池谷 成就

ルアーでのキャスティング、レイクトローリングを中心としたビッグトラウト狙いのエキスパート。 「かわせみ倶楽部」主宰。


《 渓魚解禁の群馬 》


 今年もいつものように渓流魚解禁した群馬県北西部の渓。朝帰りで眠気眼のムササビに見送られ、解禁から一週間もすると渓流に残る釣り人の足跡はあちらこちら、そこいらじゅうについている。それでも竿抜けポイントを捜しながらルアーを振り込んでいく。

 震災のあと渓魚狙いは地元の釣り人しか居なかった。一昨年からつづく噴火レベル2の浅間(あさま)山の機嫌の悪さにもかかわらず、細い流れにも釣り人の痕跡を多くみるようになり、若干釣り人が戻ってきたのかと実感できる。



 渓流熱が上がれば必然的に魚は釣り辛くなる。この日もこの痕跡に楽しいはずの渓魚探しも一尾の顔を見るまでは正月が来ないようで、否応なしに焦るし、なんと言っても気持ち悪く落ち着かない。

 自分的には解禁日なのだが世の中では解禁約一週間という厳しい状況下では、5段階中2番目くらいの友人達には教えてある流れを目指すが、あきらかに痕跡が残っているので、入り辛い渓流ランキングをさらに1ランク上げランク3の流れにイワナを狙う。

 しかしなぜかイワナが釣れない。居てもすぐに住処に帰ってしまう。ちょいとルアーに触って逃げてしまう。
本当に親しい友達にしか話していないランク3の流れのこのありさまに焦りを通り越してなかばやけで水にルアーを浸していく。この日は朝のうち4℃だった水温も気温の急上昇とともに水温も8.5℃まで上がった。

 こうなると無垢な魚さえ居ればすぐに喰ってくるはずと思っている矢先にヤマメがヒット。川幅1mほどの入り辛いランク3の流れにしてはまあまあのサイズ。けっして大きくは無いがなぜか全身の疲れがどっと抜けていく。

 正直なところほっとした。イワナ狙いでヤマメとは、ちょっとトホホ感じだが一尾は一尾、少しは楽になった。


 北軽井沢の中心に戻り昼食後は初心に帰り入渓し辛いランク1の誰もが入る当たり前の流れを狙うがなにも無かった。 ならば家族だけにしか知らせていないランク4の渓流へと移動するとさすがにヤマメが連続ヒット。

 けっして大きくは無いが、背中の胡麻状黒点の少ないまたは無いという特徴を持つ北軽井沢周辺のヤマメは、昔から続く血統と系統だろうか、在来系の自然産卵のヤマメにもめぐり逢えた。僕が中学生の頃(45年前)は、流れという流れにこのヤマメがいて、北軽井沢の人造湖「照月湖」でも簡単に釣れたが、今は昔の話でめっきり少なくなってしまった。





 文字通りめでたい僕の解禁日は、元祖湯煙アングラーとしては釣れさえすれば粘らない。さっさとあがって目指すは温泉。この日の最後のお楽しみは、嬬恋村田代の「つつじの湯」で完結した。


● データ

吾妻漁協管内


● 使用タックル

ロッド トラウティンスピン インターボロンX TRBX C-57
リール アルファス 103L タイプF改(AVAIL:スプール・クランクハンドル・クランク用スタードラグ)
ライン 山豊テグス フロロブラスト3lb
ルアー バック&フォース4gD-コンタクトジェイドMDSP

温泉 つつじの湯



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