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奥代 直行
北海道 道東在住
子供の頃、開高健の小説を読み、ルアーフィッシングをはじめる。
北海道のトラウト、サーモンがメインターゲット、自然と釣りをこよなく愛す、彫金師。
モットーは『自然と魚に遊んでもらう』。
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3月、まだあちらこちらに雪の残る北海道だが、ハクチョウやガンなどの渡鳥たちは越冬を済ませ、渡りの準備を始めているようだ。
北海道のアングラーも冬眠期間を終えソワソワと落ち着きが無くなってくる。
御多分に洩れず、私も冬季間は穴釣りなどの特殊なものを除き釣りができない為、心躍らせながらタックルの準備をする。
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私の地元、十勝の本流、十勝川。冬の期間は結氷し、水面は完全に閉ざされる。
3月に入り気温が高い日が続いたので、十勝川の下流域へ状況を確認に車を走らせる。
全体に薄氷の張った川面。まだ早過ぎたようだ。がっくり肩を落とし、しばらくは天気予報とにらめっこが続く。
数日後、釣り仲間から十勝川開幕の知らせを受け、気温の高い日を見計らいポイントへ向かう。
まだ雪が多く残り、ポイントまでのラッセルがつらいが、それすらも気持ちよく感じてしまうのが釣り馬鹿の悲しい性か。
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この時期の十勝川のメインターゲットといえばアメマスだ。
秋に産卵、越冬の為に太平洋から川にのぼり、春になると冬の間に消耗した体力を補うべく、海へと降って行くのだ。
ただ一気に海へ出て行ってしまう訳ではなく、3月頃から5月くらいまでの期間にゆっくりと移動をしている印象だ。当然全ての個体が降海する訳ではなく。一部は河川残留となる。
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この時期の十勝川下流域は魚よりも川の状況との戦いとなる、雪代、濁り、ゴミ、増水、流氷など。大小数十本もの支流を携える母なる本流、雨や気温の上昇に伴う雪代や増水で現場に着くと釣りにならない状況もしばしば。
ただ、それらをクリアした状況ならば、非常に楽しい釣りが展開できる。
水温は5℃前後、低水温に強いイワナ属とはいえ、魚の活性は高くない、底ベタに着いた魚の目の前にルアー通してやるのが重要となる。
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私が多用するのは10g〜20g程のスプーン。
もちろんミノーでもいいのだが、流下物や沈み根が多く根掛りのリスクが高い。
基本はアップクロスにキャストし、ボトムをとってから川の流れを利用したドリフト。
海の潮位変化により流速が変化する為、満潮付近など流れが緩やかな場合は軽い10gなどを使い、干潮で流れが早い場合は重くしていく。
あまり激しいアクションは魚が追い切れないようで、この時期は逆効果のように感じる。
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アタリは非常に繊細で、わかりにくい。60オーバーの個体ですら、ラインに僅かに違和感が出る程度だった。
なるべくセンシティブなタックルの方がアタリは取りやすいが、相手は最大で80〜90センチにもなるアメマス、そこを踏まえた上でタックルをチョイスして頂きたい。
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