冨安 隆徳

愛知県豊川市在住。ルアーで四季折々の魚を求め釣り歩く、アウトドアが大好きなサラリーマン。

主なターゲットは、九頭龍川の桜鱒、天竜川水系遠山川のアマゴ・イワナ等。


《 2016年 ヤマメに出会う旅 》


■ 余韻を楽しみながら

 今年の九頭龍川は終わってみれば遡上が1月早かったようだった。5月後半は渇水の影響もありルアーへの反応が悪く、フライの方が有利に感じられた。そのため九頭龍川に通いながらも、流れを求め上流部で本流ヤマメを狙うことが多く、シーズン最後の釣行もサクラマス(2尺ヤマメ)を朝から狙うことはなかった。4か月間楽しませてくれた川との別れを惜しみながら、仲間との談笑やヤマメを狙いながら祭りの後の余韻を楽しんだ。

 タックルはインターボロンXX IBXX72−MTに0.8号のPEタックルのライトタックル。まさかの2尺ヤマメも時間をかければ何とかなるだろう。テンポよくチェリーブラッドMD70やハンドメイドのバルサミノーで流れを探っていく。水田への導水で下流は減水しているが、ここはダムからの水が確保され、太い流れの中から体高のあるヤマメに出会うことができた。やはり本流はシャローゲームが楽しいのだ。



■ 庄川上流

 今年はホームに戻る前に庄川の上流部で釣りを楽しんだ。さすがに豪雪地帯のダム河川。太平洋に注ぐ河川はいずれも渇水なのだが、ここは恐ろしいほどの水量があった。放水口からの流れには大型の鰭ピンレインボーが潜んでいるようだったが今回は姿を見せてくれなかった。ここではインターボロンXX IBXX−64MTにPE0.6号を用意した。水深も流れもあるためウェイビー50SやプロトのジェイドMDSを中心に、初めてのポイントを探っていった。ダム湖らしいエメラルドグリーンの流れの中からヤマメ、銀化ヤマメ、ブラウン、イワナなどが反応し初めて竿を出す私を歓迎してくれた。



■ 世界遺産 白川郷での釣り

 庄川は世界遺産 白川郷を流れる河川でもある。観光地の中での釣りは気恥ずかしさを覚えるものの、流れにルアーを通せばすぐにそんなことは忘れてしまう。川は変化に富み、川幅が広く緩い流れがあったかと思えば、大型が潜んで居そうな深瀬や落ち込み、淵が続き、長尺の本流釣り師が竿を出したくなるのも理解できる。気配があったのだろうか?執拗に仕掛けを打ち直す姿から、良型の存在は容易に想像できた。ダム河川であるが水質はそれほど残念な状況ではなく、やはり日本海に流れ落ちる大河川の凄さを感じた。初めての川だが事前に入川ポイントは把握していたので、時間のロスは少なかった。しかしアクセスは良好なため雰囲気のあるポイントにはほぼ釣り師の姿があり、残念ながらここでもマズメ時に思うような釣りをすることはできなかった。


■ 2つのシンキングモデル

 本釣行では新シリーズのD-コンセプト48MDと、数年来テストを繰り返していたジェイドMDSを使い比べながら釣りを組み立てていった。D−コンセプト48MDは、今季リリースされたニューモデルだ。既に詳細はリポートされているので割愛するが、ここでは現在開発中のジェイドMDSと対比しながら報告することにしよう。

 この2つのルアーの違いは沈下スピードにある。新設計のD−コンセプトは、初めからボトムを意識したMDモデル。Dの系譜を引き継ぐこのモデルは沈下スピードが速く、私ならば淵などのディープレンジにアップで素早く沈めて探るイメージで使うことが多かった。

 一方ジェイドMDSはそこまでの沈下スピードを持ち合わせていない。シンキング化はディープを探ることを最優先させたものではないのだ。ジェイドの持ち味であるタイトでナチュラルな動きを殺すことなく、更なる飛距離を確保し、流れに馴染ませながら自然に送り込む(沈める)。素早く沈めてボトム付近の魚を喰わせるD−コンセプトに対し、中層を広範囲に、そして自然に流しながらバイトを誘うジェイドMDSとのアプローチの違いが両者にはあると考えている。


■ D−コンセプト48MD

 実釣ではD−コンセプト48MDを落ち込みから岩盤にかけての水深のある淵で試してみた。典型的な落ち込みを流れに乗せながら素早く沈めると、流芯脇の流れが比較的緩やかになるボトム付近の中層で良型のヤマメが喰ってきた。誘いのイメージは竿先を煽りながらのリフト&フォール。時にはリトリーブを加え、流れに同調させながら喰わせた一尾である。水深のある強い流れや水深があるポイントなど、魚のつき場が絞り込み易いピンスポットを狙う場合に積極的に使うことになるだろう。



■ ジェイドMDS

 その後D−コンセプトで攻め続けたが後が続かなかった。流れは対岸の岩盤にぶつかり、その後中央寄りに向きを変え、下流に浅く開き始めた。メリハリのあった流芯はぼんやりとしたものに変わり、魚のつき場も絞りにくくなってきた。そこで広範囲に探れるジェイドMDSにルアーチェンジし、水深1.5m付近を流していくことにした。

 これまでのジェイドMDのサスペンドモデルは、固定重心の2.4gで非常に軽いルアーであった。そのためもう少し飛距離が欲しい場面が無いわけではなかった。今回シンキングモデル化によりウエイトは微増となるが、その数値以上の飛距離と飛行姿勢が得られたような気がしている。自重増は正確なキャストにも好都合で、川幅がある深瀬の岩周りや対岸の岩盤際、オーバーハングをした木の下を狙うときにも威力を発揮してくれるだろう。

 まずは手前のかけあがりにタイトに着く魚を。次に徐々に沖目にキャストしながら最後は対岸の岩盤に向けてフルキャストしていく。流れに馴染ませながら送り込み、水深1mほどの水深の流れの筋やヨレ、水中の大岩の周りを流しながら反応をみていく。水面の波紋を見ながら地形をイメージし探っていくと、地形変化のある流れのなかから体高のあるヤマメが姿を見せてくれた。長さはないがしっかり餌を食べている個体だった。


 このレポートがアップされる頃は、本格的な夏の到来とともにトラウトはいよいよ上流を目指し始める。いよいよ私もホームに戻り、夏の定番である支流や沢のイワナを狙いながら、大きな水位変化の際は本流やダム湖からの遡上系の大型アマゴを意識し、トラウトシーズンの終盤戦を過ごしたいと思う。


● マイタックル


【九頭龍川】

◇ロッド スミス インターボロン IBXX−72MT
◇リール ステラ C3000
◇ルアー スミス  チェリーブラッド MD70 DEEP70 MD75 MD82
パニッシュ70F・SP DDパニッシュ 65F・SP  B&Fリッパ13g ペイントモデル  シェルモデル
ハンドメイド65〜75mm
◇ライン  ヨツアミ PE G-soul WX8 0.8号
◇リーダー リーダー フロロカーボン 12LB
◇ネット  スミス チェリーネット サツキ
◇スナップ クロスロック ♯2

【庄川】

◇ロッド スミス インターボロン IBXX−66MT
◇リール ステラ C2500HGS
◇ルアー スミス  ジェイドMDS(プロト) D−コンセプト48MD トラウティンウェイビー 50S・65S
チェリーブラッドMD70 DEEP70 MD75  パニッシュ70F・SP DDパニッシュ 65F・SP
D-コンタクト50・63・72  D−ダイレクト55  B&F 7g  ドロップダイヤ5.5g  ピュア日本アワビ5g  ハンドメイド65〜75mm
◇ライン  ヨツアミ PE G-soul WX8 0.6号
◇リーダー フロロカーボン 8LB
◇ネット  スミス チェリーネット ヤマメ
◇スナップ クロスロック ♯1



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