■ 濁りの入ったひらきで
川は上流からの濁り水で増水していた。普段河原の岸際も水に浸かり表情が変わっていた。当然穏やかだった流れは荒々しいものとなり、秋鱒たちは岸際の障害物にタイトに着くか、深場に潜んで強い流れが収まるのを待っているだろう。そのため思わぬ良型が変化の少ない緩やかな流れや浅場に潜んでいることもある。この日の早朝も警戒心の薄れた泣き尺のイワナが、水深の浅い砂利底の開きから出てきた。ウェイビー50Sのチャートリュースを足元まで追ってきたので、水面に八の字を描き喰わせた。普段物陰から流下する餌を待っている彼らも、今日は大胆にも開きの真ん中の緩い流れについていた。しかし期待の良型アマゴの姿はそこには無かった。
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