている。本格的寒さはこれからのようなのでやはり2潮ほど遅れているようだ。海の中は晩秋といったところで今後水温や大型魚の接岸状況がどのように推移していくのか目が離せない。温度が下がれば遅れているシーバスの荒食いも始まり、メータ越えの鰆と10kgオーバーの鰤を交えた混成の群で浜に入ってくるかもしれない。そんな夢のような可能性を秘めた今季の遠州灘。まだまだ浜通いはやめられない。いつまでつづくのだろうか?


● マイタックル

◇ロッド スミス  ブローショットボロン サーフェッサー BSB103SF
ショアジガー SJS100/60 100/80
ブローショットロングキャリー BS-LC100
◇リール シマノ  ツインパワーSW 4000XG  6000HG
◇ルアー スミス  ドラゴンサラナ A-CUP 飛烏賊HF サーディンランSS・F
ハルカ 145F・S サラナ147MAX  ベイブル90HS ハイパーブレード
メタルフォーカス 28g 40g 60g
◇ライン ヨツアミ G-soul SUPER JIGMAN X4 1.2号 1.5号 2.0号
G-soul WX-8  1.2・1.5号
◇ショックリーダー バリバス ナイロン 40・30・35・40lb
◇スナップ     クロスロックスナップ ♯3



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