自分が蝉になる

6月に入ると山上湖では蝉が鳴き始めます。一般の人からすると蝉は夏の風物詩ですが、アングラーはちょっと違います。春蝉を模した蝉ルアーを使うトップウォーターゲームの始まりです。中禅寺湖ではこのゲームは大変な人気で、この時期大勢のアングラーが湖畔に立って蝉ルアーを投げています。 スミスでは従来からこのゲームのためのルアー〈美蝉(ビセン)〉がありますが、一回り大きいサイズの〈大美蝉(ダイビセン)〉も登場しました。従来の美蝉では届かなかったポイントを攻略するために微細にサイズアップしたモデルです。

取材日の中禅寺湖は朝から冷え込んでしまい、蝉は鳴かず、蝉ゲームは成立しませんでした。翌日我々は場所を変え、丸沼に隣接する大尻沼へと向かうことに。ボートからの蝉ゲームにトライします。 丸沼、大尻沼を管理しているのは『丸沼温泉 環湖荘』。ここの大浴場には大きな水槽が設置されていて、マスが泳ぐ姿を見ながら入浴ができるのです。トラウトへの愛が深い旅館ですよね。責任者の宇津さん(彼もアングラーです)に撮影取材許可を頂き、ボートをお借りしました。

この日のアングラーはスミス玉越・礒野の両名。〈イル・フロッソ〉開発担当者です。ロッドは〈TILF-67〉と〈TILF-72〉。ラインはPE0.4号+フロロ8lbのリーダーを60cmほど付けています。 トップウォーターゲームなのになぜ比重の重いフロロを?
ナイロンラインだと乱反射してラインが目立ってしまうのですが、フロロだとそれが無いのだとか。水馴染みが良いのです。実際に水中から美蝉を撮影してみると、確かにフロロのリーダーは水に馴染んで見えなくなっています。

美蝉

霧がだんだんと晴れてきて湖面が見渡せるようになると、水面でもがく本物の春蝉を見つけました。 蝉ゲームにハマっているアングラーと話をすると、必ずと言っていいほど「本物の蝉を見つけたら動きをじっくり観察しちゃうよね」という話が出ます。いい大人が「ジ、ジジジジ、ジ」などと春蝉になりきろうとするんです。釣り人以外から見たらどう思われるのでしょう…。

美蝉

蝉ルアーに微振動を与えて本物の動きを演出するわけですが、ルアーによって、ロッドによって、再現性が変わってきます。スミスの〈美蝉〉はタイトなノイジーアクションが持ち味で、大きな波紋を作るのではなく、移動距離を抑えて細かな波紋を作り出せるのが得意です。繊細なティップを持つ〈イル・フロッソTILF-67とTILF-72〉は、グリップを揺するだけで微波動が演出できる、蝉ゲームに最適なロッドです。実際にどうアクションさせるのか、隣の丸沼をお借りして実演してみました。

霧が晴れてから蝉が一斉に鳴き始めました。ここからは〈美蝉〉〈大美蝉〉がいい仕事をしてくれました。大尻沼には小魚がほとんどいないため、ここのトラウトたちは普段からインセクト系のエサを捕食しています。〈ARスピナー〉や〈ドロップダイヤ〉にも魚は出てくれましたが、やっぱりエキサイティングなのはトップウォーターの釣り。〈美蝉〉〈大美蝉〉が大活躍です。

ここのレインボートラウトはほとんどが良型です。塩焼きサイズ、食べごろサイズはほとんど見られず、45cm、50cm以上の魚が元気よく〈美蝉〉〈大美蝉〉に飛び出してきます。オーバーハングの一番奥に潜んでいるものもいれば、張り出している木陰と太陽光の射すちょうど際あたりで蝉が落ちてくるのを待つものもいます。沖目でもボートの真横でも頻繁にライズするのでついつい翻弄されてしまいます。日の射し方や風向きなど、何かしらの条件で動き回っているでしょう。この日一番の魚はオーバーハングの奥でバイトしてきました。

蝉ルアーのゲームは蝉が出る時期限定と思われるかも知れませんが、トラウトが水面を意識している 時ならいつでも楽しめます。イル・フロッソTILF-67、TILF-72なら、このゲームの楽しさを 存分に満喫していただけるはずです。
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遊漁期間と料金は 「丸沼温泉 環湖荘」大尻沼ルールへ