池谷 成就

ルアーでのキャスティング、レイクトローリングを中心としたビッグトラウト狙いのエキスパート。 「かわせみ倶楽部」主宰。


《 渓流ルアー私的三種の神器 》


 目指す流れで使うルアーの選択は入渓前の楽しみの一つでもある。シンプルまたは造り込んだ形状への好み。シンキングやフローティング等々、好みはいろいろあるし、新発売とともに直ぐに魚が釣れて簡単に1軍入りしたルアー。疑いながらも使い込んで初めてその魅力に気付くルアーもある。またこんなルアーもあった。ルアーを始めたばかりの初心者に貸したルアーをメーカー側や釣り雑誌の謳い文句とはまったく違った動かし方で偶然にも大釣りされ、逆に新しい使い方を初心者に教わったルアーもある。

 引っ掛けやギャング釣りは別として、間違った釣り方なんてありゃしない。いやそれが新しい釣り方で後にベーシックな釣り方になったりすることもある。


 なんやかんやと釣行前のルアー選択も最近ではその種類の多さから選択肢やローテーションはほぼ無限大に近いが、まずは解禁してまだ間もない、雪代(ふきしろ)の混じる低水温の流れを想定する。まずは基本的にシンプルイズベストが僕の心情なので、造りがシンプルかつ美しく、時に安定した泳ぎも、ロッドワークではヒラを打たせられるルアーをどうしても好んでしまう。人はまずルアーに釣られてそれを購入するけれど、ルアーは勝手に魚を釣ってくるわけではないので、動かしてなんぼのルアーが好きになってしまう。釣れなくても自分の所為(せい)となるようなルアーをチョイスする。

 私、池谷的スミス渓流ルアー四種の神器(じんぎ)は、D-コンタクト、ジェイドMD、バック&フォース4g、パニッシュ(WL)55F。フローティングミノー、底を這うミノー、シンキングミノー、シンプルスプーンによって全ての層は狙えるようなチョイス。


 この日は河原には若干の雪が残り雪代も混じる水温5℃〜6℃が予想されたので、フローティングミノーを除いた、私的三種の神器(さんしゅのじんぎ)で入渓。知られていない度レベル2のまあ知られているポイントに入る。ミノー系で数投するもののアタリさえない。

 こうなれば最後の手段4gのバック&フォーススプーンをチョイス。ダウンクロスでゆっくりとした巻き返しにピンポイントにキャスト。3秒ほどのカウントダウン後、水中馬の背の駆け上がりにそろそろさし掛かろうとしたところでヒット。小さいながらも、このポイントに居てくれたという思いにほっとさせてくれるヤマメだった。


 次は北軽井沢の激戦区レベル1の誰でも知るポイントに入ってみる。さっそく先行者に出会い下流に入る。一尾釣れれば心の余裕は生まれるもので、その面白さに完全にはまっている釣り方を今度は流れの中で試したくなった。



 ジェイドMDSPをテトラ際にキャストダウンストリームキャスト。ゆっくりとデッドスローでリーリングプラスワンアクション、ツーアクションほどの軽くショートピッチのトゥイッチを入れる。やはりすぐにヒット良型のヤマメがきた。



 続けてこんどはダウンクロスストリーム気味にキャスト。次のゆっくりとした流れの深みのあるトロ場をボトムバンピングしながらゆっくりリトリーブ。ショートピッチワンアクショントゥイッチを入れ、リーリングに一瞬のストップアンドゴーを入れると連続でイワナがヒット。

 その後も同じパターンで小さいヤマメを追加できた。それぞれが大物では無かったが、思い描いたパターンでの釣りは大満足的釣行だった。



 寒さの為早めの退渓。そしてそして今回は、4月から再開してくれた北軽井沢シルキーハイランド「絹糸の湯」で体の芯までゆっくりと温泉をたんのうさせてもらった。


● 使用タックル

ロッド インターボロンX C-57
リール アルファス Rエディション 103L 改 (SLP Wノンコートコルクノブ・AVAIL)
ライン ファメルフロロブラスト3lb
ルアー ジェイドMDSPバック&フォース4gD-コンタクト
ルアーケース スミスリバーシブルF86

温泉 北軽井沢シルキーハイランド「絹糸の湯」



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