冨安 隆徳

愛知県豊川市在住。ルアーで四季折々の魚を求め釣り歩く、アウトドアが大好きなサラリーマン。

主なターゲットは、九頭龍川の桜鱒、天竜川水系遠山川のアマゴ・イワナ等。


《 2017 遠州灘釣行記 その3 》


【狙いは巨鰤】

 狙いは10kgクラスの巨鰤。今年はトップで獲りたい。サーディンラン、アンダーバード、A-CUPなどのトップウォータープラグをボックスに詰め、この時期恒例の朝活が始まった。現地で釣りをしながら知り合いと情報交換を始めると、どうも10月頃から中型の青物は出ていたようだ。しかし大型は散発で回遊が安定しておらず、ひたすら回遊を待つほかないといった状況。大型の回遊待ちながら伊良湖岬の先端地区に通い始めて数週間。時折80cmクラスの個体は捕獲されているが、90cmを超える魚は今季まだ釣り場で見ることはなかった。



【ファーストフィッシュ】

 11月に入り厳しい状況が続く中、今季初めての青物からのあたりは11月前半にやってきた。周りも全く反応がなく、今朝も何もなく終わるのかと思い始めた時だった。トップに反応が無いため、少し中層を探ろうとドラゴンサラナをキャストした。ロングキャスト後、少し沈めてから水面に浮きあげるようにジャークし、そこからフリーフォールをさせる。これまでもフォール中のイレギュラーな動きや、中層からのジャーク時の動き出し、ジャーク後にテンションを抜いた時の水面直下のスライドアクションで喰ってくることが多く、表層には出てくれない魚を何度も掛けてきた。この日も表層に反応の薄いように感じられたので、少し目先を変えようとイワシカラーのドラゴンサラナを投入した。
 結果はすぐ出た。数投目、一旦フォールさせたドラゴンサラナを水面に浮かそうとジャークさせようとした瞬間、ゴンゴンゴンゴン。明らかに青物と解る激しいあたりの後、一気に沖に向かって走り出す。掛けた瞬間、これまで掛けた大型の青物とくらべるとそれほどの重量感は感じられなかった。そのためあまり大きな魚ではないなと思っていた。しかしその後恐ろしいほどのスピードで沖に走る様子に違和感を覚えていた。1年ぶりの青物の引きは格別で、シーズンイン早々に結果が出たことに喜びを感じながら魚の引きを味わっていた。幸い隣の釣り人は私のヒットに気付き、ランディングを申し出てくれたためあとは寄せるだけだった。何度か激しい走りに耐え、寄せてくるとその大きさに愕然とした。激しい走りの原因はスレだった。巨鰤をイメージしていたので70オーバーの青物だったけれど、非常にかわいく、少し残念な気分になった。今季最初の青物を獲ることができたので素直に喜ばなければいけないのだが、サイズと掛かり方に自分自身納得がいかず、画像に残すことをしなかった。


【大型青物を狙って】

 その後先端地区からは青物の情報はしばらく途切れた。遊漁船の釣果も安定していないようで、いよいよ他のポイントを探らなければならない状況になってきた。サーフエリアはその時々のベイトの寄り具合に左右され、2日と同じ状況が続くことも稀なため、本当に魚に振り回されることになる。しかしこの気まぐれな魚と向き合うことがこの釣りの最大の魅力である。日の出前から浜に入り始めそろそろ1か月が経過しようとしている。朝型の生活にも慣れ、目覚ましが無くても起きられるようになった12月の朝。このところ好調が続いている渥美半島中央部のサーフに入った。


【好調の浜】

 この潮周りから早朝ワラサやシーバスがイワシを追って接岸し、爆釣とまではいかないもののコンスタントに釣れているようだ。ベイトは15cmほどのマイワシと7cmほどのカタクチが混じる状況。波打ち際を中心に回遊し、これを追って日の出の前後と夕まず目に70cmクラスのシーバスが水面に突き上げ捕食している。時折ボイルが起こり無数のカタクチイワシが水面を割って空中に飛び出す。水中では魚と鳥が激しくベイトを追い回し、釣り人はミノーで喰わしにかかるが、これだけ豊富なベイトが居ると、反対にルアーに喰わせることが難しくなる。この高活性の状況がしばらく続き、前回大型のサワラ、シーバスを獲ることができたのだが、まだ鰤に出会えていなかった。

 これだけ多くのベイトが居るのであれば、大型青物の群れが多数接岸してもいいのでは?と思うのだが、実はそれほどでもなく、散発的にヒットするだけだった。なぜだろう?他の浜や沖にはこれ以上にベイトがいるのだろうか?リスクを覚悟のうえで他のポイントに入るか?それとも無数のベイトが入ったこの浜で、大型が接岸を待つのか?迷ったあげくこの日もベイトを重視でここ数日青物の情報は聞こえてこないこの浜で、ひたすら回遊を待つことにした。ロッドは前日のシーバス迎撃用のタックル、ブローショットロングキャリーLC-100から、再びショアジガー100/60にPE1.5号で浜に入った。

 予想どおりこの日もベイトは波打ち際にしっかり居てくれた。東の空が明るくなるころには、フィッシュイーターが小魚を突き上げていた。あちこちでシーバスがヒットし、ベイトサイズに合わせたミノーで魚を掛けていた。しかし私はここ数日シーバスゲームをしっかり楽しんだので、迷いはなかった。マグナムサージャー、メタルフォーカス45g、ドラゴンサラナ、サーディンラン130F、ハルカ145S(強化仕様)を投げ続けた。
 この潮で初めてこの浜に入ったときと比べると、幾分ベイトの数は減っていた。。
 近くにいた釣り人が良型のシーバスを釣り上げているが、今回はそれには動じることなく初志貫徹。沖目をマグナムサージャー、メタルフォーカスをしっかりボトムまで沈め、あらゆるレンジを想定してアプローチしていく。数年前までは着水と同時にベールを返し、余り沈めることなくリトリーブに入ったが、数年前からは必ずボトムをとるよう心掛けている。サーフであっても活性が低い青物が、水深のあるワンドの底付近を回遊していて、私だけがかからなかったことがあったため、そんな地形を攻めるときは必ずそうしている。がしかし今日はその状況ではないようだ。


【ドラゴンサラナで】

 ボトム付近も反応がないため次にシルエットが大き目ながらも、ロングキャストが可能で、ロッド操作によっては水面直下を引くことも可能なドラゴンサラナにチェンジした。キャスト後暫く沈めてそこから水面までジャークをさせながら青物を誘っていく。周囲ではシーバスの突き上げもひと段落し、今日はそろそろ終わりが近づき始めた6時45分ころ、ロングキャストからのジャークで中層附近をゆっくり誘ってきたドラゴンサラナにゴンと突然の当たり。ブレイクのすぐ向う側で喰ったので、シーバスだと思っていた。それも引きが強いことから良型のシーバスだろう。やはり今日もシーバスか?とうれしいようなうれしくないような中途半端な気持ちでやり取りを始めた。魚は時折ドラグを出して抵抗するが、水面でエラ洗いをするわけでもなかった。まあゆっくりやるかと丁寧に寄せに入ると浪打際まできたとき、これまでとは異なる勢いで沖に走り始めた。え?なんだろう?正体不明の魚である。ブリ・ワラサならば一気に走るはずなのに?ここにきて大型のサワラの可能性を感じながら、何度か激しい絞り込みにショアジガーのバットパワーでいなしながら水面に浮かせると、白い魚体が一瞬水面に映った。ワラサだ。なんだそうだったのか。久しぶりに口に掛けたワラサとのやり取りを始めた。魚の口にはルアーが無かったので奥に掛かっているのか?掛りどころが解らないなかでファイトを続けた。波打ち際での数回のやり取りを続けると、流石に疲れを見せたワラサの一瞬の隙に、波打ち際から一気に浅瀬によせてランディング。やはりベイトが寄っていたのでこの可能性に賭けてよかった。図ってみると82cmあった。ベリーのフックが下あごの鰓ぶたの付近に掛かっていたので走り方が変だったのだろう。狙いのサイズではなく鰤と呼ぶには微妙なサイズだが、なんとか今年も80cmクラスの青物を獲ることができた。




【これからの遠州灘】

 今年は11月の中旬以降に青物が浜に入ってきたようだ。やはり釣果は静岡側に軍配はあがるが、魚のクオリティーは伊良湖岬の先端地区の魚にはかなわないだろう。まだ高水温で推移しているので今後の状況は解らないが、例年コノシロとカタクチイワシのベイトだけなのだが、今年はマイワシが入っているのでここに期待をしたいと思っている。三河湾のベイトが落ちてきて岬周辺にまとまって現れるようなことがあれば、また今年も10kgクラスの巨鰤に出会うチャンスもあるだろう。そんな僅かな可能性を信じて年内は海に通うことになるだろう。


● マイタックル

◇ロッド スミス ショアジガー SJS100/60 SJS100/80
ブローショットロングキャリー BS-LC100
◇リール シマノ ツインパワー4000XG SW6000H ステラ4000XG

◇ルアー スミス  ドラゴンサラナ サーディンランSS/F マグナムサージャー
ハルカ 145F/S  サラナ125F 147MAX   飛烏賊HF  A-CUP 
ベイビーランブオー  アンダーバード1号  ベイブル90HS  ハイパーブレード 
バスタージャーク120S  メタルフォーカス 28g 40g 60g 80g 
◇ライン ヨツアミ G-soul SUPER JIGMAN X8 1.5号
 G-soul SUPER JIGMAN X4 1.2号
 G-soul WX-8 1.2号
◇ショックリーダー バリバス ナイロン 40/35/50lb
◇ランディングツール スミス スミスグリップ2700



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