古谷 英一

スミスフィールドスタッフ



《 南薩河川のボトムチヌゲーム 》


鹿児島も、今年は早々と梅雨入りはしたものの、梅雨入りしてから雨は2日のみ。その分、暑い日が続く。釣りに行く事を考えれば、晴れている方がいいのだが、魚にとっては過酷な夏へ足早にシーズンが進んでしまっている状況。
その為か、流れが弱く水質が凄くクリア。おまけにベイトが少ないという・・・。このまま夏になっていけば、水質は悪化していき、さらに生息困難なフィールドが多くなって行きそうな雰囲気。
しかし、そんな中でも夏に良くなるのがチヌ。こちらでは河川内やサーフなどがメインフィールドとなるが、梅雨入り前から例年であればシーズンインし、日々爆釣となる。今回は、このチニングをご紹介してみたい。


今シーズン、初のチニング調査。まぁ、どのくらい魚が入っているのか?地形の変化は去年と変わっていないのか?そして、スミスのアイテムを試す事が目的。しっかりと最初に調査しておくと、今シーズンの釣りに非常に役立つから。と言っても、ナイトゲームなんですが(笑)
私の場合、チニングの基本スタイルはデイゲームではトップチヌ、ナイトゲームでボトムチヌとなる。もちろん、デイでのボトムチヌもやるが、メインはナイト。やはり、より面白く効率のいい釣りがしたい気持ちがあるので。
例年であれば、5月頃からトップへ好反応を示し、それと同時にボトムでの釣りも成立させやすい。本当であれば、稚アユに着くチヌや、バチ抜けに着くチヌも多いが、楽しく専門に狙えるのは、やはり5月頃。
そして、このゲームは晩秋まで続く。特にボトムチヌは水温が下がってきても安定の釣果が出せるのも特徴。キャスト範囲にチヌが居さえすればOKとも言える。


さて、今シーズンの初チニング。当日は生憎の夕方から雨。しかも、徐々に強くなっていく予報。ボトムチヌには、強い流れがとにかく天敵。ボトムをきっちり探れなくなるし、ボトムへステイさせる事が難しくなるから。よって、増水しだせば釣りにならなくなる。 開始はパラパラと、少し雨が嫌な感じの降り方。濁りはさほどなく、流れも普段と変わらない程度。コンディションとしてはまずまず。
そして、数投目にバイト!チヌ独特の金属的な激しいバイトが!しかし、食いが浅く単発のバイトで終わる。活性が高ければ、ワームを咥えて持って行く事が多いが、この日はカッカカンッ!とワンバイトのみ。持って行く事も少なければ、バイト後の追い食いもない。それなりに数投毎にバイトはあるが、苦戦を強いられる。


今回のボトムチヌに使用するルアーは、ボトムチヌ専用のワーム『黒鯛大将』と『アマジャコ』。これを『ARリグ』にセットして使う。普通のジグヘッドとは違い、ジグヘッドにソフトリップが付いた独特のARリグが、より強いアピールを可能にしつつ、根掛かりを回避してもくれる。
これは使ってみて初めてわかるが、リップがある分、スイミング時の適度な抵抗(水を噛んで泳いでる感)がはっきりとしており、障害物にヘッドが当たった時の振動に大きな違いが現れる。ボトムマテリアルの違いも手に取る様に判断がつくのだ。それと共に、フォール時のナチュラルな振動〜着底の振動も明確で、自分が今どうルアーを操作しているかが非常に把握しやすい。これは、ボトム専門に攻める為には、大きなアドバンテージとなる。
ソフトリップから生まれる水中の振動もアピールになり、手に取るようにルアーの存在、動きがわかる事はゲームの組み立てから攻め、食わせなど有利に進める事が可能に。

今回、この組み合わせで攻めるが、イメージとしては、ボトム付近をアピールさせつつリトリーブし、フォールで食わせたり、ボトムステイで食わせる。もしくは、少し大きめにリフトさせ、その後はテンションを掛けつつカーブフォール、そしてボトムでステイというリフト&フォールで攻める。この場合、チヌの反応によってリフトのピッチやスパンを調整し、その日のコンディションに対応。
どちらも一緒なのだが、動と静のメリハリをしっかりと付ける事で、より食性を刺激するのが目的。これは、ボトムの釣り以外でも同様の事が言えたりするが、しっかりとメリハリを付けた方が安定した反応が得られると、私は思う。


さて、釣果の方は・・・食いの悪いショートバイトが続く中、徐々に雨は激しくなる。バイト数だけは相変わらずなのだが、思うように食わせられない状況に・・・。そう、雨による増水が気付かないうちに始まっており、ルアーがどんどん流される状況へ変わっていく。
最初の30分は気を使わずにもバイトを得られていたが、それ以降はボトムへステイが出来ないほど。アップクロスにキャストしても、すぐに下流へ流される。早いピッチでリフト&フォール、ショートリフトでなるべく流されないようにしつつ、ステイも短めで次のリフトへ。流され過ぎれば反応は全くなくなるので、テンポよく探る事で、何とかバイトをさせる。
これで、何とか数枚のチヌをキャッチ。45cmの本チヌが最大でしたが、今シーズン初、悪コンディションの中であれば、まずまずとしておきましょう。




これから夏になっていけば、甲殻類も増えていくので、よりボトムチヌは楽しくなっていきます。是非とも皆さんも挑戦してみて下さい。はまれば爆釣も多々あるし、何が楽しいって、バイトからフッキングまでのチヌとの駆け引きが、私はたまらなく好きなんですが、チヌの奥深さをぜひ味わって頂きたいですね。


【使用タックル】

ロッド・・・スピニングバスロッド5.10ft-UL
リール・・・2004番
ライン・・・PE0.6号
リーダー・・・フロロカーボン2〜3号
ルアー・・・黒鯛大将アマジャコ
ジグヘッド・・・AR-リグ3g、5.5g、7g



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