猪原 亮

高知県在住。チーム・CATホッグチェイサーズ(海猫)、ショア馬鹿いけいけ2号団所属。

海でスズキ、イカ、青物、フカセ釣りを展開中。



《 今シーズン初磯での洗礼 》


何年ぶりのロックショアでのまともな獲物でしょうか。久しぶりの磯で洗礼を受けつつ、何とか一本獲った様子をレポいたします。


4月上旬

ほんとに久々のロックショアです。6年前までよく通っていたホームグラウンドの磯へ久々に降りることができました。これまでも年に1,2回は磯には行っていたのですが、その程度の回数で釣れてくれるほど甘いものでないことは、これまでの経験で分かっています。分かってはいるのですが、悔しい悔しいボウズ釣行を積み上げた数年でした。

この日は14年来、一緒にホームグラウンドの磯で釣りをしてきたお馴染みのMDさんと釣行しました。MDさんは地元でらっしゃるので、この数年もコンスタントにいい釣果を出し続けてらっしゃいます。今回は前情報をMDさんに頂きつつの釣行だったので、かなり期待をしていました。


朝5時、磯に降りると西から東への良い上り潮がつけています。この時、海上保安庁HPの「海洋速報・海流推測図」では、足摺沖の黒潮流軸は約25マイルの距離。経験的にギリギリ西から東への安定した上り潮が流れてくれる距離です。

釣りが成立しやすい安定した流れは20マイル以内がベストです。また離岸距離が30マイルを超えれば、一気に不安定になり、東から西への下り潮の頻度が多くなるため、なかなか魚からの反応を得ることが難しくなります。最近は種子島付近を流れる黒潮の流量が多くなったそうで、高知県沖の黒潮は以前に比べると離接岸が激しく、なかなか安定してくれません。

それを考えれば、この日はベストな状況とも言えるでしょう。早速釣り開始。ただ、MDさんの前情報では、釣れ出すのは6時半前後から。久々なので勘を取り戻すため、最初はルアーの動きや動かし方をチェックしながら肩を慣らします。


もうすぐゴールデンタイム突入だな、という6時20分ごろからこの時期この場所での必釣パターンである、サラナ125F(イワシレッドベリー)に替え、スローなただ引きで魚信を待ちます。

するとすぐに反応があります。サラナの後ろにモジリが見えました。魚のチェイスです。すぐその潮下側に打ち直すと、ギラン!とひったくりながらヒット!一気にドラグが走ります。魚が止まればすぐに反撃。ドラグを半回転締め込み、リフトアップに移ります。しかしこの時、竿に乗る魚の重みに比べて、なかなか魚の頭がこちらに向いた感覚が得られません。魚はたぶん80前後のサイズですが、ジリジリジリジリ止まりません。巻いた量より、出ていく糸の量が多くなってきます。

バイトの仕方がカウンター的だったので、おそらくリアフックが口に掛かり、フロントが頭か鰓下にでも掛かっているのでしょう。どうしよ?どうしよ?と考えながらファイトしているうちに、足元の棚に潜られラインブレイク・・・リーダーの途中から切られていました。もうあと50pリフト出来ていれば大丈夫だったのに・・・やってしまった。これがブランクでしょうか。悔しさと情けなさが入り混じります。


直後にMDさんのサラナにも反応がありましたが、それはバイトまで至らずでした。ラインシステムを作り直し、仕切り直しです。再びヒットルアーのサラナ125Fイワシレッドベリーを結びます。

すぐに次のチャンスがやってきました。キャストを始めて15分後、ゆっくりリーリングしていると、「コンッ」という喰いあげるようなバイトに反射的にアワセると、「ドバーン!」水しぶきが上がりました。こいつはデカいかも!

今度はドラグが止まりません。一気に100m近く走られました。止まったラインの先からは、大きなヘッドシェイクの振動が伝わってきます。しっかり口には掛かっているようです。反撃に移り、ぐいぐいとリフトアップしますが、今度は魚が大きいからか、セカンドランでまたしても20mほどラインを引き出されます。

竿で溜めて待つか、ショートピッチでポンピングし続けるか、また迷います。さっき迷ってやられたばかりなのに同じことをやっています。案の定、魚が根を見つけたようで、一段とギアが上がり、一走りされたのち、糸が岩に擦れる感触がありました。

またやってしまいました。今回もリーダーの魚一匹分くらいのところで切られています。判断ミスです。思い切りが足りなかった。12ポンドナイロンラインの強さを信頼して思いっきりリフトアップすべきでした。魚はおそらく楽に90pはあったでしょう。

冬のサーフ・ブリは多少掛かり所が悪くても、意外と楽に釣りあげられたのに・・・やはり磯は深さと障害物がありますから、サーフで楽にとれるサイズ、魚種であっても、磯だと難易度は一気に上がります。久々のロックショアで洗礼を受けました。こんなんじゃ、12ポンドで磯から10sオーバーのブリなんて、夢のまた夢です。さらなる修行が必要です。


時間がたつにつれ、徐々に水面でブリのボイルが頻発し始めました。明るくなってきて、ベイトが10p前後のカタクチであることがわかってきました。足元から湧き上がる潮の中を弱ったカタクチがヒラヒラと何匹も泳いで行きます。おそらく水中でブリの突進を受け、ひん死になっているのでしょう。水面近くをよたよたしているのを、ブリがボイルしているようです。

ここでMDさんが、サーディンランのピンクスラッシュを取り出しました。MDさんもスミス・ソルトルアーズのヘビーユーザーです。ここ数年は、この時期から夏までは、このサーディンランが良く活躍してくれているそうです。僕はそのままサラナを使用し、水面と水中で可能性を探ります。二人いると、ルアーのレンジを使い分けることで、その日のパターンを効率よくチェックできますね。

するとすぐにMDさんのサーディンランへバイト!MDさんは13ftロッドでの16ポンドクラスタックルなので、かなり強気で魚を止め、一気に勝負を掛けます。これです。ライトラインでも、ロックショアではこの思いきり加減が重要なのです。

あっさり上がったのは、ジャスト80のブリでした。いいな〜。やっぱりファイト勘の違いでしょうね。僕のはかなり鈍っています。



こで僕もサーディンランに替えます。ただMDさんのヒットカラーであるピンクスラッシュももちろん手持ちであるのですが、ここで同じ色を選択するのも面白くないので、あえて全く反対のカラーであるクリアートビを選択します。さて、これが吉と出るのか凶と出るのか。

次の反応は・・・またしてもMDさんでした!ピ、ピンクスラッシュ強し!いやMDさんの動かし方が上手いのか?同じボイルを通しても、僕のクリアートビにはいまいちアタックしてくれません。すぐ横でベイトを喰っているんですけどね。今回もあっさりMDさんが釣りあげたのは、先ほどと同サイズのブリでした。


ここでピンクスラッシュに替えるか?いや替えない!今日はとことんクリアートビを使ったれ!MDさんが釣れた魚を処理している間に、再びボイル発生!すぐに打ち込みます!

今度こそ魚がちゃんと見つけてくれるように、ゆっくり、しかし大きくサーディンランを潜らせ、ストップを織り交ぜながら通していくと、ブリがしっかり見つけてくれたのか、数匹で2,3度アタックしてきた後に、水面下でバイトした感触が伝わってきました!

今度は負けない!最初はすこし走られましたが、すぐにドラグを絞って一気に勝負を掛けます。ギリギリ!っとドラグが出ても、弱気にならずすぐにショートピッチポンピング!サーフェッサー98がブチ曲がります!けど強靭なバットでグイッと魚を引き寄せてくれます。この感覚でした。なんとか釣り上げたのは、先ほどMDさんが釣ったのと同サイズのブリでした。


久々の獲物です。こんなに苦労するとは思わなかった。修行し直しです。こんなんじゃ今後アカメの日本記録狙いを復活するにもちょっと不安です。


これから7月いっぱいまで、産卵前、産卵後のブリが磯をにぎわかせてくれるでしょう。5月中と6月前半はどうしても産卵直後で痩せたブリしか釣れないかもしれませんが、6月後半から7月にかけては、徐々に回復し今度は卵を持たない筋肉満点のブリが釣れてきます。これからが楽しみであり、そして修行です。


P.S.

4月下旬にもリベンジを兼ねて午前中だけの釣りを敢行しましたが、足摺沖の黒潮が35マイル以上離れており、なかなか安定した潮が流れずに玉砕しました。釣れたのはこの小っちゃいアカハタだけ。

5月半ば現在、黒潮はかなり離岸状態です。ただ6月になれば徐々に接岸してきそうな雰囲気もあるので、それからを期待したいところです。



● 使用タックル

ロッド サーフェッサー98
リール ツインパワー5000PG
ライン 12ポンドクラスナイロン+リーダーフロロ8号
ルアー サラナ125Fサーディンラン



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