吉川 雄介

湘南方面・東京湾を中心に活動中のシーバスアングラー。
週間つりニュース APC としても活躍。

アツギ・ミュージアム特別企画 ショアでのシーバスフィッシングガイドを実施中
http://www.atsugi-museum.com/



《 チェリーブラッドLL90Sで攻略した湘南のリバーシーバス 》


 11月における湘南シーバスはウエ―ディングで狙う相模川の下流域が好調で、下げ狙いでアベレージの60〜70p級がいい人釣果で2〜3尾はヒットしている。狙い方は9〜12・5pのフローティングやシンキングミノーを使用した流心部やブレイクでのU字攻略が一般的で、これにシンキングペンシルやバイブレーションを流速や潮位に合わせて使い分ける感じとなっている。

 私の中では本流トラウト用スプーンのピュアやヘブン、バッハスペシャルなどを使用したデッドスローのただ巻きが過去において高実績だが、今シーズンは全てミノーという名のついたリップレスシンキング系ミノーのチェリーブラッドを使用しての釣果となっている。ここでは、好釣果に恵まれた11月2週目におけるヒットパターンを報告したい。


 釣行日は5〜8日の大潮〜中潮回りで、4日間とも深夜に干潮を迎える下げ狙い。タイドグラフで潮位105p位を目安に入水し、立ちこみ水位は腰付近を限度に川の中央付近に釣り座を構えた。ここでは北風と下げ潮とが同調した流れの筋が狙い目で、人が少ない高潮位時は流心より手前のブレイクラインでもヒットが期待出来る。

 この時期のベイトはイナッ子や落ち鮎、コノシロなどで、基本的にシーバスはブレイクや流心付近に潜んでは、水位の低下でベイトがシャローから本流筋へと流れ落ちてくるタイミングを見計らっている。釣行時はシャローに溜まる少量のイナッ子がメーンベイトで、サイズ的にチェリ―ブラッドの9pがマッチ・ザ・ベイトとなって当たりルアーとなってくれた。

相模川下流域の様子。写真は干潮時です。

 カラ―は全12色の中からイナッ子、ピンクスラッシュ、キビナゴを水の透明度に合わせて使用。ササ濁りで周囲が暗いエリアなので、4夜ともパール系のイナッ子カラ―がアピール度の面で効果絶大となったようだ。



ヒットルアーとなったチェリ―ブラッド。リップレス
シンキングミノー(90_・15・7g)で、夜の河川
ゲームでは上からキビナゴ、ピンクスラッシュ、
イナッコを使用。今回の釣行ではイナッコが
当たりカラ―に。
 ところで、チェリーブラッドを使用した理由は、ロッドアクションによるダート&スライドが意のままに操作しやすく、流れの筋までの飛距離と幅広いレンジを着水後のカウント数で探れる点である。特に、シンペンとはちがったヘッド形状が浮きも沈みもしないスイム性能を実現し、狙いのレンジをデッドスローでトレースし続けられる点は冬場の低活性時に大きなアドバンテージになる。

 なお且つ、一つ上を行く開発技術で強度、スイミング姿勢、動きなどの性能が格段にアップされているので、流れを利用する河川の釣りでは「フォ―ルとドリフト」メソッドが効果的に。ただ巻きだけでは食わせられなかったシーバスが、リトリーブ中のワンポーズや着水後のフォ―ル中、またはボトムドリフトなどで反射食いを誘える動きとなっている。

 とにかく滑らかなバイブ(振動)とともに、水平姿勢を維持しながらユラユラと沈むのが特徴で、フォ―ル時はローリング系の動きに加えてフラッシング効果でアピール出来る。構造的には泳ぎ出しのレスポンスがいい固定ウエイト設定で、ミノーにジグミノーの構造とフォルムがプラスされたようなルアー。ウォブリングアクションはミノーとシンペンの中間ぐらいの動きで、使い手のイメージを膨らませながら多彩な操作を可能にしてくれる設定になっている。


 さて、実釣ではワンキャストで流れの筋〜ブレイクラインを広範囲に探りたいがために、同じ立ち位置でもルアー着水点と流す距離に変化をもたせている。言いかえれば、ターンさせる場所を少しずつ下流側に移行していく感じで、最終的に流れの筋から外れたルアーはブレイクライン上をユラユラとゆっくり通過し続ける。すると、いずれはシーバスが潜むスポット上をルアーが勝手に通過してくれるので、事前に潜むスポットを想定しなくても良いことになる。トレースレンジも表層〜中層〜ボトムといった順で狙えば、ヒットで定位しているレンジが把握できるようになる。

 けれども連夜のヒットで実感したことは、時間の経過とともにスレが進行し、ただ巻きだけでは口を使わない個体が存在するということである。当然、活性を左右する条件が時間帯によって違う可能性もあるが、それまでの沈黙を「あるアクションと巻くスピード」がハマりだしたのである。

 一つ目は、やはり「ここぞ」と思えた場所で行うリフト&フォ―ル。実はU字でレンジを下げていくと、ターンした直後のボトムトレースで根掛かるスポットが流心付近にある。それは点在するゴロタ石で、回遊してきたシーバスが高確率で定位する一方で、ボトムトレースでなかなか攻められないスポットである。

 高活性時はたいてい開始早々の中層トレースでヒットしてくるが、低水温時やスレが進行した場合はボトムに定位して目の前を通過させないとバイトしてこない。そこで、ラインの入水角度でルアーのスイム位置を推測しながら、根掛かり回避で通過の手前で軽く竿先でチョンチョンッとシャクリ上げる操作を加えてみた。すると、反射食いでそのアクション後のフォ―ル中にググッ。それまで丁寧にただ巻きだけでトレースさせていたが、4日間とも反応が途絶えた状況下で再び1〜2尾を追釣。流れの筋が薄れた状況下でも、巻く手を止めたワンポーズのフォ―ルとリフト後のフォ―ルで食わせることが出来た。


アベレージは60〜70p級。

魚影が薄い相模川でも、ポイントと
パターンがハマれば連発することも。


 二つ目のパターンは、活性やスレの進行度に合わせて巻くスピードを調整するといったもの。このチェリ―ブラッドは巻くスピードでウォブリングの振り幅を調整できるのが強みで、簡略すれば、巻くスピードが速めのときは振り幅がフラフラと大きく、遅めになるにしたがい振り幅が小さくローリング系に近い動きになる。

 すなわち流心部に回遊してくる高活性なシーバスは振り幅が大きい動きに気付いて好反応を示すが、低活性時やスレが進行し始めるとルアーの後方に出来る撹拌流に違和感を感じ始め、バイトが次第に遠のく状況になりやすい。これは自然界の生きたベイトに撹拌流が無いためで、それだけにルアーのアクションの大きさなどが重要になるわけである。

リアのフッキングは低活性時に見られるケース。
ハンドル1回転につき3秒前後かけ、ウォブリング
の振り幅を小さくしてやるのがキモ。

 活性が高くて流心部の表層〜中層でバイトが得られた時は、1〜2秒でハンドル1回転。しかし、流れの筋が薄れてブレイクに定位するようになると、フォ―ルアクションの他、ボトム付近のトレースとハンドル1回転につき3秒前後かけるようなデッドスローのただ巻きがキモになった。



4日間で最大は75p。惜しくもランカーゲットとは
いきませんでしたが、魚体は湘南ならではの銀
ピカで、どれも体高があってファイトは楽しめました。
 結果的に釣果は4夜連続で得られ、最大75pを含む計13尾。魚影が薄いとされる湘南エリアだけに、まさにポイントとパターンがハマった釣行となった。

 リップレスでもフロントのアイの部分が斜めにカットされ、流れの強弱や抵抗を感じ取りやすい形状になっている。ぜひ、ホームの河川でその威力を実感して頂きたい。


4日間で計13尾。全てチェリーブラッドの
釣果で、イナッ子カラ―が当たりカラ―に。

基本はただ巻きで、流れの強弱と活性状態に合わせて
巻くスピードとトレースレンジを変えてます。フォ―ル
アクションで反射食いを誘うことも可能です。


● 使用タックル

ロッド ブローショットロングキャリー BS−LC86
リール ステラC3000
ライン 山豊テグス PEレジンシェラー18lb(1・2号)グレーカラ―
リーダー 山豊テグス ナイロンショックリーダー25lb  70p
ノット FGノット
スナップ スミス・クロスロックスナップ#1
ヒットルアー チェリーブラッドLL90S シーバスバージョン



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