Smith BOTTOM KNOCK SWIMMERⅡ 
ボトムノックスイマーⅡの秘密 インタビュー

本山氏の取材をイメージCMにしました。

ボトムノックスイマーⅡの秘密 インタビュー

この夏発売になり、その驚くべき釣果を体験した人々から口コミが広がって、
2ヶ月ほどで初期ロットが完売してしまったルアー「ボトムノックスイマーⅡ。
このルアーの考案者でテスターを務めた本山博之氏に、
いったいどんなルアーなのか詳しいお話を聞きたいと申し出たところ、
「実釣できる場所でお話しましょう」という返事がきました。
指定されたのは2016年10月6日。場所は、栃木県那須塩原の箒川。

台風一過の箒川

箒川は塩原漁業協同組合さんが管理されている自然河川で、
ルアー・フライのキャッチ&リリース区間も設定されている
ゲームフィッシャーの中では有名なフィールド。
ルアー・フライにおいては3月の解禁から年明け1月まで釣りができます。

とは言え季節はもう秋・・・
シーズンも終わりかけてるから放流も無いし、釣れるのだろうか。
そんな不安を抱きながら現地へ向かうスタッフ。
台風が通過した翌日ということもあり、晴天ではあるけどかなりの強風。
山間の雲がすごい速さで通過しています。
我々の他に釣り人は見当たりません。
河原でのインタビューのためにと設置したテーブルが吹き飛び、
ここでのインタビューは断念しました。

ものすごい風で木々がざわめく

「まずは実釣しましょう。釣って見せます。」
ラインはPE0.6号、リーダーはフロロ4~5lbを50cm程度をセットした
Be Sticky Trout Hiro Motoyama Modelを手に川へと入って行く本山氏。

ずんずんと突き進む本山氏 本山博之氏のセッティング

台風一過の自然河川。潜んでいるのは夏を生き残った狡猾な残りマス。
甘くはないだろうなと我々スタッフは考えていました。
しかし・・

本山博之氏 本山博之氏 本山博之氏、ヒット! 本山博之氏、ファイト! ナイスサイズのマス ナイスサイズのマス02

有言実行。
およそ2時間の実釣で複数の魚を見せてくれた本山氏。
決して良くはない条件の中で「釣って見せます。」という言葉。
ボトムノックスイマーⅡに対する自信の現れだったのです。
我々は場所を変え、詳しい話を聞くことにしました。

ボトムノックスイマーⅡの実力 開発のきっかけを教えてください。

そもそもはボトムを攻略するために作ったルアーでした。
ボトムにやる気の無い魚がいるんです。
いーっぱい見えるんだけど、釣れないんですよ。
それに、魚が見えても流れが邪魔してルアーが届かないんですよ。
深すぎて。
そして、ニュートラル状態になってるボケーっとした魚がいて、
近づいてきたルアーをフラッと避けるんです。

こいつらを釣りたいために、「ボトムをついばむ小魚」の演出を考え始めた。
それがボトムノックスイマーの1stモデルです。

初代ボトムノックスイマー

まずテキサスリグのバレットシンカーをルアーの頭に入れた。
ボディはフライマテリアルのマイラーチューブと発泡体。
バレットシンカーを変えたり、しっぽに毛をつけたり。
それでも満足できるものにならないから、
今度は「頭の形状」が悪いんじゃないかと、
尖らせたり丸くしたり三角形にしたり。

これ、とある有名フライがヒントになってるんです。
アイデアを再現しやすいのでこの作り方を採用しました。
あれこれやって行くうちに、ボディの発泡体を固いものにすると
バイブレーションが出ることがわかってきた。

納得のいく釣果が得られるようになってきたので、
自分のハンドメイドをモデルに工場で作ってもらうことになったんだけど、
ここで大きな問題が。
なにせ工程がすべてハンドメイドだから同じ精度で作れないんですよ。
工員さん達から悲鳴が上がっちゃって・・・
ボトムノックスイマー1stモデルは、結局1回分の出荷で終わってしまったんです。

結局そこで次のモデルの話は立ち消えになったんだけど、
それからもやっぱりコツコツ開発を続けてたんです(笑)

そして昨年(2015年)今度は安定したクオリティと製造工程を考えて
インジェクションで作ることに。
これがボトムノックスイマーⅡです。

ボトムノックスイマーⅡ 初代ボトムノックスイマーとの違いは?

その1stモデルは、すごく釣れると言う人と、
全然釣れないと言う人が二分されました。
もしかしたら、ハンドメイドだから
当たり外れがあったのかも知れないです。

Ⅱはインジェクションなので、
当然発泡体+マイラーチューブよりボディが硬い。
ボディが硬いものになると、
さらにバイブレーションが出るようになってきた。

ボトムノックスイマーⅡ 設計図

最初はシングルフックで開発していたんだけど、
今のトリプルフックにしたらさらに泳ぎが大きくなって
さらに釣れるようになった。

ウエイト、ボディ素材、形状、
全てが絶妙なバランスを生んでます。
だからフックを全然違うものに変えるとダメになるんです。
適切なバランスのものを装着しなくちゃダメ。
シングルフックに変えるとするなら、
それにマッチしたスプリットリングを相互に合わせなきゃ
本来の動きが全く失われてしまう。

このサイズになった意味は?

色々なサイズを試しました。
しかし大きくなれば抵抗が増えて扱いにくくなる。
使いやすさでこのサイズに落ち着いたんです。

渓流のシンキングルアーと言えば重さは4~4.5g。
ボトムノックスイマーⅡは3.2gだからどうしても小さく思われてる。
大きなサイズもテストしているんだけど、
今のところやはりこのサイズかなと。

ボトムノックスイマーⅡ

頭の部分の塗装が傷だらけになるからと
事前に強度を増す塗装をしたことがあって、
これはあだになった。動かなくなっちゃったんです。
このサイズにはこれ以上の重さはダメなようで。

逆に軽くしてバランスをとった管理釣り場用は、
沈下速度がゆっくりめがいい晩夏から効果的でしたね。

いったいどんな動きをするルアーなのでしょう?

左右に大きくスイングするんだけど、それだけじゃない。
これは、そのスイング中も細かくバイブレーションしてる。勝手に泳いでいる。
引いているときにブルブルするのは当たり前だけど、
スーッと落とし込んだ時も細かく泳いでるんです。
絶妙なパーツバランスの中でそれが成り立っている。
で、なぜそう泳ぐのか、作った僕らが解明できていないんです(苦笑)

ボトムノックスイマーⅡ

釣りが上手い人たちに使ってもらっているが、
それぞれ独自の使い方でそれぞれガンガン釣っている。
スイングさせずに、ミノーのようにトゥイッチしてアマゴを釣りまくる人がいます。

岩場でクランクベイトの様にまっすぐ引いてくるのも釣れます。
岩に当たりながらクルッと回避する。
それを、岩に隠れながらジワジワ魚が追ってくる。
釣り人から見えてない魚が、
ルアーをピックアップする瞬間に足下でバイトしたりもする。

ハンドメイドで真似して作って、フェイスブックに上げている人たちもいるんです。
彼らに「釣れた?」と聞くと「まったくダメです」と(笑)
ちゃんと泳いでるんですよ。でもきっと微妙なバランスが違う。

動きだけじゃない片付けられないエピソードもあるんです。
取材の時に、橋の上から川を覗き込んだら深いところに魚が見えて、
そこにエサ釣りをするようにボトムノックスイマーⅡをスルスルと垂らし、
ちょんちょんと煽りを入れたところワラワラと魚が湧いてきて
争うようにルアーに食いつくんです。
ホント、まるでエサを落とした時のように。

スレづらいというのもあります。
先行者がいて、後から入っても釣れる。
だから、エサみたいだなって。

秘密:釣果と色の関連性は?

最初は色のこだわりもあったから、さまざまな色を試してきたんです。
渓流向きのカラーはもちろん、試作段階だから管理釣り場向けの色も作りました。
それを試しているうちに、「あれ?」という事になってきた。
色は関係無く食ってくる。いや、多少は関係あるとは思うんだけど、
色を変えたからといって極端に釣果の差が出ることは無いんです。
10月に発売した管理釣り場用のカラー、
あれはキラキラした部分が無い単調な色なんだけど、
先ほどの実釣で見せた通り自然河川の魚が食ってくる。
ニジマスやイワナやヤマメが、「単色」でも食うんです。
グローカラーですごい釣れたりする。しかも日中に。
日中のグローなんて、バスでも逃げて行っちゃいそうな色なんだけど。

ボトムノックスイマーⅡ

ネイティブなのに、落ちた瞬間に食ってくる。
落ちパクが多いのですよ。(※落ちパク=フォール時に食う)
木にラインを引っ掛けて、吊り下げても釣れる・・・。

秘密:結局のところ、なぜ釣れるのでしょうか?


自分が使ってもお客さんが使っても、釣り方が違っても釣れます。
ラインの太さが違っても釣れます。
例えば5lbと7lbでは、スイング幅が変わるだけです。
エサのように落とし込んでちょんちょん煽るだけでも釣れます。
という、まるで得体の知れないルアーです。
作った本人が言うのもなんだけど。
きっと黄金比があるんだろうな、とは思ってます。
でも現時点では解明できてないんです。
解明するにはもっと釣り込む意外に無いですね。

本山博之氏

本山博之

マルチプロアングラー。
ボトムノックスイマーⅡをはじめ、
エーアールシリーズ、
Be Sticky Trout Hiro Motoyama Modelなど
様々な商品のプロデュースを手がける。
FaceBookページ


本山氏から直接「ボトムノックスイマーⅡ」の秘密を引き出すつもりでしたが、
「解明できてない」という言葉が何度も出てくる運びとなり、
しかしそれゆえ逆に興味をそそられる事になりました。
すぐに入手して試してみたいと思いますが、
残念な事に初期ロットがすべて完売との事で手に入りません。
次のロットが市場にでるのは2017年2月。
どうか春までお待ちください、とのことでした。

【スミスからの報告】
スイングの釣りも本格化。いよいよDVD化されます。
本山博之 渓流トラウト新メソッド「スイング釣法」
2017年3月25日発売予定

Smith BTKⅡを追いかける小魚