池谷 成就

ルアーでのキャスティング、レイクトローリングを中心としたビッグトラウト狙いのエキスパート。 「かわせみ倶楽部」主宰。


《 白梅・紅梅にヤマメ咲く 》


解禁日は冷え込んだ。群馬県高崎市の最高地点の峠は−10℃まで急激に冷え込み 下流の水温も2℃に届かなかった。

毎年この低水温と釣り人の多さに手をやく解禁当初。少しでも暖かい流れを求め榛名山の麓、 南面側の日当たりの良い陽だまりを探し出す。いずれにしても表層は凍る寸前なので少しでも 水深のある渕を探す。そんな折ふと目に入ってきたのが石造りの小さなアーチ型の橋。

40年以上も前の話で恐縮だが思えば中学生の頃自転車で通い、テンカラ釣りの練習に明け暮れた思い出橋。 橋の上からそっと渕を覗くも魚影は見えなかった。夕方になってしまえばまた水温は下がる。


日当たりの良いポイントで、日中の最も暖かい時間に賭けてみる。低くいくつかに分かれた砂防堰は 40数年前となんら変わらない。

昔は餌の脈釣りそれも提灯をぶら下げるように仕掛けを極端に短くした 提灯釣りがとても盛んな地区だった。釣り人の車、漁協の関係者の車、見物人の車と解禁日から数日は とてもにぎやかだった。「ここは俺の川だ!勝手なことするな!」本当はルアーをやりたかったけど、 よくこんなことを言われてなぜかテンカラの練習をしていたが、今はそんな怖い川守もいない。

逆に川は荒れ気味で葦を踏み抜くと落ちるの連続。またずいぶんと水は少なくなってしまった。 過疎化に飲み込まれた山村の里川的風情と渓相もゆっくりと時を刻んできた。


そんな流れがゆっくり巻くポイントに4gのスプーンを垂らしてみた。すぐにきた。 小さいながらも綺麗なヤマメに40数年前のあの少年の頃の嬉しさにタイムスリップする。 とりあえずカメラ、カメラ。撮っている最中にポチョンとヤマメは流れに帰っていった。



折しも東日本一の生産量を誇る梅の大産地。2016年はちょっとだけ早くはじまった『みさと梅まつり』の 白梅・紅梅と、数尾のヤマメとともに僕の渓流は開けた。



● データ

上州漁業協同組合


● 使用タックル

ロッド トラウティンスピンインターボロンX TRBX-C57
リール アルファス103L TypeF
ライン ファメル フロロブラスト3lb
ルアー バック&フォース4g・5gヘブン7g



[ 戻る ]