冨安 隆徳

愛知県豊川市在住。ルアーで四季折々の魚を求め釣り歩く、アウトドアが大好きなサラリーマン。

主なターゲットは、九頭龍川の桜鱒、天竜川水系遠山川のアマゴ・イワナ等。


《 2016 遠州灘釣行記(その2) 》


■ 風とベイト

 私のメインのフィールドは愛知県内の浜名湖周辺から伊良湖岬にかけての遠州灘。東西に延びた南向きのサーフは、一部に岩礁帯があるもののほぼ遠浅。この浅瀬に回遊魚が差すにはベイトの接岸が欠かせない。冬型の気圧配置により北西の季節風が吹く頃になると、水位の低下とともにカタクチやコノシロなどのベイトが浜に入ってくる。北西の季節風は波を押え、この浅瀬に魚を招き入れ、回遊魚たちの活性を上げてくれる。ただしこの風も西向きのポイントでは厄介だ。高波で消波ブロックの釣りはリスクが高くなる。風と潮位から波を予測してポイントを割り出し、直近のベイト情報を絡めて明日の釣り場を予想する。風とベイト。この地域のサーフ攻略はこの要素が肝となる。


■ 青物の状況

 今シーズンの青物は、伊良湖岬周辺やオフショアの釣果から推測すると、数は昨年程多くないようだ。岸からは12kgまでが、オフショアでは16kgのモンスターまでが捕えられ、当たれば大きいのが今年の特徴のようだ。ショアはほぼ昨年同様10月中旬から釣れ始めたが、オフショアは一潮遅れていると考える船頭もいたようだ。
 一方サーフは、夏から好調のフラットに対し、青物やシーバスは少し遅れていた。11月の中旬になってもいい話を聞くことは少なく、どうやらこちらも伊良湖岬沖同様、一潮遅れているのかもしれない。


■ タックル&ギア

 サーフであれば青物だけでなくフラットからシーバスまでの魚が対象となる。青物がメインの私は少しライトなショアジガー60 SJS100/60を基本に、混雑した釣り場やブリ気配が濃厚な時はショアジガ−80 SJS100/80、そうでなければブローショットロングキャリー BS-LC100を使っている。
 ラインも大型に備え、PE1.5号を300m。これにナイロンのショックリーダー40LBを基本に、状況により1.2号に30LBのリーダーを結んだシマノツインパワーSW40000番で浜に入っている。
 ルアーは遠投の効くハルカ145をベースに、波や風の状況に合わせ130mm前後のペンシルやシンキングペンシル、メタルジグやバイブレーションまでを持ち込んでいる。


■ ポイント

 サーフは一潮ごとに形状が微妙に変化し、潮の当たり方や払い出しの位置がずれるため、こまめにポイントをチェックしながら、ベイトの寄り具合や鳥山を確認することが必要だ。とくに表浜とよばれる渥美半島のサーフは道路から容易にその形状がチェックできないため、そこにアクセスする地元の道路を確認しておく必要がある。11月の後半までは青物の接岸やシーバスの寄りも芳しくなかったためにこまめに足を運ぶことはなかったのだが、12月に入り散発的な釣果情報が入るようになってきたため、田原市内のサーフを中心にポイントのチェックを始めた。


■ 爆風を避けサーフへ

 伊良湖岬の先端部は、晩秋から冬にかけて北西の季節風が強くなる。魚達の活性を上げる風は程度如何で釣り人の活性を下げることもある。伊良湖水道から内湾部にかけてのエリアはこの風の影響で波をかぶって釣りができるような状況ではなかった。しかたなく風裏になる表浜のサーフエリアに向かう。入ったポイントは比較的水深の有るサーフ。ベイトの寄りもいいようで、釣果は出ているようだ。

 久しぶりにウエットからウェーダーに着替え、朝日が眩しくなり始めたサーフに入っていく。車を止めて東に向かって歩きだし、ワンドのようになった地形を探す。数日前からこのあたりのワンドにカタクチが入っているとの情報があり、期待とともに入ったのだが、この日、カタクチの姿は見られなかった。こんなことはいつものこと。2日と同じ状況が続かないのが近頃の浜。そこで狙いのワンドから再び東に進んでいった。


■ ベイトの気配

 しばらく歩いていると釣り人の竿が曲がった。なんだろうと眺めていると、20cmほどのコノシロ。岸から20mほどにコノシロの群れがいるようだ。大型魚に追われている様子も、フィッシュイーターの気配も無かった。確認のためにマグナムサージャーを沖にキャストし、ここからコノシロの群れのまわりや岸際のかけあがりをさぐっていく。沖目は当然ワラサ、鰤。コノシロの群れから岸際まではマゴチ、ヒラメ、シーバス狙いでルアーを通し始めた。

 コノシロは頻繁に当たるのだがお目当ての魚からの反応はなく、ベイトだけなのか?諦めかけたそのとき、回収寸前の浪打際で何かがあたった。激しいあたりではなかったために、コノシロの背掛けだろうと判断し、迷いもなく回収していく。すると岸に寄せようとすると急に激しく暴れ、竿先を持っていかれた。大型のボラなのか?全く疑うこともなく寄せに入るとその魚はいきなり手前でエラ洗いを始めた。正体はシーバスだった。

 流石にショアジガーでは引きを楽しむまでの魚では無かったが、久しぶりの魚の引き感じることができた。大きさは70cmを超える良型であったが、ブリ狙いの私にとってはこの魚も外道なのだ。嬉しいけれど素直に喜べない複雑な気持ちでこの浜を後にした。



■ 時合の難しさ

 この日の朝活終了後、事務所に戻ると情報が入っていた。先ほど釣りをしていたサーフで、青物がボイルしたようだった。コノシロが追われ、シーバスも喰ったとのこと。少し時合が遅かったようで、やはり奴らは回ってきたようだ。またもここで時合の難しさを感じさせられた。

 その後も大型の魚達とはことごとくタイミングやポイントが合わず、しばらく悶々とした日々を送ることとなった。特に12月に入り冬型の気圧配置が強まる日が多くなると、お目当ての鰤ポイントに立てる日が限られた。10月中旬から11月にかけて大きな潮の満潮前後に良い群れが回遊してきてくれたが、ここに来て岸際を回遊する魚達の群れが少し沖に離れてしまった気がしていた。そろそろ南向きの表浜と呼ばれるサーフへの回遊もあり、伊良湖岬先端部からサーフエリアにシフトする時期が来たようだ。そこで浜の情報を集め始めた12月の中旬、浜に面した港周辺が非常に熱いとの情報を得て、週末早速に出掛けることにした。


■ 早朝の港

 早朝の港は、凄まじい数の鳥とカタクチイワシやアジなどのベイトで溢れていた。多くの釣り人が日の出前からポイントに入っていた。私は日の出とともにポイントに入ったが、時合は既に終わっていた。大型魚に追われた小魚は、港から離れてしまっていたのだ。大型魚の正体は60〜70cmのシーバス。残念ながら青物の姿は見られなかった。しばらく水面を眺め、ナブラや潮目、鳥山を探したが気配が感じられなかったため、夕方の上げ潮の時間帯に出直すことにした。


■ 夕方の満ち込みを狙って

 夕方ポイントに入った。賑やかだった早朝とは違い、夕方の港は人影もまばらで少し拍子抜けした。幸い先端部の一番潮通しのいいポイントに入れたので、ここで青物やベイトの回遊を待った。しばらくキャスティングを続けていると、対岸の堤防の先端が少し慌ただしい動きを見せ始めた。港からの流れが先端部のテトラの沖で潮目を作り、その先で海鳥が飛び交っていた。生き餌を背掛けにして潮に任せて沖に流し、大型の魚を狙っているのだろう。しばらくするとその釣り人の竿が曲がり何かを掛けたようだった。50cm程だろう。魚種は判らなかったが、その後立て続けに魚が掛り、対岸の魚の気配は濃厚だった。

 一方私の立っている西堤防は流れも緩く潮目も遠かった。当然餌の気配も無く、遥かに見える潮目に向かってフルキャストでマグナムサージャーやトップを投げ続けた。上げ潮を期待したのだが港からの流れは止まることなく、満潮が近づいても上げるどころか下げ潮が止まる気配さえなかった。恐らく太平洋の干満のタイミングとこの港とはズレがあるのだろう。こんなことも初めてのポイントだから仕方がない。上潮は下っているが、底潮は上げていることもある。そう思いながらキャストを続けた。


■ 夕マズメ

 日が陰り始めるとマズメ狙いの釣り人がやってきた。その誰もが9cm前後のミノーを結んだシーバス用のタックル。おそらく最近青物の回遊はないのだろう。そこで大型青物狙いの15cmクラスから少しハードルを下げ、サーディンランやマグナムサージャー、ベイブルHDなど大型のシーバスを視野に入れたルアーローテーションにシフトしていった。するとほどなくして隣の釣り人が魚を掛けた。中型のシーバスで流れの中からでなく、消波ブロックの足元で掛けたようだった。ベイトの気配は感じられなかったが、テトラに潜んで居た魚が夕マズメの時合で活性が上ったようだ。しかし敢えてルアーサイズを落としたり、テトラ際の魚を狙うこともしなかった。あくまでも狙いは大型青物または大型シーバス。

 引き続きサーディンランSSを水面直下で泳がせた。キャスト後少し沈めたのちに、ジャークしながら水面に浮かせ、その後静かに沈めるリフト&フォールを繰り返しバイトを待った。暫く誘い続けているとフォールの途中で何か違和感を感じた。すぐに合わせを入れたが魚は直ぐに走ることはなかった。狙いの青物ではない。そうなればマダカであることは直ぐに分かった。すぐに水面に出て暴れる気配もなかったので、もしや良型なのか?

 そんなことを考えながら、慎重に消波ブロックをかわしながら慎重に寄せて水面に浮かせると、体高のあるまずまずの魚。サーディンランの腹のフックをしっかり咥えていたので外れる心配も無用だった。波のタイミングに合わせ足元まで寄せ、ランディングギアで取り込んだ。長さよりも体高があったのでこの時80cmは無いと思っていたが、その後計測すると82cmあった。近頃シーバスメインで釣りをすることは無かったのでこのサイズは久しぶりであった。外道ではあったが80cm超えはうれしかった。



■ 2016の遠州灘

 遠州灘の釣りもそろそろ終盤戦。好調なフラットに対し、シーバスは例年並みか少し悪かったのではないだろうか?私のメインのターゲットである青物は、昨年同様大型の鰤クラスの接岸があった。数は昨年ほどではなかったが、12kgクラスが姿を見せ、年々大きくなっていくような気がしている。私自身もなんとか1尾のショアブリを獲ることができたが、来シーズンこそは、トップで10kgオーバーを獲りたいと考えている。

 一方昨年からサーフに回り始めた1mクラスのサワラや、静岡県の遠州灘では1mを越えるオオニベなど、新たなターゲットの回遊が見られ、来シーズンの遠州灘がますます楽しみになってきた。


● マイタックル


◇ロッド スミス   ショアジガー SJS100/60 SJS100/80
ブローショットロングキャリー BS-LC100
◇リール シマノ   ツインパワーSW 4000XG 6000HG ステラ4000XG
◇ルアー スミス  サーディンランSS・F  マグナムサージャー  ドラゴンサラナ  飛烏賊HF F S  A-CUP  ベイビーランブオー  サラナ147MAX  ハルカ 145F・S  メタルフォーカス 28g 40g 60g 80g  ベイブル90HS  ハイパーブレード 
◇ランディングツール スミス スミスグリップ2700
◇ライン  ヨツアミ  G-soul SUPER JIGMAN X4 1.5 2号
G-soul WX-8 1.2・1.5号
◇リーダー フロロカーボン 1.5〜2号
◇ショックリーダー  ナイロン 30・35・40・50lb



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