■ 支流めぐり
連日猛暑で干上がりそうな天候が続いた今年の夏。高山と言えども里川の水が冷たく感じられなくなった7月終盤、いよいよ夏の釣りにシフトした。本流からの遡上が居ないかと僅かな期待を抱きつつ、渓魚同様暑さを避けるため渓に入るのだが、今年はいきなり上流部の支流からではなく、秋の遡上の下見も兼ねて、鮎釣り場に隣接するエリアから探っていくことにした。
ロッドは支流を想定し短めのレングスのインターボロンIBXX-53MTHを持ち込んだ。バックがとりにくい場所やピッチングでポイントに送り込むには短めのロッドが扱いやすい。まさかの遡上魚や淵の大物とのやりとりにはパワーもある程度の長さも欲しい。そもそもこれらの大型魚は魚止まりの淵や砂防堰堤の深みに潜むことが多い。当然ディープやヘビーシンキングミノー、スプーンやジグなどをコントロールできなければ喰わせることすらままならない。この時「H」のパワーが必要なのだ。
まず手始めに、一昨年仲間が良型を見たという支流に入っていくことにした。岩清水を利用した養鱒場の脇から藪漕ぎしながら河原に向かうと、倒木やこの時期お約束の蜘蛛の巣だらけの流れに出た。水量は減水気味で流れは僅かだが水温は本流と違って低く、渓魚が活動するには居心地のいい環境があった。しかし倒木や生い茂る木々の枝葉が厳しく、ルアーを送り込むには非常に厳しい環境だ。上流を目指していくと小さな落ち込みと岩盤と大岩が絡むプールが出迎えてくれた。透き通った水色のため警戒させないように擦り足で進み、落ち込みの白泡めがけパニッシュ55Fを打ち込んだ。着水後すぐにガツンと何かがルアーを襲った。水面に出ていきなりローリングを始めた魚は、光を受けて眩しく見えた。アマゴだ。それもまずまずの魚だ。沢や支流に入るとどうしてもこの時期イワナ一辺倒になりがちになるが、ここで出会えたことに感謝しながら背負ったチェリーネットヤマメで丁寧に掬った。体高のあるいいアマゴで、お腹もプックリとしており餌もしっかり食べているようだ。すぐにリリースし、沢を奥へと進んだ。
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