■やっと釣れたぜっ!

スミスの池島から送られてきた新型のルアーは、
リアルな形をしたスプーンビルミノー、リワインダー。
重心移動式なので、良く飛ぶ。
が、着水の時点で重心が後ろに行っているために、
ケツを下げてステイする。これが、オレは大嫌いだ。
何故かって言うと、泳ぎ出しが悪いからである。
重心移動でなければ、泳ぎ出しは軽快であるのだが、
重心移動は・・・ペケ。

もちろん、重心移動の利点もある。
重心が先に行くので、良く飛ぶのである。
ミノーのような細長いルアーは、
風の影響を受けやすく、バランスを崩しやすいので、
それが抵抗となって距離を稼げない。
が、重心移動を用いると、
これらの欠点を補うことができる。
しかし、ケツの下がったルアーは嫌いなのだ。

加えて、リワインダーSPはスローシンキングだ。
こいつは戴けない。
スローフローティングなら大好きなのだが、
スローシンキングときたら・・・。
このままお蔵入りか?
と思っていたが、やはりそこは契約選手であるから、
使わんといかんのよ。
で、土浦旧港で何度も試してみたが、
やっぱり気に入らない。だから、釣れない。
そんなテストを繰り返していたある日、
スミスの谷中がやってきた。

「谷中、なんでこれシンキングなんだ? 浮いた方が釣れるのに・・・」
と言うオレの質問に、
「幸二さん、簡単ですよ。後ろのフックを#8に変えれば、
スローフローティングになりますよ」
と返ってきて、その場ですぐに交換してくれた。
で、試した。
リワインダーを泳がせ、ストップさせると、
『ポワァ〜〜〜〜ン』と言う感じで、ゆっくりゆっくり浮いてくる。

水中で、ゆっくり浮かぶリワインダーにつられ、
オレの心の中にも“釣れる”気が浮かび上がってきた。
3月27日(火)、ボートの慣らし運転も兼ねて霞ヶ浦に出る。
ラインの先には、リワインダーのホットタイガーが装備されている。
もちろん、ケツのフックを#8に交換したスローフローティングだ。
ラインはザウルスブルート16lb、
このくらいの太さがないと霞ヶ浦のバスには安心できない。

エンジンの慣らし運転で、霞ヶ浦をぐるりと一周まわってから、
春の定番である浅場の岩盤を探った。
重心移動が功を奏して、リワインダーは思い通りの距離を飛んでくれた。
ロッドを軽くあおり、ルアーの姿勢を安定させてからリトリーブの開始。
水深が1〜1.5メートルほどなので、
リワインダーの長いリップはすぐにボトムにコンタクトした。

ここからが、スローフローティングなスプーンビルミノーの肝心要である。
ロッドティップをゆっくりとリフトさせ、
リワインダーをジャークさせする。
丁度、前方40度くらいから、
自分の鼻っ面90度まで立てる感じでリフトする。
リップが岩盤に触れて振動するがお構いなしにリフトする。
と、リワインダーはゆっくりと、だけどつんのめりながら、
水中の岩盤の上をはいずり回るのである。
何度目かのリフトに、重量感が加わった。
水中からフックを外そうともがく、命の躍動感が伝わってきた。

後ろのフックを変えたことによって、
オレの心の中に浮かび上がってきた“釣れる”気は、
本物であったのだ。


      春のプリプリがきた〜っ!