■デンデンムシ・リトリーブ

はじめに、去る5月12日(水)、
常陸川水門への魚道設置要望書並びに署名24,696名分を
関係各位へ無事に提出することができましたことを、
心より御礼申し上げます。

二万五千余の署名は、
4月21日に国土交通省霞ヶ浦河川事務所に提出後、
連休の開けた5月12日に茨城県企画部に提出しました。
昨年の10月に始まった常陸川水門への魚道要望署名でしたが、
(株)スミスをはじめとして、釣り関係各位のご支援を戴き、
無事に完了することができました。

思えば、Basser All Star Classicの開催日に、
ウェイイン会場と土浦駅前で、
W.B.S.のプロメンバーやスタッフの有志たちが、
署名活動したのが始まりでした。
あれから七ヶ月が経ったのですね。

2004年の国際釣り博では、
(財)日本釣振興会や(社)日本釣用品工業会のお力添えで、
会場入り口やご支援くださったブースの前で、
署名活動することができました。
今回、沢山の署名が集まったのは、
ご支援くださった皆さん一人一人のお陰です。
ありがとうございました。

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そう、無事に魚道要望署名を提出し終えたので、
やっと思いっきり釣りができる。
ここ数ヶ月、釣りはしていたのだけれど、どうも今ひとつだった。
けれど、これで思いっきり釣りができる。
産卵前のブリブリブリリンなバスと対峙することはできなかったが、
産卵が終了したやる気のあるバスと勝負ができる。
このチャンスを、逃してなるものかぁー!

朝、勇んで駐艇場に向かった。
昨晩から降り続いた雨は上がっていたが、
空は今にも泣き出しそうだった。
釣れる予感があちこちから立ち上るので、気は急くのだが、
久しぶりのボート出しなので、準備にモタついてしまった。
で、何気なく足元を見ると、大きなデンデンムシが這っていた。

ノロノロノソノソズルズルと言った感じの
文字通り這うように地面を進む。
窪んだところは身体を仰け反らせ、
出っ張ったところでは身体を前屈させて、 這う場所の形に沿って、ノロノロノソノソズルズルと進む。
あまりのゆっくりに、しばらくデンデンムシをのぞき込む。

目玉か触覚か判らないけれど、
左右に動かしたり、伸ばしたり縮めたりして、
何かを確認しながら進んでいる。
こいつ等、目は見えているのか?
それとも見えていないのか?
見えるけれど朧気なのか?
それともオレがメガネを使用したときのように、
シャキッと見えるのか?

ジイーッとデンデンムシを見ていると、
スピードが一定でないことに気付いた。
スゥーイスゥースゥーと言う少し早めの時があれば、
ズズズズズッと重いものを背負ったようなゆっくりの時もある。
その速さは何によって決めているだろうか?
デンデンムシの考えることは、まったく判らん!



しかし、閃いたことがあった。
ピカピカピカピカーッときた。稲妻のような明るさだ。
閃きのあとはお尻がムズムズし始めた。
居ても立ってもいられなくなった。
デンデンムシを見ている場合ではない! 
そうだ、バス釣りに行こう。
今日の釣りの大きなヒントが見つかったからだ。

今日のバス釣りには、
デンデンムシ・リトリーブを多用してみよう。
バスの多くがデンデンムシと遭遇したり、
食べたりの経験はないのだろうけれど、
人間が好んで喰うエスカルゴだって、デンデンムシだぜいっ。
ならばバスにこの方法を使ってもいいんじゃないかい?
それに、木や葉っぱを移動している最中に、
猿が木から落ちたり、弘法が筆を誤たりするのと同じで、
デンデンムシが水中に没することもあろうことなので、
バスがデンデンムシを過去に一回も食っていない、
でんでん食ったことがない、
皆無ということは言い切れないしねっ!
と言うことは、もしやもしや、
秘技「デンデンムシ・リトリーブ」が、
この時期のバスに奏功するかも知れんぞっ。

と言う勝手な解釈をして、
僕はラインの先に紅龍(ホンロン)を結んだ。
今日のルアーはこれ一つである。

仕度にもたついて午前9時30分と言う遅い出船になってしまった。
が、どんよりとした天気なので、それほど気にはならない。
ゆっくりとボートを桜川に進める。
濁りは残っているものの前回の雨後よりもいい感じ。
桜川の水位が上がっているので、ブッシュの奥は狙い難い。
それでも隙間を見つけるとビシッとホンロンをキャストする。
で、トロトロトロ〜、スリスリスリ〜と言った感じの
ゆっくりリトリーブを繰り返す。
デンデンムシのようなデンデンムシ・リトリーブだよ。

一時間経ってもバスからの反応はない。
二時間経ってもバスからの反応はない。
やっぱりデンデンムシ・リトリーブは駄目なんか???
と思い始めた三時間目、水位上昇で水に浸っている野バラと、
岸際のアシの狭間にある杭の所で、
デンデンムシ・リトリーブにギラリッときた。
同時に手元にググーンときた。

待望のバスがヒットした。
信じて信じて信じ切っていたけれど、
でもほんの少し疑ったその時に、
心の中の疑心暗鬼を退治するかのような、
ギラリッとググーンの桃太郎がきたのだ。
それほど大きくはないけれど、自分の作戦が成功した嬉しさは、
何ものにも代えがたい喜びである。



だからバス釣りは止められない。
こんな楽しみを、まだ味わったことのない人は、
バスフィッシングに絶好なこのシーズンに、
是非とも味わってもらいたい。
自分で作戦を立てて、自分の作戦を信じて、
最後まで貫き通すことが出来れば、
きっと宝石のような価値あるバスに出会うことが出来るだろう。
桜川で待っているよ!

最後に僕からのお願い。
霞ヶ浦でバスアングラーが排除されたり、釣り場が閉鎖されたりなど、
霞ヶ浦のバスフィッシングの火を絶やさないように、
バスアングラーの一人一人がルールやマナーを守って、
楽しいバスフィッシングを味わって欲しい。
まずは、桜川をはじめとした流入河川でのスロー走行。
特に他の釣り人がいる場合は、引き波が極小のスロー走行です。
デンデンムシのようにね・・・。
また、「おはようございます」や「こんにちは」などの挨拶を
誰とでも交わすようにしよう。
バスフィッシングがもう一つ楽しくなること請け合いだ。