冨安 隆徳

愛知県豊川市在住。ルアーで四季折々の魚を求め釣り歩く、アウトドアが大好きなサラリーマン。

主なターゲットは、九頭龍川の桜鱒、天竜川水系遠山川のアマゴ・イワナ等。


《 2017 遠州灘釣行記 》


【蘇る狩猟本能】

 1年で最も興奮するソルトシーズンがやってきた。基本的にギャンブルはしない私だが、青物を追い求めるギャンブルのようなこの釣りが堪らなく好きなのだ。衝撃的な当たりと引きの強さ、水柱を上げて小魚を追い回すバイトシーンを見てしまうと、誰もがこの釣りの虜になってしまうであろう。これまで影を潜めていた狩猟本能が目覚め、寸暇を惜しんで海に立ちプラグを投げ続ける。そんな熱い季節の到来だ。
 今シーズンは10月中旬から始動したが、上向きかけた海の状況は2度の台風上陸でリセットされてしまった。これに高水温が重なったことから湾内のベイトの落ちも遅れ、伊良湖岬の青物は台風以降しばらくいい話を聞くことは無かった。


【新たなターゲット】

 厳しい伊良湖岬とは対照的に、渥美半島の中央部にサワラが回っているとの情報を入手した。数年前から遠州灘のサーフに姿を現したサワラ。長くソルトルアーを楽しんできたが、岸から釣れることなどこれまで聞いたことがなかった。オフショアの対象魚というイメージのあるこのサワラが波打ち際までベイトを追い、大きさもメータークラスがランディングされているようだ。どんなファイトなのか興味は尽きないが、なにより美味しい魚なので何とか獲りたい。昨年もサワラの情報が入ると巨鰤も後回しにして狙ったものだが、そう簡単には針に掛かってはくれなかった。先端地区の状況も芳しくないため、早速半島中央部にフィールドを移し、サワラ狙いのサーフの釣りにシフトした。


【好調の浜】

 このところ好調な半島中央部の浜。キス、ヒラメ、シーバス、青物狙いの釣り人が同じ浜で一緒に釣りをしていた。この日は上げ潮のタイミングから釣りをしようと昼過ぎに入ったのだが、もうすでに多くの釣り人が浜に立っている。やはり結果が出ている浜は活気が違っていた。早速準備をして波打ち際まで来るとその理由が理解できた。無数のベイトが水面近くに追い上げられて逃げ回っていたのだ。今日は満潮と夕まずめが重なる潮周りである。「チャンスだな。」ワクワクしながらポイントを求め、浜を歩き続けた。
 1km近く歩いただろうか?いよいよ大型の魚が姿を現したようだ。カタクチイワシらしき小魚が突き上げられ、水面がざわつき始めた。ただしベイトの数があまりにも多く、思いのほかルアーへの反応が良くない。まだ日が高いので直ぐには活性は上がらないだろう。そう判断し、ベイトと鳥の状況を把握しながら、より深い地形をもとめ浜を歩きながら夕マズメを待った。


【ハルカ145S】

 薄暗くなると、今一つであった魚の活性も徐々に上がり始めた。50cmほどのサゴシやシーバスに混じり、ワラサまでもが掛かりはじめ、いよいよプライムタイムを迎えようとしている。ただしこの人混みの中で大型魚を掛けたら大変なことになるだろう。トラブルは避けたかったので、ベイトと鳥の後を追って釣り人が少ない東の方向にさらに進んで行った。
 日も傾きいい時間になってきたところで、ハルカ145Sのトウゴロウカラーをキャストした。ベイトは15cmまでのマイワシ。シーバス狙いならばベイトに合わせて間違いなくサラナ125Fを最初に投げるだろう。しかし今日はサワラ狙いなのでそもそもボックスには入っていない。あの鋭い牙で噛まれたら50lbのリーダーもひとたまりもないので、少しでも大きなルアーを使いたい。さらに沖からベイトを追って入ってくる魚なので飛距離だせればさらによい。この条件から割出されたルアーが、ハルカ145Sだ。万一に備えフックサイズは同じでも2ランク軸を太くした強化仕様なので伸ばされることはない。ショックリーダーも50lbと太く、アクションよりも飛距離と耐久性重視のタックルで臨んでいた。

 いよいよ日が沈み、薄暗い中で鳥たちは慌しく餌を求めて飛び交い、ベストタイムを迎えた。活性の高い群れは鳥を従えさらに東に走り始め、私を含め数人が薄暗いサーフを東に走った。そして水面に激しくボイルが見られる場所でキャストを開始した。ボイルはあちこちで起きているのだが、すぐに魚からの反応は無かった。何度も何度も沸き立つ水面に向ってハルカを打ち込み、水中を漂うようにゆっくりと引いてくると、波打ち際から15mほどの至近距離で「ガツン」とルアーに激しい当たりがあった。バイト直後、沖に向かって一気に走る状況にシーバスではないことはすぐに解った。鰤なのか?サワラなのか?正体不明の魚は、少し強めに締め込んだツインパワーSW6000のドラグから、いとも簡単にラインを引き出していく。隣では同様に魚が掛かっており、いい群れが接岸したようだ。すぐに隣の釣り人と距離を取り、魚の引きに耐えながらフィニッシュのタイミングを待った。しばらく寄せては引き出されるやりとりを3回ほど行い、やっとのことで手前のブレイクまで寄せることができた。

 ここからは魚が弱るのを待って寄せ波のタイミングで一気に岸に寄せていく。ショアジガーSJS-100/60の粘りのあるバットパワーで一気に波を切って岸に摺り上げ、すぐに魚に駆け寄ると尾鰭の付け根を掴んで砂浜に放り投げた。「デカい!」魚の正体はやはりサワラだった。「獲った!嬉し―!」ここ数年出会いのチャンスをうかがっていたが、今日やっと手にすることができた。サイズを図ると86cm。鋭く尖った小さな頭に丸々と太った魚体。どっぷり日も暮れていたため思うような画像に残すことは叶わなかったが、記憶の中にしっかりと焼き付けた。厳しかった11月であったが、この魚に出会えたことでその苦労も報われた気がした。



【これから】

 今年は11月の中旬以降に大型の青物が遠州灘の表浜に入ってきたようだ。例年どおり東の静岡県側からその便りが届き、やっと遠州灘の西の終わりの表浜までやってきた。一方遠州灘よりも一回り大きめの魚が回遊する渥美半島の先端地、伊良湖岬は去年に比べ厳しい状況が続いている。水温が高く湾内の小魚がなかなか湾口まで落ちてこないようで、青物の群れは岸寄りの回遊ルートを回っていないようだ。
 ベイトはこれまではコノシロとカタクチイワシだったが、現在マイワシの群れが接岸している。マイワシの餌に対し、青物がどのような反応を示すのか今から楽しみだ。
 このレポートがアップされる頃には、表浜のシーバスは最盛期を迎えることだろう。気まぐれな青物はベイト次第だが、なんとか年末までは楽しめそうだ。巨大な青物をショアから獲る。その可能性がある限り、年内は睡眠時間を削って朝活を続けることになるだろう。


● マイタックル

◇ロッド スミス ショアジガー SJS100/60 SJS100/80
ブローショットロングキャリー BS-LC100
◇リール シマノ ツインパワーSW6000H 4000XG ステラ4000XG

◇ルアー スミス  ハルカ 145S/F サラナ125F 147MAX  ドラゴンサラナ
  サーディンランSS/F  マグナムサージャー 飛烏賊HF  A-CUP  ベイビーランブオー
  アンダーバード1号  ベイブル90HS ハイパーブレード  バスタージャーク120S
  メタルフォーカス 28g 40g 60g 80g 
◇ライン ヨツアミ G-soul SUPER JIGMAN X8 1.5号
 G-soul SUPER JIGMAN X4 1.2号
 G-soul WX-8 1.2号
◇ショックリーダー バリバス ナイロン 50/40/35lb
◇ランディングツール スミス スミスグリップ2700



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