後藤 芳久

オフショア(GT、ジギング)、フレッシュウォーター(湖、サクラマス、渓流)と何でも挑戦し続けるマルチプレイヤー。そのチャレンジフィールドは国内に留まらず海外遠征にも及ぶ。
医薬品配送ドライバー。


《 シーカヤックフィッシング23(シーカヤックからのティップランエギング) 》


 10月にパドリストシリーズのニューモデルPSQ-TR72Mが発売になった。このロッドは開発担当の秋山氏が2年以上の歳月をかけてやっと世に出してきた自信作。青物やマダイが好調!!なんて言う情報に後ろ髪引かれながらも、ただひたすらにアオリイカを釣り続けシーカヤックからのティップランエギングに求められる要素をとことん追求してきたロッドだ。

 このロッドは今までの他のメーカーのティップランロッドとは違いキャスト性能にも重点をおいている。シーカヤックからのティップランエギングを長くやっていれば必ず遭遇するべた凪で潮も流れない池状態。こんなシーカヤックでプカプカするには最高の条件がこのティップランエギングには仇になってしまう。こんな状況でもキャスト→底をとったらしゃくりあげ→ステイ時にロッドをさびく、と言うテクニックで次々にアオリを釣っていく秋山氏のスタイルを見せつけられたのは一昨年の事だ。


 10月も半ばに入りアオリイカも順調に育ってきていることだろう。遊漁船の情報では今年もアオリイカは絶好調なようだ。このパドリスト、ティップランモデルPSQ-TR72Mを1本だけシーカヤックに積んでシーカヤックアングラーの間ではメジャーポイントの通称「ナハマ」から出艇する。

 現地に到着したのはやや遅めの午前6時。ティップランエギングでは早朝、夕方よりも昼間の方が釣果は良いような気がする、と言うのは言い訳で目覚まし時計を止めて二度寝してしまった結果。
 現地の常連シーカヤックアングラーからの情報では前日からイナダの群れが入ってきたらしい。なるほど沖では頻繁に鳥山が出ていてその下ではガバッ、バシャと派手に飛沫が上がっている。アオリイカを狙うにはあまり好ましい状況ではないが青物のナブラも1日中出ている訳ではないのでさほど悲観することはない、と思うようにしている。


 7時すぎに出艇。頻繁にガバガバやっているエリアとは逆の方向に漕ぎ出していく。

 水色は前日の台風からのウネリの影響かやや濁り。最初に水深5〜7メートルでの普通のエギを使ったキャスティングによるエギングから開始。活性の高いイカが居ればすぐに乗ってきそうな感じだが15分ほどやってみても反応は無い。イナダがシャローでイワシを追い回している影響か・・・

出発だ 今日は沢山 釣れるかな?


 キャスティングのエギングに見切りをつけてティップランエギングのポイントに移動。水深13メートルの鉄板ポイントで3回ほど流すが無反応。すぐ隣の水深15メートルの小さな根周りも反応なし。

 そのまま風下に流されながら広範囲に探っていくとやっとティップが「プン」と戻るアタリ。しかし乗らない。でもこの時期はすぐに落としてしゃくり、ステイさせればまたアタリが出ることがほとんどなのでチャンスとばかりに気合いを入れて再度しゃくり直し、じっと待つが無反応。あれ?おかしいな、頂きパターンなのに・・・


一杯目 朝日に透ける アオリイカ
 この状態が他のポイントでも何度か続きアオリイカは居るが元気が無いのか、潮流のせいなのか、イナダのせいなのか、自分が下手なのか良くわからないままに流していくと、しゃくってアタリが出て乗らず→すぐに落とすとエギが落ちていかない→合わせると「ズシッ」とヒット!

 このパターンで連続ヒット。どれも300〜500グラムサイズのこの時期のアベレージサイズ。食べるなら一番美味しいサイズだね。


2杯目は 食べごろサイズの 300グラム

3杯目は サイズアップの オスアオリ


触腕で 乗ってくるのが ティップラン

ポツポツと キロクラスも 釣れてくる


 10時までに7ハイほどこのパターンで釣った所で風も潮流も完全に止まってしまいべた凪になってしまった。前述した通りにこの全然流れない状態はティップランエギングには良い状況ではない。

 こんな時の自分の釣り方は風や潮流が速い時には狙いづらい深いポイントを攻めると言うもの。ちょい投げしてエギを落としほぼバーチカルにしゃくる。そしてステイさせると時にはティップが戻るを通り越してラインスラッグが出るほどにハッキリとしたアタリが出ることもあるくらいだ。

べた凪だ ティップランには ちとキツイ



デカい目で 見つめられると 〆にくい
 水深30メートル前後のポイントに移動。ボトムには良い感じの反応が出ている。根の真上にシーカヤックを止めて5〜10メートルちょい投げ、根の際に落としてしゃくりあげ、根の上5〜6メートル付近でステイさせるイメージ。このパターンでアタリが頻繁に出るようになる。深場の方がサイズも良くてアベレージ600グラム、キロ近いサイズも混じってきた。

 やがてちょっと風が出て艇が流れるようになるとさらに入れ乗りになった。ボトムをとってしゃくり上げ、ステイさせて間髪いれずにアタリが出る場合は数匹のアオリイカがエギを取り合っているような気がする。漕ぎ戻り落とすとエギがボトムに着く前にヒット、そしてまた同じポイントに戻りしゃくってステイさせるとラインスラッグが出るほどの戻りアタリでヒット!めっちゃ忙しい!


真昼間 それでも釣れる ティップラン

800グラム この大きさだと 良く引くね


 しばしその周辺のポイントで数を稼いでいるうちに、だんだんと南風が強くなってきた。この風でこの水深はちょっとキツイので水深20メートル以浅へと移動。

 日はかなり西に傾いてきてこれからが爆釣タイムに入るかなと期待十分であったがしばらくアタリのない時間が続く。やっとのことでアタリを取ってズシッと乗った良い型のアオリが今日最後のアオリイカとなる。

夕焼けに 染まるアオリは 25杯目


 ティップランエギングはとてもシーカヤック向きの釣りである。ポイントは近いし凪でも風があっても釣りをすることが出来る。遊漁船ではある程度の大きな根、広いポイントに乗せないとお客さんみんなに釣ってもらうことが出来ないが、エンジンプレッシャーの無いシーカヤックなら浅場のほんの小さな根、沈み岩で数匹のアオリイカを釣る事が出来る。そんな小さなポイントをランガンすればティップラン遊漁船の釣果を超えてしまうことだって多々あるのだ。

 今年はまだ堤防や地磯からアオリイカが釣れているが、ショアから釣れなくなってからがティップランエギングの本格的なシーズン。昨年もアタリ年と言われていたが今年は昨年以上の釣れ具合である。始めるには最高のタイミングではないだろうか?


● 使用タックル

ロッド PSQ-TR72M
リール シマノ2500番ハイギア
ライン PE0.6号+リーダーフロロ2.5号
ルアー エギ3.0号+ナス錘2〜3号、ティップラン用エギ3.5号



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